チカン アカン
チカンアカン。
事件はなんか女の子が携帯の画面見せてくることから始まった。
『痴漢です。助けてください』
すわおおごと。
色々あって取り押さえ、森ノ宮駅から少し行ったとこのラーメン食いそびれた。
あそこは昼しかやってない。献血したひとと学生はサービスの優良店でめっちゃ美味い。
せっかくの平日休みだってのに憎むべきはスカスカの車両内で痴漢を働くあたまスカスカ野郎である。女の子に罪などあろうはずもない。
おっさんおばちゃんそして学生たち。一時的に手を結んだアベンジャーズは解散し、チカンはドナドナされていく。
知らなかったけどああいうアプリあるのだな。もっと普及すればいいのに。
リサ・エルドリッチの本は無事図書館に返却したが、司書のお姉さんから『コンヤさん、熱望していたアレきました』と言われて借りたローレン ストーウェル 他2名の『18世紀のドレスメイキング 手縫いで作る貴婦人の衣装』を読まねばならぬ。
別に読まなくてもいいが、待ち5名と来れば急ぐべきだ。本好きの行持である。そして本は丁寧に扱わねばならぬ。
あたま引っ張られる。なんかそんな感じして振り向いたら、前に見た姿。
あのふわふわさんだ。顔も性別もわかんないほどだけど多分女の子。
相変わらずおしゃれだなあ。
ドレスに興味あるのかな。
「この本、図解で18世紀イギリスのドレスの作り方を紹介してくれる神本なんだ」
普通やってはいけないのだろうが、彼女のハンドバッグから服飾関係の教科書が見える。
多分学生さんだろう。
「こほん」
隣の人が咳をする。
は。しまった。口に出してた!
ぼくは熱くなる頬を誤魔化すべく本に顔を埋める。
だから、他の人たちの顔は見ていない。
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女の子(「気づいていない……みんな気づいていない。この下は日本人の友達が中学生時代に着ていた寝巻きジャージだということを!)」