ねぇ、なんのために生きてるのかな
ねぇ、なんのために生きてるのかな
宇海 巴
電車に揺られていると、時々「何のために生きてるんだろう、私」と考えることがある。
実際、何か明確な目的があって生きている人っているのだろうか。
ただ漠然と「会社行かなきゃ」「テスト勉強しなきゃ」で時間が過ぎていっていることを“生きている”としているだけなのではないか。
それが悪いことだとは思わないが
私って悲しいやつだなとは思う。
こんなことを言うとリンは
「アホだな。三度の飯食って寝ることこそ人生だろうが。はよ寝ろ」
と言うのだろうけど私はそこまで単純に考えることができない。
ねぇ、リン。私は何のために生きているのかしら。
「何してんの」
「うわぁ、びっくりした!」
背後にリンがいたので驚いた。
せっかくだから聞いてみた。
「ねぇ、リン、私って何のために生きているのかな」
「なっにそれ、面倒くさい質問!!」
リンは思ったことをはっきり言わないと眠れなくなる性分だ。
「わかんないけどさー。酒買ってきたけどアカリ、飲む?」
酒。今は…夜8時。
「飲む!飲む飲む」
そしてしばらく酒を飲んで2人とも気持ちよく酔った頃、あぁ、私はこういう瞬間があるから生きてるんだ、と何となく納得したのだった。