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8-16:ピース5

翌朝。

カーテンの隙間から朝日が部屋に差し込んできたのを感じて、真樹は目を覚ました。


見慣れない部屋だったので少々戸惑うが、遠征でホテルに来ていたことを思い出す。

昨日は本当に、部屋に入ってすぐに寝てしまったのだ。

隣のベッドでは、うつ伏せ大の字になったままで大山がまだぐっすりと眠っている。

彼女も昨日の疲れのせいで、ガッツリ寝ているようだ。


「あ、おはよー」

「おはようございます……ふぁ」


部屋にあるテーブルでは、梨花がノートPCを開いていた。

既に起きていたらしい梨花は、朝から仕事をしていたのだろうか。


「よく眠れたー?」

「おかげさまで……はふ」


真樹は欠伸をしながら答える。

部屋の隅にあった化粧机の鏡が目に入った。

完全に私服のままで寝てしまったので、可愛らしいTシャツと短パン姿のままだ。

頭には寝癖が少々。

寝起きの女子校生の姿がそこにあるのだった。

これだけならば、ただ旅行にやってきた少女なのだが……


「それは何より。

…んで、朝っぱらから悪いんだけど、昨日の試合が終わってから色んな動きがあったよ。

聞く?」


完全に寝起きの少女に対し、先輩は容赦なく現実に引き戻す。

自分はただの女子校生ではなく、裏社会で戦う女戦士ヴァルキリーであると。


梨花は運営として、ヴァルキリーゲームズ内での選手の評判には常に気を配っている。

昨日の敗北を受けて、自分の評価も色々と変わっているのであろう。

ちょっと聞くのが怖いが、向き合わねばなるまい。


ペットボトルのぬるいお茶を一口飲んでから、真樹は梨花に向き直る。


「……お願いします」

「そんじゃあ、まずはこれ見てみ」

「うっ……」


梨花はノートPCの画面を見せた。

そこに映っていたのは、V.G.Hubのページ。

ヴァルキリーゲームズ関連の動画が集まる裏サイトだ。

超人達の試合が見れるのも勿論だが、もっぱら利用者の目的はペナルティだろう。

敗北した女戦士ヴァルキリー達が淫らに乱される姿を閲覧できる、ぶっちゃけ高額なエロ動画サイトと言ってもよかった。


そんなエロサイトを朝っぱらから見せられて、思わず唸る真樹。


PCの画面に映し出されたのは、2分少々の短い映像のようだ。

画面にはデカデカと『美少女戦国時代! 注目の若手女戦士(ヴァルキリー)5選!』と書かれている。



梨花が再生ボタンを押す。

すると、まず映ったのは真樹だ。

猫耳をつけたセーラー服の少女が、真剣な表情で大の大人と向き合っている。


「こうして構えていると凛々しいんだけどね~♪」


梨花がニヤニヤしながら見る映像の中の真樹は、真剣な戦士そのもの。


『はあぁぁっ!!』


画面の中の猫耳少女は、得意技である柳流しを放つ。

手足を流麗に動かし、怒涛の連撃で相手を翻弄している姿が映っていた。

対戦相手には真樹も見覚えがある。

デビューしてすぐ、ノービスクラスの頃にミトで戦った時の相手だ。

デビュー間もなくして連勝中、勢いに乗りに乗っていた時の、楽しそうに戦う真樹の姿が映っていた。


その映像が、突如として切り替わる。


『はあん、あんんっ、んあっ、はぅっ、きゃん!』


「うわっ!?」


真樹は思わず顔を赤らめてしまう。

切り替わった映像は、真樹が裸を晒し、男達に取り囲まれている姿。

脱がされたのが水着だったことで気付く。

これはヤクシマでの最後の戦いの時のペナルティの様子だ。


自身の痴態を見せられて、恥ずかしさが込み上げてくる。


真樹が真っ赤な顔をして固まっている間に、映像は次のシーンに切り替わった。


『おーっほっほっほ、わたくしの出番でございますわー!!』


聞き覚えのある高笑いと共に、金髪ウェーブのお嬢様が映る。

真樹の好敵手である、月光王女(プリンセス)・沙耶だ。


やはり彼女も、誰かと戦っている時の映像が流れた。

虎月乱こげつらんという乱舞技で相手を翻弄している姿が映る。

ただ、映像の中の彼女はまだ狐耳を付けていない。

恐らくは、王坂オーサカでのノービス時代の活躍の時の映像だろう。


『くっ、こんな……ひゃあああっ!?』


再び映像が切り替わる。

やはりというべきか、沙耶が辱められている姿が映された。

制服風のコスチュームがはだけたところを、男達に押し倒されている時の様子が映る。

この光景にも真樹は見覚えがあった。

というか、映像の端に真樹の腕がちらりと映っていたことで確信した。

これはミトでのタッグマッチ、真樹と沙耶が引き分けた時のペナルティの様子だ。


映像はテンポよく切り替わっていく。


『おらあああああっ!!』


次に映し出されたのは、ファイアーレスラー・大山だ。

お馴染みの赤いコスチュームに炎のマスクを身に付け、大柄の女性と取っ組み合い。

ミトでの先輩、クルミとのバトルの様子だ。

妙に胸を煽るような視点なのはご愛嬌というべきか。


『あ……あぁぁ……ひんっ、んんっ、んあ……』


またまた映像が切り替わり、今度は大山が辱められている姿が映された。

男に胸を揉まれて、可愛く喘いでいる姿が映る。

後ろから大山の胸を鷲掴みにしているのは、よく知っている青メッシュの男。


この光景にも見覚えがある、この試合も真樹は当事者だ。

ノービスクラスのデビュー戦、真樹と大山が戦った時のペナルティのシーンだ。


『いざ、参る!』


再び映像が変わった。

次に映された女戦士ヴァルキリーは裕だ。


緑のポニーテールを揺らし、だんだら模様の隊服で木刀の薙刀を振るう武器使い。

そんな侍少女が、ヌンチャクを振るう女性と戦っている姿が映る。

激しく乱打するヌンチャクを受け流し、風を纏った一閃で相手を吹き飛ばしていく裕。

恐らくは、彼女の本拠であるグンマ・コロシアムで活躍していた頃の映像だろう。


『んっ……』


予想通りというべきか、今度は裕が辱められている時の映像に切り替わった。

男達が見ている中で服を脱ぎ、胸を晒していく姿が映し出されている。

これも真樹は当事者だ、裕が真樹に挑戦してきた時のペナルティだ。

彼女の想い人も含めた男達のリクエストで、ストリップをする羽目になったことを覚えている。


『香澄ちゃん華麗に参上!!』


続いて映像に出てきたのは、オレンジの三つ編みを揺らす香澄だ。

天井で巫女服を脱ぎ、サンバ巫女に変身して着地するシーンまでご丁寧に入っていた。

もうスピードで駆けながらボディプレスで飛び込んでいく姿も映し出された。

相手となる女性は真樹の知らない相手だ。

恐らくはイズモ・コロシアム所属の誰かだろう。


『あひぃぃぃんっ!』


予想通りというべきか、今度は香澄がペナルティを受けている時の姿が映る。

手足を吊り上げられ、電気ショックを流されて悶えてるシーン。


「うっ……」


この内容に真樹は思わず怯む。

これには見覚えがあるどころではない、なんせつい昨日のことだ。

昨日の天命戦で、真樹に敗れた時のペナルティの映像だ。

昨日の今日で、こんな映像を用意されたというのだろうか。


最後に画面が暗転し、真っ黒な画面にこう表示されていた。


『注目の美少女女戦士(ヴァルキリー)5選!

貴女は誰を狙ってく?』


以上の内容で、映像は終わった。


「やー、まるでAVのサンプル動画みたいでしたなー♡」


梨花が親父感満載で感想を述べる。

確かに、短い間にぎゅっと要素を詰め込んだような動画だった。


「梨花さん、これは一体……」

「まー、いわゆる切り抜き動画だねー。

表社会のMyTubeでは流行ってたけど、裏社会にもこの流れが来たかーって感じ」


困惑気味の真樹に苦笑しながら、梨花が解説を続ける。


「この映像はユーザー投稿のものなんだけどね~。

公式の動画と自分で撮影した映像を組み合わせたものだね。

ま、注意喚起は必要そうだけど動画(コレ)自体はすっごい伸びてるし。

今後を盛り上げるためにも、とりあえず放置ってことになるかなー?」

「いや、そうじゃなくて……」


運営としての意見を淡々と話す梨花に、真樹が突っ込みを入れる。

聞きたいのはそういうことじゃない。


「なんでこの動画がこんなに再生されてるのかってこと?

それ、ホンキで言ってる?」


苦笑する梨花は、困惑しっぱなしの真樹にびしっと指を突き付ける。


「キミ、『5000万の女子校生』だっていう自覚あるかな?

この中では、いや今年デビューの女戦士ヴァルキリーの中で、キミは間違いなく一番の注目株だよ」


突き付けた指でつんと鼻を突く。


「なんせ、こんなに可愛い見た目してるのに覇氣使いとして強者!

デビューしていきなり10万を獲得!

あっという間にアドバンスクラスへと昇格!

ヤクシマ・コロシアムでも大記録を打ち立てた!

天命戦はクリアできなかったけど、3戦目まで行った上にあのカグヤと闘り合った!

話題にならない方がおかしいって!」


相変わらず、真樹は自身が注目の的であるという自覚があまり無い。

ただ自分が戦いたいように戦っていったら、こうなったというだけなのだ。


だが、これだけのハイスピードで戦績を上げていったのはヴァルキリーゲームズ史上でも類を見ない。

恐らくは、現チャンピオン・瑠璃亜(ルリア)以来の逸材と思っている者は多いだろう。

実際、梨花もそう思っている。


「それに何より、この映像にも映ってたけど、真樹ちゃんはペナルティを受けたことがある。

エッチな罰ゲームで辱めを受けても、なおこのゲームで頑張ろうとしている。

それだけの気概がある子って、結構貴重なんだよ?

大抵はエッチな目に遭うのが嫌で逃げるか、淫乱な子になって戦いを忘れちゃうから」


ペナルティを見るのと、実際に受けるのとでは大違い。

その衝撃で心が折れた女戦士ヴァルキリーなど、枚挙にいとまがない。


梨花は言葉を続けていく。


「この映像に映ってた他の子たちは、みんな真樹ちゃんと戦ったことが切っ掛けで注目度が高まった子たちばかりだね。

みんな10代女子で、あっという間にアドバンスに上がった覇氣使いの実力者。

そんでもって、全員ペナルティの辱めを受けたことがある子ばかり。

…スケベな男達は思ってるんじゃない?

どんなに強くても、この子たちならいつでもヤれるってさ」


梨花の言い分に、真樹は顔を真っ赤にしたまま。

そんな後輩にニヤニヤとしながら梨花は続ける。


「なんか巷では、キミ達5人合わせて『ピース5(ファイブ)』って呼ばれてるみたいだね。

由来は……」

「い、言わなくていいですっ!」


真樹は慌てて梨花の言葉を止める。

恐らくは真樹達がペナルティの最中にしてしまった、とあるポーズのせいだろう。

わざわざペナルティ外の時間にまで思い出したくはない。


「ま、ともかく。

この映像を作った誰かさんは、これからも真樹ちゃん達の活躍を煽っていくだろうね。

これからは、今まで以上に沢山の男達に狙われることになると思うよ?

強くて可愛い、そしてエッチなことを要求しても良い女の子なんだ、ってね」


梨花の言葉に、真樹は言葉を失う。

女戦士ヴァルキリーである以上、どこまでもカラダを狙われ続けるということ。

実際にペナルティを経験したからこそ、彼女達のカラダには価値があると、大半の客が認識したということだ。


「まー女戦士ヴァルキリーとしては、注目を浴びるのは賞金を稼ぎやすくなるから、むしろいいことなんだけどね~」

「……梨花さん、この映像を作ったのって」


梨花に問いつつ、真樹はその『誰かさん』に心当たりがあった。

映像にあったペナルティのシーンは、いずれも真樹が関係していた試合。

そして、この全てに関係しているイケメンに心当たりがあった。


「うん、ヤミト君みたいだねー。

相変わらず、キミに大注目してるみたいだよ。

ついでに、他の女の子達も手に入れようとか考えてるんじゃない?

裕ちゃんとかは手懐けちゃってるわけだし」


真樹は無言になる。

ペナルティを何度も経験して、自分は淫乱なのかもしれない、と悩んでいたのに。

これからもあの男をはじめ、沢山の者が自分を狙ってくるという。



このまま、これからもその境遇に立ち続けられるだろうか。




「さて、これが昨日の動き1つ目ね」

「………1つ目?」

「色々と動きがあるって言ったでしょ?

真樹ちゃん達が天命戦やってる間、王坂オーサカでもちょっとした出来事が起きてたんだー」


そう言って、梨花は次の映像を見せる。

ヴァルキリーゲームズ側が用意した、公式の試合映像。


つい昨日行われた、とある試合。

リングの上で狐耳を付けた制服姿のお嬢様が、悠々と立っている姿が映し出されたのだった。


気を抜くとなんとなーく5人組にしちゃう筆者の悪い癖。


ここまで読んでくださった方はお気づきかもしれませんが、本作には18禁Verが存在します。

読まなくても話が分かるように作ってはいますが、今回のように『全年齢版には存在しないシーン』が回想で登場することはあります。

気になった方は探してみてください。

あ、もちろん18歳未満は閲覧禁止ですよ?

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