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8-8:吊し上げ

「いやー、参った!

殴られるのは結構平気だって自信あったのに、こんな形でヤラレちゃうなんてねー」


試合の決着が付き、大歓声が響くコロシアムの中。

真樹の蔦締めによって意識を刈られた香澄は、目を覚ますなりあっさりと敗北を認めたのだった。


「大丈夫でした?」

「今は大丈夫だよー。

意識遠のいた時は、『あっこれヤバいわー』って思ったけど、なんか『あっ、これがオチるってことかー』って納得しちゃった♡」


香澄は頭を掻きながら、からからと笑う。

気絶から回復した彼女には、後遺症などは感じられない。


どうやら、意識だけを落とす真樹の技は、うまく行ったみたいだ。

真樹としては初めて人に向けて絞め技を使ったので、気が気ではなかったのだ。


「それに、真樹ちゃんのおムネも体感できたから、よしとするかー」

「あぅ……」


香澄の恍惚とした表情で言う言葉に、真樹は思わず赤面する。


首を絞めている間、真樹は身体を密着させていた。

背中の羽根飾りをどかし、香澄の後頭部を引き寄せるような形で絞めていた。

結果的に、真樹は胸を押しつける形になってしまっていたのだ。


「やっぱいいカラダしてんねー。

あーん、もっと触ったり揉んだりつついたりすりついたり舐め回したりしたかったよ~」

「いやいや、試合中にしないでよっ!?」

「あり?むしろしないでどうするのさー?」


身体をくねらせながら甘い声を出す香澄に、思わず突っ込みを入れてしまう。

だが、真樹の突込みに対して、香澄はきょとんとした顔で答える。


「こんな大観衆の前で、えちえちな姿見せつけなきゃ稼げないでしょー?

せっかく可愛いんだから、みんながもっと見たくなるようなことをした方がいいよ~♡」


香澄は真樹に一歩近づいて、真樹の身体を指差す。

人差し指は真樹の顔から、胸、腰、脚へと示していく。


可愛らしい顔、シャツの下に隠された豊満なモノ、すらりとした腰につけたスカートからチラ見えする、スパッツに包まれた太もも。

観客達が何を期待しているのか、香澄の目にはよくわかる。

この肢体を見せつけてきたからこそ、ここまで凄まじい勢いで人気を獲得してきたのではないか。

香澄はそう考えていたのだった。


「あはは、まぁ真樹ちゃんの場合は、勝利へ向かって真っ直ぐ頑張ってる方がいいと思うけどね」


聞き覚えのある爽やかボイスが聞こえてきて、真樹は思わず身構える。


常連客にして女子の天敵・ヤミトが、複数の男と共にコロッセオの中に入ってきたのだった。


「真樹ちゃんお疲れ様。

まずは1戦目、勝利おめでとう!」

「あ、ありがとうございます…」


労ってくる青年に礼を言うが、真樹の表情は硬い。

この男は自分のファンだと言ってくれているが、それはつまり自分の身体を狙っているということ。

今この間にも、彼は自分を辱めようと策を巡らせているのではないか。

思わずそんな考えが巡ってしまうほどには、彼のことを警戒していた。


「貴方がここにいると言うことは…」

「あ、うん。僕は香澄ちゃんの方に賭けてたよ。

さすがにここでやられるほど、真樹ちゃんも甘くないって思ったからねー」


真樹の考えを先読みするかのように、ヤミトは答える。

真樹の勝利を信じていたというべきか、香澄のカラダという景品を狙っていたというべきか。

いずれにせよ、この試合で行われていた賭けに勝ったということだろう。

もちろん、大金を使うことによって。



そんな男達の傍にある荷台には、色々なアイテムが乗っている。

そこには、真樹は名前も知らないような、オトナのおもちゃがズラリ。

これから行われる淫らなショーを暗示しているかのようだった。


「あーん、またヤマト君にメチャクチャにされちゃう~~♡」

「すっごく楽しそうだね♪」

(また……?)


2人のやり取りに、思わず心の中で突っ込んでしまう。


つまり、香澄はペナルティは初めてではないし、この男に弄ばれたことがあるということだ。

身体をくねくねと揺らす香澄に、ヤミトはにこやかな顔を向ける。

初体験のような緊張感ではなく、既に打ち解けたかのような気安さで接する香澄とヤミト。


そんな2人のやり取りを、なにかもやっとした気持ちで見つめる真樹であった。


「んじゃ、賞金の方を発表しとくぜ。

まずは勝者、真樹!

賞金はぁ、1042万5000エン!!

まぁ、いきなりの試合ならこんなもんだろう!」


1000万超えという数値ではあるが、現在の肩書きである『1200万の女子校生』には届かない数字。

大金には違いないが、人気選手としてはまずまず。

そんな金額が真樹に送られるのだった。


「んで、没収となる香澄の方だが……」


そこで実況は、一度言葉を切った。


「1632万7000エン!!

言うまでもなく、香澄の賭け金は記録を大幅更新だ!

授与できないのが実に悔やまれるぜ!」

「うぇぇぇっ、そんなにっ!?」


さすがの香澄も驚きを隠せず、頓狂な声を出す。


「恐るべし、真樹ちゃんのアゲ女子効果!

これが貰えてれば、料亭行ったり、マンション買ったり出来たかもしれないのに…!」

「香澄ちゃん、お金好きだもんねー」

「そりゃあもう、目指せ贅沢三昧!の気持ちで女戦士ヴァルキリーやってるからね、うちは」


ヤミトの言葉に、香澄は目を輝かせて答えた。


彼女の戦う目的はお金のため。

ある意味、一番分かりやすい参戦理由である。


ヴァルキリーゲームズでお金を稼ぐためには、男どもに大金を賭けてもらう必要がある。

こんなゲームに来る以上、男どもの欲情を煽るためなら何だってやる。

そのために、香澄は女子校生ファイターのセオリーである制服を使わず、かなり露出の高いコスチュームを身に付けているのである。


これまでも数十万単位の賞金を貰ったことはある香澄だが、さすがに2桁飛ばした金額になるとは思わなかったのだ。


「はぁー、負けちゃった以上はしょーがない。

頑張ってカラダで稼ぎますかー」


敗者は賞金を受け取ることなく、その身体を弄ばれる。

そんなルールは、とっくに分かりきっている。


香澄は、ペナルティを受けることに対する悲観さはないようだ。

慣れているのか、それともえっちぃことも平気なのだろうか。


そんな彼女の様子に、つくづく同じ女子校生かと思う真樹であった。




真樹はもう一度、ヤミト達が持ってきた荷台を見る。

その上には色々とオトナなアイテムが。

これらを使って、香澄はこれから弄ばれてしまうのだ。


既に一人の男が香澄に近寄っていき、黒い布で目隠しをされていた。

そんな彼女の、霰もない姿を想像してしまい、つい顔を赤らめてしまう真樹。


「んふふ、何を想像してるのかな?」

「んひゃっ!?」


突如横からかけられたヤミトの言葉に、思わず悲鳴で応えてしまう真樹。


「香澄ちゃんが色々されちゃうのを想像した?

それとも……」

「い、言わなくていいですから!」


『まさか、自分がされているのを想像した?』

そんなセリフを言われる前に止めるのだった。


「まぁ、香澄ちゃんの方には、その想像が現実になるんどけどねー。にしても…」


何かを思い至ったようで、ヤミトは意味深な顔を向ける。

そして、近づいてきたヤミトは、真樹にだけ聞こえる声で、こう言った。




「今までも倒してきた相手が弄ばれるのを見てきたのに、今更気恥ずかしくなってきたのかい?」



優しい声色で、しかしはっきりとした指摘。

内心ドキリとする真樹。


「あはは、まぁいいか。

それじゃ、次も頑張ってね♪」


ヤミトの言葉を背に受けて、真樹はコロッセオを出ていくのだった。



コロッセオにはじゃらりと鎖の音が響く。

天井から下げられた鎖が、その先についていた枷が、香澄の両手両足に繋がれる。

そのまま香澄は、手足を吊り上げられる。


吊し上げにされた、羽を持つサンバ巫女。

そんな獲物に、男達はとある道具を持って近づいていく。

そして……


「あひぃぃぃんっ!」


拘束された香澄が喘ぎ声を上げる。


男達が持っている機械の先からコードが伸び、その先についているパッドが香澄の肌にぺたりとつけられているのだ。

そして、彼女の身体には、そこから電流が流されていっている。


そう、AEDなどにも使われている、電気ショックである。


「んひゃああああ、おほぉおおおおっ♡」


どうも、頑丈な彼女にはより刺激をということで、電気ショックを用意していたらしい。

ビリビリと電流を流されて、くねくね腰を揺らしながら喘ぐ香澄。


その様子を、真樹はコロッセオの入り口から眺めていた。


「うふふ、興味津々かしら?」

「そ、そんなことは…」


笑うカグヤの言葉に、真樹は慌てて返す。

ペナルティを見てるのは、あくまで残心。

あくまで対戦相手に対する敬意として見てるだけ、戦う者としての礼儀として見てるだけなのだから。


「くすくす、まぁいいわ。

でも、今回は相手の方が賞金多かったわねぇ。

女としては、あっちの方が価値があったってことかしら」


カグヤの指摘に、真樹は複雑な表情になる。

今まで何度も試合を行ってきたが、敗者である相手の方が賞金が多かった、というのは初めての経験だったからだ。


ヴァルキリーゲームズの賞金は、観客達がどれだけ『その選手に手を出したいか』という気持ちが現れる。

それは、単なる選手の魅力だけで決まるものではない。

選手の実力の前評判、試合そのものの期待値、様々な思惑が絡まった結果だ。


とはいえ、この試合では香澄の方が『価値がある』という結果になった。


ただそういう結果になった、といえばそれだけなはずだが……

まるで『女として負けた』と言われたような……


なんとも言えないもやもやが、真樹の心の中に残る。


「うふふ、可愛いわねぇ。

色々悩めるのも、若者の特権よねぇ♡」


微笑ましく笑うカグヤだが、すっと表情を真剣なものに戻す。


「さて……時間がもったいないわね。

さっそくだけど、次の試合の相手だけ決めちゃっていいかしら?」


『試合は香澄ちゃんのペナルティが終わってから始まるけどね』と言いつつ、カグヤは懐から取り出したくじの山を差し出す。


香澄のペナルティが終わったら、すぐさま次の試合となるのだ。

試合をスムーズに始めるためにも、対戦相手の決定だけはしてしまおうということだろう。


カグヤの手の中に収められたくじの束。

選ばれた一本に書かれた者は、真樹に打ち倒されて辱めを受けることになるか。

あるいは、真樹自身が打ち倒されるほどの強者が出てくるか。


真樹はふぅっと深呼吸。

覚悟を決めた真樹は、一本のくじを引いた。




「…………え?」




書いてある文字に、思わず思考が止まる。

なぜ、この名が書かれているのか、理解できなかった。



「うふふ、これは面白いことになったわね♡」


カグヤはにっこりと微笑む。

対する真樹は、呆然となるのみ。



真樹の天命戦、第2戦の相手。



くじには、『ファイアーレスラー』大山と書かれていたのだった。


お待たせしました、続きです。

年末ですねー、忙しいですねー。

寒い日が続いてますが、皆様体調崩さないようお気をつけてー。

筆者は体調崩した→仕事が溜まる→また体調崩すのループが起きてます。


【追記】

年末忙しすぎて、また更新できず…!

申し訳ありませんが、年内更新はこれが最後になります。

また来年、お会いしましょー。

皆様、よいお年を!

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