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7-7:その道は底なし沼

無事に試合が終わり、観客たちが帰ったコロシアム。

いつもは静かになるはずのリングだが、しかし今日は少し様子が違う。


試合後の風呂を浴びて、裕がコロシアムから去るのを見送ることにした真樹たち。

だが、彼女は帰る前に、このアドバンスリングで人と待ち合わせをしているという。


そして……



「えへへ、ヤミトく~~ん♡」


観客席で一人帰らずに待っていた青年に、思いっきり抱き着いたのだった。


甘い声を上げながら、私服になった裕は青メッシュの青年の腕に絡みつく。

それも、大きな胸を大胆にも彼の腕に押し付けながら。

その幸せそうな表情に、見送りに来た真樹と大山はなんとも言えない。


「……なんか、キャラが変わっちまってねぇか?」

「だって、ヤミト君とキス出来たんだよ!

裸だって見られたんだよ!

もう結ばれるしかないよね!」


大山の呆れ声に、裕は目を輝かせて答えるのだった。

抱きつかれているヤミトの方も苦笑いだ。



試合が終わった後、ペナルティとして男たちに弄ばれることになった裕。

だが、彼女を取り囲む男達の中には、裕が想いを募らせていたヤミトも参加していたのだ。

裕は憧れの男に相手してもらうことになって、むしろご満悦である。


公開告白からの口付け、そしてストリップをやってみせた裕。

その際に、実は巨乳を隠していたことが発覚した。

服の下のサラシで押さえつけていた胸を隠さなくなった裕は、観客たちに見られる中で堂々と乳を晒し、その胸を憧れの男に押し付け、彼をMAXまで興奮させるまでやってのけた。


おまけに、彼が喜んでくれるなら他の男に抱かれても構わないとまで宣言したのである。


リングの上では凛とした武道家という面を見せていた裕であったが、今はただ、完全に一人の想い人のために痴女と化していたのだった。


「うふふ、ベタ惚れなのを隠すこともやめたのね」

「まー、よかったんじゃない?

女戦士ヴァルキリーで好きな男とくっつけるなんて、なかなかレアだと思うよ?」


同じく彼女を見送りに来ていたカグヤと梨花は、そんな侍少女の様子にニヤニヤとする。


負ければ男たちに問答無用で弄ばれるというゲームの性質上、女戦士ヴァルキリーの身の上でまともな恋愛は期待できない。

実際、梨花もカグヤも、男達とえっちなことをすることに抵抗はないが、特定の人間に好意を向けるような恋愛はもう出来ないと考えていた。


そういう意味でも、珍しいものを見せてもらったとご機嫌だ。



「裕ちゃん、幸せそうだね」

「そりゃあね!ヴァルキリーゲームズで叶えたい夢が叶ったわけだし♪」


裕にとって、女戦士ヴァルキリーでいるのは彼に気に入られたいが為。

試合に負けたとはいえ、彼女は確かに目的を達成したのである。


「やれやれ、随分な惚れっぷりだな」

「あはは、僕もびっくりしたよ。ここまで懐かれるなんてね」


大山のやや呆れた声に、ヤミトの方も苦笑して答えた。

散々女を弄んできたイケメンも、ここまで真っ直ぐ好意を向けられるのは予想外だったらしい。


「なんにせよ、これでアンタもちっとは大人しくしねぇとな。

せっかくカノジョが出来たのに、真樹やアタイらを追い回してる場合じゃねぇだろ」


こんなに想ってくれる女が傍にいるのに、他の女にうつつを抜かしていいわけない。

大山としては一般的な感覚を言ったつもりだったのだが……


「え、何を言ってるのさ?

僕はまだまだ、君達のペナルティの姿を追い求めるつもりだけど?」


当の悪魔イケメンはけろりと答えた。


真樹や大山は、依然としてヴァルキリーゲームズの注目株。

動画投稿者として、ヴァルキリーゲームズのファンとして、追いかけるのは必然といえた。


「……は?

いやいや、可愛いカノジョが傍にいるのに、他の女追い回してていいのかよ!?」

「裕ちゃんも、それでいいの?

この人、本当に節操が無いと思うけど?」


こんな淫らなゲームに、まだまだ入り浸る気満々な青年。

そんな彼にベタ惚れしてる女侍は、てっきりそんなことを許さないように思えたのだが……


「貴女達こそ、何を言ってるの?」

「「へっ?」」

「ヤミト君は、貴女達のハダカをまだまだ撮りたがってるんでしょ?

だったらボクは、それをお手伝いするに決まってるじゃない!」

「「……はぁっ!?」」


まさかの答えに、真樹も大山も驚愕する。


女戦士ヴァルキリーとして、負けっぱなしなのも悔しいし。

真樹ちゃんもそうだけど、大山さんだっけ?

貴女もなかなか強そうだし、何よりいい身体してるもんね」


ヤミトに腕を絡めたまま、裕は真樹と大山を交互に見渡す。


猫耳をつけた女子校生に、自分より豊満なものを持つレスラー女子大生。

覇氣使いという『普通には手を出せない』実力者であることも加えて、男達が狙いたがるのはよく分かる。

賭けられた賞金の額を見ても、男どもは彼女達を『魅力的な女』と認識しているのである。


裕とて女戦士ヴァルキリー

戦士としても女としても、このまま負けたままでは終われない。


「見てろー!ボクももっと強くなって、貴女達を打倒してあげるから!

そして、ヤミト君の前にそのカラダを差し出させてやるんだから!

可愛い女戦士ヴァルキリーは、みーんなヤミト君のモノにしてやるんだかね!」

「えぇー、そうなるの……?」


変態イケメンの手綱を握ってくれそうな人が現れたと思ったら、むしろ変態の助っ人が増えてしまった。

他の女戦士ヴァルキリーが辱められる姿を、想い人に捧げるために戦い続ける。

そんな歪な愛情おもいを胸に戦うライバルが誕生してしまったのだった。


「あはは、そういうわけで、これからも僕は君達のことを応援するからね。

せいぜい、簡単にやられないように頑張ってね」


ニコニコ笑顔を向けるヤミトと、彼に追従するように微笑む裕。

ヤミトに狙われる側である真樹や大山からすれば、たまったものではない。


「それじゃあ行こうか」

「今日はこのまま一緒にホテル泊まってほしいんだけどー」

「あはは、しょうがないなぁ裕は」


巨乳の女侍を侍らせたまま、悪魔イケメンはコロシアムを去っていったのだった。




「なんか、どっと疲れたな……」

「うん……」


直接戦ってもいない大山ですらこれである。

試合の勝者である真樹の心情は推して知るべしだ。


「どうした、真樹?」

「あ、ううん。なんでもない」


その真樹は、なんとも言えないモヤモヤを心に抱えていた。

少々歪ではあるが、誰かのために強くなるという姿を見せつけた裕。

迷うことがなくなった彼女は、おそらく今後もっと手強くなるだろう。


「うふふ、真樹ちゃんも負けてられないって感じかしら」


カグヤが微笑んで近づいてくる。


「それとも、貴女も彼の隣の座を狙ったりしてるのかしら?」

「いや、それはないですから!」


カグヤのからかいに慌てて答える真樹。

まさか彼に気に入られたいなんて、そんなこと思ってるはずはない。


全力で否定する真樹だが、その慌てぶりが可愛らしい。

ニコニコと微笑むカグヤだが、ゆっくりと真剣な顔を見せる。


「うふふ、どうかしら。

まぁ、闘志が消えていないのなら、やることは一つよね?」


カグヤの真剣な眼差しに、こくりと頷く猫耳少女。


「はい……私、もっと強くなりたいです。

まずは、さっきの神氣を使いこなせるようにならないと」


実際、今日の試合で一度はダウンを取られてしまった。

リングの外に叩き落されるまでは、本当に勝ち筋が見えていなかった。


あの時、神氣を発動できなければおそらく負けていただろう。

あの力を、自在に引き出せるようにならないといけない。


裕だけに限らず、自分に勝とうとしている女戦士ヴァルキリーはこれからも現れるだろう。

ヤクシマでの戦いで広く名が知られた自分は、常に狙われる立場になったのだ。


ならば、今のままで居ていいはずはない。

今以上に、もっと強くならなければ、男達にカラダを差し出すだけになってしまうのだから。


「うふふ、それならまた遠征に行かない?

夏休みも終盤だし、私も用事があるし。

いいコロシアムに連れて行ってあげるわよ?」


決意を新たにしていた猫耳少女を、妖艶な巫女は誘う。


「ちょい待ち、カグヤっち!

もしかして、あそこ?

あそこは真樹ちゃん達にはちょ~っと早いんじゃないかなー?」


カグヤの誘いに何か不穏なものを感じたのか、珍しく梨花が『待った』をかけた。


「あら、この子たちにはいい経験になると思うけど。

若い子はいつも新しい刺激が欲しいものじゃない?ねぇ?」


カグヤはニコニコ顔で真樹と大山に微笑んでくる。


「一体どんなところなんだ?」

「この国で最も老舗なコロシアム。

とっても刺激的なところよ♡」


大山の質問に、カグヤはニコニコ顔で答えた。

そして、妖艶な顔で真樹たちに聞き返した。


「さて、どうする?」


カグヤはこれでも、ミトのナンバー3にして、マスタークラス。

全国でもトップクラスの実力者である。


そんな彼女が勧めてくるのだから、いい修行になるのは間違いない。


しかし、新人教育に熱心な梨花がストップをかけるくらいだ。

生半可な場所ではないのだろう。

それでも……


「……行きます!

新しい戦いの舞台に、連れて行ってください!」

「アタイも行くぜ!

置いていかれるわけにはいかねぇよ!」

「うふふ、そうこなくっちゃ♡」


高みを目指している真樹は、迷いを振り払うように頷いた。

それに釣られるように、大山も遠征に名乗りを上げる。

やる気に満ちた新米2人に、満足げに微笑むカグヤであった。


「……これは、沼にハマったかもしれんね」


梨花は少し呆れ顔で、真樹たちに聞こえないようにつぶやいた。


真樹たちが歩む道には、高い山と深い沼が待ち受けている。

もしかしたら、女戦士ヴァルキリーとして大きな分岐点になってしまうかもしれない。


せめて若い芽が呆気なく堕ちるようなことにならないでほしいと願う梨花であった。


というわけで、7章終了です。

これまでと毛色が違うライバルを登場させようとしたのですが、いかがでしたでしょうか?


次章では再びの遠征。

更なる成長を求める真樹たちに立ち塞がる高い壁とは?

引き続きお楽しみください!


全年齢版は7000PV突破、感謝!


以下、テンプレ。

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