表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/106

6-5:浜辺の水着美女にやってみたいコト

「うぐぐ……この茜様が、こんな小娘に負けるなんて~~…!」


無事にプールから救出された茜だったが、リングに上がるなり悔しそうに歯噛みする。

まぁ、年下の少女に呆気なくプールに放り込まれたのだ。

それもかなり優勢だったところからの一発逆転。

茜本人としては悔しさも倍増だろう。


もっとも、彼女は大きく油断していたようなので、自業自得な部分も大きい気もするが。


「えーと……なんか、すみません」

「ホントだよっ!!」

「大丈夫でしたか…?」

「あたしだってヴァルキリーだよっ!

ポロリごときで動揺するかぁっ!!」

「顔真っ赤にしながら言っても、説得力ないですよ…」


涙目になりながら騒ぐ茜に、真樹は困惑しっぱなしである。


ヴァルキリーゲームズという舞台である以上、恥ずかしい目に会う覚悟は出来ている。

とはいえ、実際に恥辱の目に遭った時に動揺するかはまた別問題である。


全員が水着着用という、ヤクシマ・コロシアムならではのハプニング。

それを狙った真樹の一手に、ものの見事に心乱されたのだ。

女戦士ヴァルキリーとしてはむしろ真樹を褒め称えるべきなのだが、かといって自分の危機を素直に称えるのも癪だ。


そんな複雑な気持ちは、結局敵意という形で表に出てしまう茜であった。


「見てなさい!あたしはアンタをライバル認定したわ!!

いつかアンタに恥ずかし~い敗北を与えてやるんだから!!」

「あぅ……」


勢いそのままにビシッと指差す茜の迫力に、真樹は口を挟む隙すら無かったのだった。


とはいえ、真樹としては今回の試合はかなり収穫の多い試合であった。

練習中だった空中ダッシュ・舞空を実戦で使えたし、何より王羅(オーラ)という新しい覇氣の形を見ることが出来た。

それに、覇氣使いとしては自分よりレベルの高い域にいるであろう茜に勝利することが出来た。

やり方次第では強者に勝てるというのが、はっきりと分かったのだ。


「えと……対戦ありがとうございました!」

「えーーい、いじらしいなチクショウーーー!!」


せめてもの礼として、礼儀正しくお辞儀する真樹。

未だ初々しさの抜けない、あどけない姿の真樹に思わず眩しさを感じてしまう茜。

これが、10代と20代の間にあるという絶対的な差なのだろうか。


何にせよ、この勝利で真樹はまた大きく注目されることになるだろう。


「さーて、盛り上がったところでそろそろ賞金の話と行くぜ!」


見計らったかのように実況が声を上げ、ドラムロールが会場に響く。

そして、コロシアムの大スクリーンに賞金額がバンッと表示された。


「今回の真樹ちゃんへの賞金は、126万7000(エン)だ!

初戦としちゃ、まぁまぁな額じゃねぇか?」


350万の女子校生という肩書きにしては少ない気もする。

しかし、長いお祭りの始まりとしては十分なスタートだ。

ここから更に駆け上がっていくことになるだろう。


「ちなみに茜に賭けられていたのは、125万6000(エン)だ!

ほほう、結構互角だったな!

これを初戦にと考えた会長の慧眼には参ったぜ!」


確かに、人気・実力ともに真樹と拮抗していたというのは事実だった。

真樹も一歩間違えれば負けていただろうし、試合全体では茜の方がずっと優勢だった。

どちらが勝ってもおかしくない試合であったのだ。


とはいえ、負けは負け。

今回の茜の賞金はすべて没収となる。


「あぁ、ちなみにこのヤクシマ・コロシアムではカードに振り込まれる。

さすがにプールで現金渡すのはアレだからな。

島を出る前に金を引き出すのを忘れんなよ?」


実況から補足説明が入る。

真樹達は島に来た時に、カードキーを渡されているのだ。

ヴァルキリーゲームズ関係者であることを示す身分証であり、ホテルの宿泊に必要なキーであると同時に、大会用の特別なキャッシュカードの役割を果たしている。

裏社会ならではの特殊仕様のカードで、この島でのみ使用可能なカードというわけだ。

女戦士ヴァルキリーにとっては賞金を振り込まれる大事なカードだ。


もちろん、観客達にとっても大事なカード。

なんせ賭けを行うのに必要なものだ。

ペナルティというお楽しみをするためには必要なのだから。


なお、他人のカードを無断で使用するのは制裁対象である。

女戦士ヴァルキリーだろうと、観客だろうと。


「つーわけで、猫耳闘士・真樹ちゃんはこれにて無事、リングから帰れるってわけだ!

だが、祭りはこれからだぜ?

憧れの人の記録に挑戦する気なら、これからもバンバン戦ってくれよ!」


プールにまた橋がせり上がり、真樹は帰ることを許される。

その際に、実況がまた煽ってきた。

真樹の目標について、レオ会長から聞かされていたのだろう。


言われるまでもない。

真樹の今回の目標は、憧れの瑠璃亜と同じ10連勝。

この後すぐにでも、次の対戦相手を探さないといけないだろう。


とはいえ、その前にまずはいつもしていることをする気なのだが。

そう、ペナルティを最後まで見届けるというものを。



真樹と入れ違いに、水着を着た男達がやってくる。

欲望を滾らせた観客達は、今回の試合で茜が負けることに賭けていた者達。

その中で最も多くお金を賭けた7人が、ペナルティの権利を手にしているのだ。


「ぐひひ……茜ちゃ~ん、負けちゃったね~」

「いやー、美人秘書をこうしてお触りできるなんて、黒獅子の会長さんは太っ腹だなぁ~」

「今度は俺達と熱くなろうぜ~、虎ちゃ~ん」


ニヤニヤと下衆な笑みを浮かべながら、男達はリングの上に上がってくる。


「うぐぐ……あ、あたしを好きにしようってんだから、ちゃんとあたしを魅力的にしなさいよね!

あの子よりイイ女だって証明してやるんだから!」


顔を真っ赤にして、ちょっと涙目になりながらも強がってみせる茜。


だが、ペナルティは罰ゲームであると同時に、自分が魅力的な女であるとアピールする場でもあるのだ。

なんせバトルでも賞金額でも、見事に真樹に負けてしまっている。

せめて今後のためにも、イイ女だと分からせてやらねばならない。

この男どもの欲望を利用してやらねば、女戦士(ヴァルキリー)の名がすたると、茜は気合を入れ直す。


「にひひ、実はオレ、やってみたいことがあるんだよね~。

せっかくの水着美女さんなんだから、夢叶えてもいいよね?」


そんな茜に向かって一歩前へと進んできたのは、今回最も賭け金が多かった青年だ。

彼はそのまま、茜に耳打ちをする。


「うぇっ!?あーうん、別にいいけど……」


茜はその提案にやや困惑しながらも、割とあっさりと飲んだ。

青年は一度男達の元へと戻ってくる。


なんだなんだと観客達が期待する中、茜は出来る限りの可愛らしいポーズを決め、笑顔でこういった。



「うふふ、捕まえてごらんなさ~い」



青年がやってみたいこと。

それは、ドラマなどでよく見掛ける、浜辺での追いかけっこの再現。

笑顔で逃げる女の子を楽しそうに男が追いかける、憧れの男女の戯れ。


茜の台詞と共に始まったのは、プールでの楽しいスキンシップ……





……なんてものになるはずもなく。



「「「うおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!」」」

「ぎゃあああああっ!!?」


雄叫びと共に茜へと突っ走ってくる男達。

そりゃ、捕まえてごらんなんて言われたら、本気で捕まえに行くのが本能というもの。

まさに獲物を狙う野獣のごとし。

眼光をギラつかせた男達から、思わず茜も本気で逃げだしてしまう。


しかし、ここはプールの上のリング。

逃げ場などそもそも無い。

追い詰められた茜は、結局またプールに飛び込んでしまった。


「あばばば……!」

「ぐへへ、待て待てーー!!」

「逃げ場なんてないぜぇ~?」


もちろん、それで諦めるような男達ではない。

そのままプールに飛び込んで、茜を追って泳いでくる。

まるで人喰いザメかのように、目に見える恐怖として泳いでくる男達。

カナヅチの茜には、為す術もなかった。


「ぐひひ、捕まえたぞ~」

「きひひひひ、いただきます、だ!」

「あばばば、ぎゃあーー!」


ついに男達に捕まってしまった。

溺れかける茜を助けるように、しかししっかりと逃がさないように。

腕を掴まれ、足を持ち上げられ、囚われの身となった赤き秘書。


そして、一人の男の手が茜へと伸びていく。


「いっ!?はぎゃあああああああっ!!?」


そして、何のためらいもなく、上の水着に手をかけた。

そのまま思いっきり引っ張って、堂々と水着を剥ぎ取ったのだ。

ポロリどころか、モロに上裸を晒されて思わず悲鳴を上げる茜。


「「「YEAHHHHHHHHHHHHHH!!!」」」


一切の容赦ない脱衣KOに、会場の観客達からも歓声が上がる。


だが、それだけではない。



カシャ!

カシャカシャカシャ!!



嫌な音が聞こえて、茜は思わず観客席に目を向けた。

そこには、それぞれにカメラやスマートフォンを構えた観客達の姿。

たくさんのフラッシュが、シャッター音が茜に向けられている。


「みぎゃああああっ、と、撮るな、撮るなぁぁぁ!!!」


悲鳴と共に泣き叫ぶ姿もまた、観客達のカメラに収められてしまうのだった。



このヤクシマ・コロシアムでは、ペナルティ権利者以外でも撮影OK。

もちろん、ペナルティ中もである。

そのあられもない姿を、思い出として保存することが許されているのだ。


多くの人に写真や映像を撮られるこの現状。

いくら裏社会が厳しくても、万が一流出でもしてしまったら死は免れない。

社会的に、あるいは精神的に。


「だから言ったでしょ?

水着剥ぎ・社会的死を賭けた戦い(デスマッチ)だって♪」


解説席でニコニコする梨花の言葉が聞こえて、真樹は思わず震える。

ヴァルキリーゲームズのお祭りである以上、分かっていたはずのコトではあった。


だが、改めてここが、いつも以上に特別な場所なのだと突きつけられた。

戦いの熱さも、そして罰ゲームの淫靡さ(リスク)も、跳ね上がっていくものなのだと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ