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5-7:更なる高みへ

「ふぅ……」


温かいお湯が気持ちいい。

戦いの後はやはり温泉で体を癒すのが一番だ。


今日の戦いを無事に終えた真樹と大山は、コロシアムに併設された浴場施設で、ゆっくりと温泉に浸かっていた。


「なんだかドッと疲れたな…」


大山の一言に真樹も頷く。

実際、今日は慌ただしい一日だった。


まずは大山の昇格を賭けた戦い。

昨日の最終調整が完璧にならないままの試合ではあったが、無事に覇氣を使った大技も炸裂させた。

上位クラスへの昇格も決まったのだ。


しかしそれを喜ぶ暇もなく、神無月の乱入。

カグヤに乗せられてしまい、真樹はいきなりヴァルキリーゲームズ出場権を賭けた戦いをすることになってしまった。

しかも、実は相手の武器に少しでも触れたらほぼ負けというハンデ戦。

実は今までで一番緊張した戦いだったのだ。


おまけに、神無月にもペナルティが執行された。

まさか後から現れた女性・雅警部があんな感じだったとは……

色々と衝撃な出来事が続いたものである。


その雅たちは、少し前にコロシアムを去っていった。

真樹は、その時のことを思い返す。




『お、覚えてるですよ…

この屈辱、忘れないですよ…』


ペナルティがひと段落した後。

服をはだけさせてぐったりとしながらも、いまだ敵意を見せる神無月。

その根性だけは見習うべきところがあるだろう。


それは雅から見ても同じだったようで、随分と神無月のことを気に入ったようだった。


『梨花、すまないがホテルを一部屋開けてほしい』

『何~?神無月ちゃん独り占め~?』

『いや、流石にこの格好のまま帰すわけにもいかんだろう。

風呂を浴びて、ついでに色々講義をしてから帰すつもりだ』

『はいはい、フロントには話通しとくよー』


ヴァルキリーゲームズのコロシアムに通じる地下通路は、様々な施設に繋がっている。

その中には、宿泊施設さえもあるのだ。

本来はコロシアムの熱気に充てられた男女が入るようなホテルなのだが、まぁ休むだけの設備が整ってはいる。

そこでひと休みしてから、表の職務に戻るつもりらしい。


梨花と一通り話を終えた雅は、真樹達に顔を向けた。

そこには欲望に溢れた顔はなく、凛々しく冷静な、まさしく『出来る女』の顔があるだけだった。


『フフ…騒がせてしまってすまんな。

うちの新米が迷惑をかけたようだ。

これ以上の再教育は私の方でやっておくから、君達はこれからも気にせずコロシアムに挑んでくれ。

ただ、表の連中に迷惑をかけないようにな』


雅の言葉に、真樹達は頷くのみ。

クールな笑顔を向ける雅警部だが、どう『再教育』するのかは、怖くて聞けなかった。


雅は改めて真樹の方を見る。

吸い込まれそうなほど綺麗な瞳が見つめてきて、真樹は思わず緊張してしまう。


『君が噂の猫耳闘士だね。

なるほど、興味深い娘だ。

色々と大変だろうが、ここからが正念場だから頑張ってくれ。

いつか、私と手合わせしてくれる日を楽しみにしているよ』


軽く微笑む雅もまた、真樹へ何かを期待をしているようだった。

その後も軽く梨花やカグヤに挨拶した雅は、まだブツブツと恨み節を言う神無月を支え起こし、彼女を連れてそのままコロシアムを去っていったのだった。





「あの警部、エキスパートってことは結構できるってことだよな。

真樹、随分といろんな奴に気に入られてんな」

「うーん…なんでだろ?」


どういうわけか、真樹はミト・コロシアムで注目を浴びやすい。

一見大人しそうな容姿か、それとも覇氣も操る戦いの実力か、それとも運か。

真樹は自身を、ただの格闘好きな田舎娘と評しており、妙に注目を浴びてしまうことをこそばゆく思っているのだった。


「まー細かいことはいいじゃん。

ここで人気になるってのは、女戦士ヴァルキリーとしてはプラスなんだからさ♪」


そう言いながら梨花がやってきた。

諸々の事後処理を終えた梨花は、「やっとゆっくりできる~♪」と、親父感丸出しで湯船に浸かる。


「あれ、あの巫女さんは?」

「カグヤちゃんなら、消化不良だから男漁りしてくるってさ♡」


今回の騒動の原因にもなった、女戦士ヴァルキリーとして大先輩でもある巫女さんの姿が見えない。

そのことを聞いた真樹に、梨花はさらっと答えた。

何やら不穏な言葉が聞こえたので、こちらも深く追及しない方が良さそうだ。


「いやーしかし…」


風呂に浸かった梨花は、ジロジロと真樹と大山を見る。

もちろん注目しているのは……


「むふふ、改めてイイ身体してるよねー2人とも」

「いっ……うひゃあ!?」


女戦士ヴァルキリーはたやすく気を抜いてはいけない。

ばしゃんっと湯が飛び立ち、次の瞬間には真樹のすぐ後ろに梨花がいた。

一瞬で梨花に接近を許してしまい、胸を揉まれてしまう真樹。

むにりとした感触が、梨花の心を癒してしまう。


「くっ、梨花先輩!それ以上近づいたら…」

「こうしちゃうよ~ん♪」

「うぉあああっ!?」


臨戦態勢を取った大山もまた、呆気なく胸を触られてしまう。

大山の大きな胸がむにゅんと揉まれ、慌てる大山のおかげでバシャバシャと湯が溢れていく。


「にひひ、やっぱりちょいと成長してるねー。

ペナルティを経験して感度上がっちゃった?」

「「はぁ…はぁ…」」


いきなりの襲撃に息を切らす2人。

せっかくの温泉での休息で、なんでまた襲われなきゃいけないのか。


「うぅ…不覚…」

「なんで風呂であんなに動けるんだ…?」


真樹と大山は胸を押さえながら、警戒するように梨花先輩を見る。

元の位置に戻りニコニコとしているこの先輩、まだまだ底が知れない人である。


「ところでさ、話変わるんだけど、2人とも水着は持ってる?」


梨花の突然の質問に、真樹と大山は顔を見合わせる。


「水着は…学校指定の物しか無いですね」

「アタイはしばらく買ってねーな…泳ぎに行く予定無かったからよ」

「それじゃ、今度一緒に買いに行く?

男どもの視線を釘付けにしちゃうような、際どーいのを…」

「なんでっ!?」

「いやー、真樹ちゃんもそろそろ、男の視線が恋しくなってきたかと思ってさ」

「なってません!!」


からかう梨花の言葉に、真樹は身体を抑えて恥ずかしがる。

セーラー服でさえまだ恥ずかしさを感じるのに、ボディラインがはっきり出る水着を着ようものなら…


「いやね、ちょっとばかし海にでも行こうかと考えてるんだよ。

もちろん、ヴァルキリーゲームズ絡みでね♪」


梨花の言葉に、真樹達はもう一度顔を見合わせる。

コロシアム絡みとなっては、2人も真剣に聞き始めた。


「大山ちゃんもこれでアドバンスクラスに上がったわけだけどさ。

そろそろ別の刺激も欲しくなってくると思うんだよねー。

実際、2人ともなかなかの実力者なんだよ。

ただ、ミトだけで戦ってもあんまり伸びないかもなーって思ってさ」


ミト・コロシアムは中間層の選手があまりいない。

瑠璃亜やレイア、カグヤのようなトップクラスの選手を擁するコロシアムであるが、実はコロシアムとしては歴史が浅い部類である。

所属選手も他のコロシアムより少ないし、ほとんどがビギナーやノービスクラスだ。

多くの新人が戸を叩き、そして埋もれていってしまうのが大半という場所。


2人の成長の糧になるような、丁度いい相手がいないのだ。

かといって、いきなりトップクラスの選手と戦わせるのも無理がある。


「なので……遠征を提案します!」


梨花が考える、真樹と大山の成長プラン。

それは、真樹達と同クラスの者達が集まる、別コロシアムへの遠征であった。


外伝作品:『神無月刑事のえっちな?事件簿』

新米刑事の神無月がスカウトされたのは、ミト警察署の一課のエース、雅班。

女性だけで構成されたにも関わらず、凶悪犯罪の検挙率が凄まじく高いこのチーム。

しかし、メンバーはみな己の身体を武器とした、色仕掛け・囮捜査のスペシャリストでもあった。

「警察は、こんなえっちな仕事じゃないはずですよー!?」

街の平和と己の純潔を守るため、日々奮闘する神無月刑事の明日はどっちだ!?


…というネタが浮かんでしまった。


そんなわけで、いつもお読みいただきありがとうございます。

これにて、5章終了です。

ちょっとだけ社会派風味に見せかけて、結局はただのエロバトル小説になりました。


次回6章は、季節外れの水着回!…の予定。

今度はバトルもエロもマシマシで行くつもり、頑張ります。

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