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4-9:大型新人対決、決着!

リングの上に立つ若き女戦士ヴァルキリー、真樹と沙耶の2人は無言で睨み合ったまま構える。

全力で戦った先輩に恥じないため。

かつての姉妹弟子に負けないため。

このゲームで勝ち上がるため。


理由は色々あれど、今はただ。



目の前の相手に勝ちたい。



構えたまま動かず、睨み合う時間が静かに続く。

だが、そこにヤジを飛ばす客はいない。

2人から溢れる闘気がびりびりと緊張感のある空気を作り出しており、誰もが固唾を飲んで見守っていた。


今、この空間は紛れもなくこの2人のためのもの。

新米2人の、真剣勝負の舞台が整った。


そして、2人の女子校生は同時に動き出す!


松葉破しょうようは!!」

月兎拳げっとけん!!」


己の掌に覇氣を纏い、掌底の要領で覇氣を飛ばす真樹。

握った拳に覇氣を纏い、パンチで力強く放つ沙耶。

覇氣の放出によるエネルギー弾の撃ち合いで、戦いの口火を切った。


互いから放たれた覇気がぶつかり合い、リングの中央でぱぁんと弾けた。

地下空間のリングに風が吹き荒れる。


だが、これはお互いに小手調べ。


「「はぁぁっ!!!」」


風舞うリングの中へと、真樹と沙耶は互いに飛び込み拳を振るう。

覇氣で強めたお互いの右手が綺麗にぶつかる!


拳同士がぶつかり、ごぉいんっと音を立て、その衝撃が周りに伝わっていく。

一体どれだけの力を込めたパンチならば、ぶつかった時に衝撃波が生まれるのか。


強烈なパンチ対決は互角だった。

相打ちになった2人はその勢いで吹き飛び、一度互いに距離を取る。

だが、すぐにお互いに向かってダッシュしていった。


「柳流し!!」

「虎月乱!!」


考えることは同じだった。

2人の次の一手は、最も得意としている連撃。

これで相手を制圧した方が、この先の主導権を握れるだろう。


左手、右足、右手、左手、右足、もう一度右足、左手!

右手、左手、右足、左足、左手、右足、もう一度右足!


互いの拳が、足が、相手を襲う。


「くっ!」

「つぅっ!」


蹴りが擦れ、拳がぶつかる。

目にも止まらぬ連撃を互いに繰り出す中、お互いの攻撃が少しずつ身体に当たっていく。

少しずつ、しかし着実に体力が削られていっている。


可愛らしい少女2人が挑むのは、正面からの殴り合い。

先輩同士と比べて、なんと泥臭いことだろうか。

しかし、それでも観客達は目を離せない。

固唾を飲んで勝負を見守り続けていた。


彼女たちは、お互いの意地を賭けて、本気で戦っている。

それは、誰の目にも明らかだったからだ。


「だああぁぁっ!!」

「はああぁぁっ!!」


雄叫びを上げての正面衝突。

まさしく戦士として、己が力を見せつけるべく戦い続けていく。

その真剣な勇姿には、凛々しさすら備わっていた。



試合が動いたのは、沙耶の動きが変わった時だった。



馬月踏ばげつとう!!」

「かはっ…!?」


今までより一歩踏み込んでの鋭い蹴りが、真樹の懐に直撃したのだ。

まともに攻撃を食らった真樹は、この試合で初めてよろけた。

そこから、沙耶は一気に勝負を決めるべく動く!


龍月脚りゅうげつきゃく!!」

「っつぁっ…!」


今度は強烈な蹴り上げが真樹を襲う。

顎に直撃してしまい、真樹は大きく怯む。

それだけでなく、その勢いでなんと身体が宙に浮いてしまう。


一体どれだけ強烈な蹴りなのだろうか。

覇氣をまとったハイキックは、真樹を高く打ち上げるほどだったのだ。

だが、それで沙耶の攻撃は終わらない。


「いきますわよっ!

飛燕ひえん龍月脚りゅうげつきゃく!!!」


宙に浮いた真樹に向かって跳躍した沙耶は、空中で連続の回転蹴りを放つ。

足技が得意な彼女は器用に空中で身体を翻し、スカートを華麗に翻しながら、刀のような鋭い蹴りを次々と連続で放つ。


「くっ……っぁ…!」

「これで、締めですわ!!」


最後に空中でそのままくるりと一回転、そこから踵落としを決めた。

宙へ浮かせてからの強烈な連続蹴り。

沙耶の必殺技ともいえる足技コンボが決まったのだ。


真樹はそのままリングへと叩き落とされてしまう。

どこぉぉんっと派手な音を立てて、真樹がリングに落とされた。


「うおおっ、沙耶の必殺技が決まったぞ!

華麗な足技コンボを食らったが、真樹は大丈夫かぁ!?」

「ったいなぁ…!」

「っ!?」


実況も思わず言葉を止めてしまう。

リングの床に叩きつけられたはずの真樹だったが、すぐさま起き上がったのだ。

相当なダメージを負ったはずだが、まさかこんなに早く起き上がれるとは。


沙耶の方も驚愕していた。

そんな沙耶の着地を狙い、今度は真樹が拳を振るう。


「はあああああっ、月桂樹砲!!!」

「ぐあっ……!!」


空中で身動きできなかった沙耶を狙い済ましたかのように、強烈なアッパーを繰り出す真樹。

沙耶はなんとか腕で防御したものの、強烈な痛みが腕を襲う。

それどころか、今度は沙耶の方が打ち上がってしまう。


かつて巨体のライをぶっ飛ばしたほどの拳である。

強烈な足腰を軸にして放つパンチは、人を吹き飛ばすほどの力を持っていることは以前も実証済みだ。


「ちぃっ……!!」

「だあああああっ!!!」


沙耶が空中へと吹き飛ばされたのを見て、真樹は覇氣全開!

覇氣を巡らせ身体を強化、今度は真樹が沙耶を追って飛ぶ番だった。

一気にジャンプした真樹は、沙耶よりも高く飛び上がる。


「椿撃ち!!」


真樹はお返しとばかりに、強烈な踵落としを放つ!

沙耶は腕で防御するものの、一撃で叩き落とされてしまった。

どこぉぉぉんっと、またしても派手な音を立てて沙耶が落とされる。


こちらもかなりのダメージを負ったはずである、沙耶は倒れ込んだままだ。

その間に真樹はリングに着地する。


だが……


「……まだですわ!!」


カッと目を見開き、沙耶が再び立ち上がった。


ここで終わるような、甘い覚悟で来ていない!

すぐさま起き上がると、再び真樹へと向かっていく。


鬼気迫る表情というのはこれのことか。

お嬢様という肩書が霞むほどの、戦士としての顔。

凄まじい気迫を発しながら、そのままパンチを繰り出していく。


だが真樹とて、まだ終われない。


「つっ……銀杏落とし!!」


向かってくる沙耶の腕を絡み取り、一本背負いへと持っていく。

このまま叩きつける……と思われたが。


蛇月縛じゃげつばく!!」

「ぐあっ……!」


放り投げられる寸前に、沙耶は足を真樹の首に絡めた!

真樹の投げの力をそのまま利用して締めていく。

真樹はそのまま投げようとしてしまい、真樹は沙耶と共に倒れ込んでしまう。

だが、床に倒れた衝撃で沙耶の締めからはなんとか逃れられた。


すぐさまどちらも立ち上がり、互いに距離を取る。

またしても仕切り直し。

だが、明らかに2人とも消耗していた。


「はぁ……はぁ……」

「ふぅ……はぁ……」


どちらも肩で息をするほどダメージを負っている。

制服風のコスチュームが乱れまくっているが、そんなものを微塵も気にしていない。


ただ、目の前の相手に勝つ。

その執念が、異様な迫力を会場に生んでいた。

これが、女子校生が放つ迫力なのかと、観客達も息を飲む。


誰もが静かに注目する中、真樹の両手がうっすらと光り輝きだした。

同じように、沙耶の両手も光り出す。


覇氣の放出によるエネルギー弾。

それも、最初に撃った技とは違う、己の覇氣を全力で込めた一撃。

互いに大技を決める気だった。


ごく!!」

しん!!」


両手を合わせ、巨大な覇氣のかたまりが出来上がっていく。

強大なエネルギーが、真樹と沙耶の両手で渦巻いていた。


松葉破しょうようは!!」

月兎拳げっとけん!!」


覇氣の放出を使った互いの必殺技を最大出力で放つ!

光輝く2つの巨大な弾が、リングの中央でぶつかった!



どごぉぉぉんっ!!



2つのエネルギー弾がぶつかり、派手に破裂した。

会場内はもはや嵐の如く。

暴風が吹き荒れるリングと化していく。


そんな突風吹き荒れる中、張本人たちは真っ直ぐお互いに向かっていく。

シャツとスカートをはためかせ、2人の女子は中央へと走っていく。

気力を振り絞って、お互いに右手を握る。



「「はあああああああっ!!!」」



どかあぁっ!!!



鈍い音が会場に響いた。




風が収まっていく中、観客達はリングの上にいる戦士達を見た。



真樹と沙耶の拳が、お互いの頬に直撃している。

綺麗なクロスカウンター。

己の拳を相手にぶつけることで、決着をつけようとしていた。

本当に似た者同士な2人であった。






「………ん?」



数秒の間をおいて、実況は2人の様子がおかしいことに気が付いた。



真樹と沙耶が動かない。



改めて実況が近づいてみて、状況を理解する。



お互いの一撃で、どちらも気を失っていたのだ。

ただ、負けたくない一心で、拳を相手に当てて、立ったまま。



だが、2人揃ってよろめいて……



どさどさっ……



2人揃って、リング中央に倒れ込んだ。


「「お……おおおおおおおっ!!?」」


両者ダウン。

その状況に、観客達からも困惑と期待が混じった歓声が上がる。



「お、おおおぉぉっ!?

真樹と沙耶、ダウン!!

激闘の末、両者が倒れ込んだ!!

か、カウント取るぞ!?

いいんだな、取るぞ!?」



実況が確認するように叫ぶ。

だが、どちらもまったく反応しない。


ここでどちらかが立ち上がれば、勝負はほぼほぼ決まるだろう。

だが、どちらも起き上がる様子はない。


そのまま、カウントダウンが始まってしまう。


「3!」


この間にどっちかが立ち上がれば……

いや、目を覚ませば……


観客達も期待をするが、2人はピクリとも動かない。


「2!」


どちらも勝利まであと一歩なのに……

観客達も思わず彼女たちが目を覚ますのを期待してしまうのだが。


どちらも目を覚ます様子はない。


「1!」


一縷の希望さえも、目を開けなければ掴めない。

カウントダウンは容赦ない。


立ち上がれなくなった者に、慈悲はない。

それが、このゲームのルールなのだから。


「0!!

な、なんとぉ!!

先輩同士に続き、真樹と沙耶もダブルノックアウト!!

大型新人対決は、DRAWだぁぁぁ!!!!」

「「おおおおおおおおおおおおおおっ!!!?」」



激闘の結果は示された。


結果、引き分け。


観客達は驚愕を以て、リングに倒れ伏した若き女戦士ヴァルキリー2人を見つめるのであった。


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