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4-6:刺激的ないちげき♡

いよいよ試合が始まった。


歓声を浴びる中、向き合う真樹と実琴は、それぞれに構えてリング内をゆっくりと歩いている。

お互い、まずは様子見といったところか。


真樹は相手の動きを観察する。

実琴は腕を前にしてゆらゆらと揺らしながらの構え。

どこか蛇を思わせる動きだ。

どこから攻めたものか、悩ましい動きをしている。


「柳流し!」


真樹はまず、最も得意な技で仕掛けることにした。

相手に急接近して、連撃を繰り出す!

右手、左足、左手、右手、もう一度右手…!


「ほう」


向かってくる攻撃を捌きながら、実琴は素直に感心する。

かなりの速さと精度の連撃。

四肢のどこから飛んでくるか分からない攻撃を捌くのは、なかなかに骨が折れる。


ぱしっ、ぱしっと向かってくる拳を捌きながら、実琴は後ろに下がる。

これで蹴りは届きづらいはず。


「くっ……!」


連撃を途切れさせないよう、真樹もまた前進する。

傍から見たら真樹の方が押してるように見えるかもしれないが、実態として華麗に避けられている。

それでも攻撃を止めるわけにはいかないと、さらに連撃の速度を上げる。


右手、左手、右足、ひだり……


「うふふ♡」

「いっ!?」



突如として、実琴の笑顔が急に恐ろしいものに見えた。



その瞬間、真樹が伸ばした左腕に向かって、実琴が右腕を伸ばす。

実琴の腕はそのまま回転を加えて、まるで蛇が絡まる様に真樹の左腕を絡め取った。

そこから外側へとスナップ!


…すぱぁぁんっ!


真樹の左腕は、実琴の腕に絡まれて勢いを殺され、そのまま外側に大きく弾かれたのだ。


攻撃を弾かれ、ガラ空きである真樹の胸へ、そのまま実琴の手が迫る。

ぞくりとする直感。



そして…





むにゅっ♡




「ひゃああっ!?」


おっぱいを揉んだ。


「あらあら、お嬢様と同じくらいはあるのですね。

88といったところでしょうか?」

「ちょっ!!」


突然のスリーサイズ暴露に、リングの外で沙耶が叫ぶ。


「くっ!!」


だが、真樹としてはそれどころではない。

なんとか右手で実琴の手を払い、バックステップで距離を取った。

実琴の方も追撃はせず、真樹は距離を取った上で呼吸を整える。


(はぁっ……はぁっ……危なかった……もし、今のが……)


呼吸を整えながら、真樹はたった今、実琴から受けた感覚を思い出す。

実琴の手が迫った時に自分が感じた身の危険は、ただ胸を揉まれるからだけではなかった。


ガラ空きだった自分の胸に触れる瞬間まで、実琴の手は指を揃えて自分に突き立てるような構えをしていた。

つまり、抜き手の構えだったのだ。




もしここが殺し合いの場だったとしたら、そのまま心臓を貫かれていたかもしれない。




相手が放つ殺気と、自分の命を落としかねない危険。

初めて感じた、本気の死の恐怖。


事前に梨花に聞いた通りである。



『あの子の基本戦術は、いわゆる暗殺術。

一撃で仕留めるための技なんだよね~』


武道や武術というよりは、戦闘術と呼ぶに相応しい能力。

相手を仕留めることに特化した技。

これをアレンジした技で戦うのが、月影従者シャドウメイド・実琴という人物なのだと。


『もちろん、ヴァルキリーゲームズで殺しはご法度だから、死ぬことはないと思うよ。

でも、あの子は本物の殺気が出せるからね。

いよいよ本気で、戦いの場に立っているんだって実感できると思うよ♪』


確かに、今までとは違う緊張感のある戦いだ。

汗が全身から噴き出していたのが分かる。

上位クラスで戦うということは、本気の殺し合いも想定したかのような戦いになるのだろうか。


頭がまだ整理できていない中、今度は実琴が近づいてくる。


(氣をしっかり保て!)


今はとにかく、このメイドとの戦いに集中せねば。


今度は迫る実琴の手を払う真樹。

やはり蛇を思わせる、しなりのある動きで襲い来る両腕をなんとか拳で払いのける。

ひとまず防御はついていけているはずだ。


すると、今度は実琴が身をかがめた。

まるでトカゲか何かのように手を床につく格好になる。


低姿勢からの攻撃を警戒した真樹は、鋭く蹴り上げる!


「おっと!」


実琴が思わず声を出す。


掠った!

実琴の頭をかすった真樹のつま先。

それにより、実琴のメイドカチューシャが外れてしまったのだ。


「ワタクシのコレを落とすとは見事。ですが……!」


かがんだ実琴は、ゆらりと、しかし物凄い速さで近づきながら立ち上がる。

足を上げた真樹の懐にそのまま入り込んだ。

そして……


「うわっ!?」


一瞬で腰に手を回す。

あっという間に、実琴が真樹を抱きしめる格好になってしまった。


「ふふふ、ウェストは57かしら?

お嬢様の方がすこーしだけ細いみたいですわね」

「ちょっと!!いちいち比較しないでくださいませ!!」


ニコニコ笑顔でスリーサイズを言う実琴に、リングの外から沙耶のツッコミが入る。

だが、真樹としてはそれどころではない。


(折られる!?)


抱き着かれている現状、このままサバ折りを食らいかねない。


(覇氣全開!!)


身体に覇氣を巡らせ、腰に力を入れる。

このまま絞められてもなんとか耐えようと思ったのだが……



「いいのですか、こちらがガラ空きでございますわよ?」


真樹を抱きしめる実琴は、そのまま手を伸ばす。



…真樹の尻へと。


「うひゃああっ!?」


スカートの上から臀部を触られて、慌てた真樹は蹴りをかます。

だが、実琴は手を離し、なんなく離れていってしまう。


「ヒップ88。お嬢様よりは安産型でしょうか?」

「お、ちょっとでっかくなったね真樹ちゃん」

「「ちょっとー!?」」


2度あることは3度ある。

しっかりとスリーサイズの場所を触られてしまったのだ。

美少女達の体型暴露に、会場は『FOOOOOO!!!』と大盛り上がりである。

梨花までも乗ってる光景に、真樹と沙耶は同時に突っ込んだ。


解放された真樹は、必死で呼吸を整える。


傍から見ていればアホみたいな光景ではあるが、真樹の心中は穏やかではない。

今の尻撫ですら、相手は自分との目線を外さないまま、まったく無警戒だった場所を触れてみせたのだ。

意識外の場所を攻める技術、なんという危険な技か。


ことごとく攻撃をいなされ、さらにそこからの反撃。

そのひとつひとつが一撃必殺の技に近いのだ。

本来なら一撃で相手を戦闘不能に追いやる技にも関わらず、手加減してセクハラしてるにすぎない。


しかも、それ自体が心を乱すことになってしまっている。

ここまでずっと翻弄されっぱなしである。


「だからあの子と戦いたくないんだよね~。

暗殺術ならぬ、暗セク術を駆使してくるから」


梨花は遠い目をして唸る。

暗殺術を使用した、堂々としたセクハラ。

男どもの欲情を煽って会場を盛り上げ、さらに同じ女子だから分かる性的悪戯で相手の戦意を削っていく。

このゲームだからこそ有効な技の数々。


真面目な子ほど翻弄されやすいのが、実琴という相手なのだ。


「くっ……!」


しかし真樹とて、このまま翻弄されっぱなしで終わるわけにはいかない。

上位の相手であることは最初から分かっていたこと。

手加減も遠慮もいらない。


「松葉破!!」


不意打ち気味に、覇氣の放出で攻撃を仕掛けた。

真樹の右手から、覇氣で練られたエネルギー弾が飛んでいく。

奇襲による飛び道具技ならばどうだ。


だが、松葉破が当たるかと思われたその瞬間、実琴の姿が消えた。


「えっ!?」


さっきまで目の前にいたはずだ。

そこから見失うことなんて、ありえるのか?

気配さえも消えているなんて。




「こちらですわよ♡」



背後から声が聞こえる。


(いつの間に!?)


真樹は思わず首だけ後ろを振り向く。

実琴は確かに、真樹の後ろにいた。

それも、リングの外に。


ロープの向こう、リングの外の床でかがんでいる実琴。


「ワタクシの奥義、ご覧あれ♡」


まるで押さえ込んでいたバネが飛び上がるかのように、リングの外からびゅんっと飛び込んできた実琴。

その両手は、人差し指だけを伸ばしたまま握っている。

その狙いは、まっすぐ真樹の尻へと向けられていた。

気付いた時にはもう遅い。


「刺激的月英拳!!!」

「ぎょへってえぇぇぇぇぇい!?」


奇天烈な悲鳴を上げて吹っ飛ぶ真樹。

そのまま反対のリング端まで飛ばされてしまう。


リングの外から飛び込んできてからの、あまりにも強烈なカンチョウであった。

馬鹿馬鹿しく見えるが、尻の穴などまず鍛えることが出来ない場所である。

物陰から急所を一撃必殺、実に理にかなった戦闘技術である。


「あぅあぅあ~……」

「無残ですわね」


さすがの沙耶も憐れみの目を見せる。

あの技の恐ろしさを、沙耶も身を以て知っているからだ。


尻を押さえながら声にならないうめき声を上げる真樹だが、なんとかロープ端にたどり着いていた。


「あはは、さすがにキツかったか~。

ほい、おまかせて~♡」


真樹が伸ばした手にタッチして、バトンタッチを示す。

ずりずりと身体を引きずりながらリングを降りる真樹と入れ替わりに、梨花がリングへと上がる。


「あらあら、それではこちらも一旦お嬢様に変わりましょうか」


実琴はそのままリングを降り、沙耶へとバトンタッチした。

今回の試合の都合上、真樹VS実琴の時間と、沙耶VS梨花の時間を作らなくてはいけない。

前者は既に達成したのだ、試合の条件はさっさと満たしてしまうに限る。


「ふふん、実琴のライバルだそうですけど、別にわたくしが倒してしまっても問題ないのでしょう?」


リングに上がる際、実琴に対して余裕にする沙耶。

それに対して、実琴はニコニコと微笑むのみ。


そして、対峙する梨花もまた、余裕そうにしているのだった。


「さーて、オーサカの新人ちゃんはいかほどのものかね~♪」


なんだかバトルパートが長くなりそうだったので、今回はセクハラ成分大目でお送りしました。


「ラブ注入!」

「乙女の純情がぁっ…」

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