0-1:チャンピオンの闘い
観客たちの歓声が響く。
そこそこ広さがあるはずの地下室だが、熱狂ぶりは部屋全体に充満している。
声を荒げる男達が注目するのは、部屋の中央で戦う2人の美女だ。
町の地下に作られた、裏闘技場。
金網に囲まれた物々しいリングの上で、美しい女達が戦っている。
「気功狼!!」
長い黒髪を揺らして戦う一人が技を放つ。
一瞬にして対戦相手に詰め寄り、抜き手が放たれる。
少し腕に掠ったのを見て、対戦相手は一度距離を取った。
それを見て、技を放った女・瑠璃亜もいったん距離を取って構えなおす。
長い黒髪を揺らし、青いスポーツシャツとホットパンツという軽装。
すらりとしてるが確かに鍛え抜かれたことが分かる、ほどよい肉質の手足が惜しげもなく晒され、衆目を釘付けにする。
しなやかだが力強い動きは、煽情的でさえある。
この闘技場で現在、最も人気の女戦士。
デビュー以来無敗を誇る圧倒的強者にして、最も男達に貢がれている圧倒的美女。
観客の男達から熱視線が注がれ続けている現チャンピオン・瑠璃亜は、勝負を決めに動いた。
「はあっ!!荒涼脚!!」
ステップで軽くリズムを崩してからの、突然の奇襲。
非常に低い体勢で詰め寄ってからの後ろ蹴り。
相手からすれば、突然視界から姿が消えるように見える奇襲技。
下と気付いた時にはもう遅い。
瑠璃亜の蹴りは、見事に相手の腹に突き刺さっていた。
「ぐほぉっ!」
対戦相手である大柄の女性・レイアはそのまま吹き飛ばされ、金網にぶつかった。
女騎士をイメージした装飾が施された黒のコスチュームは既にボロボロになっており、残るレオタードがより彼女の肉体を色っぽく彩らせる。
倒れ込みそうになるのをなんとか踏みとどまっている女騎士に、再び瑠璃亜が迫る。
「決まった……」
観客の誰かがつぶやいた。
その通り、瑠璃亜はふらついている相手に一気に詰め寄る。
壁際に追い込まれたレイアにもはや逃げ場はない。
瑠璃亜はトドメの技を放つ。
「凶迅破!!」
「がっ……!」
至近距離で同時に放たれた2発の掌底。
腹の左右からドスンと伝えられた衝撃は、レイアの全身に一瞬にして伝わる。
身体が機能不全になった、そう錯覚するほどの衝撃。
レイアは何も言うことも、何もすることも出来ず、そのまま倒れ込んだ。
「レイアがダウン!!カウント入ります!!」
「おおおおおおおっ!!!」
レフェリーの声が入り、観客たちの歓声が沸き上がる!
「3!」
膝をついてから3カウント以内に起き上がれなければ負け。
過酷な裏闘技場らしい、短い猶予時間。
「2!」
レイアは声を上げることはおろか、身動きすら出来ないようだ。
気を失っているのかもしれない。
「1!」
まったく動く素振りを見せない女騎士。
観客の目も期待に変わる。
「0!!
WINNER 瑠璃亜!!!」
「おおおおおおおおおおおっ!!!」
勝敗は決した。
期待した通りの結果か、あるいは逆に期待に反した結果か。
揺れすら感じるほどの歓声が闘技場内に響く。
無敵の女王、未だ健在。
この闘技場で、無敗を誇る瑠璃亜は今回も勝利。
彼女が地に伏す姿を見るのは、まだ先になりそうだ。
ネタ帳に書いていた作品が、頭の中で膨れ上がっていったので、衝動的に書いてみました。
エロ描写が前提の作品になりますが、よろしければお付き合いください。