06.巨大な旗をぶっ刺しました
そしてまた1年が経ち私は今日、5歳という大事な年をむかえる。
そう!!魔法が使えるようになるのだ!
魔法が存在すると知ってからこの日がくるまでどれだけ待った事か…!
寝物語に聞かされていたただのお伽話だと思っていたゴリ王子とドラゴンという題名の絵本ですら、実話が元になっていると聞いてなんたるファンタジー!!と興奮した。
その絵本はゴリラに似た王子が魔法を使ってドラゴンに力を示し、眷属にするって言う内容なんだよね。
ドラゴンっているの?とジルにきゅるんとした顔で聞いたら代々王族が絵本の通り使役していると言っていた。
ゴリラに使役されるドラゴン!いろんな意味で見てみたい…!!
と、アホな事を考えてぼーっとしているとコンコンとノックの音がしてジルが部屋に入ってくる。
「お嬢様…お誕生日おめでとうございます!これ、大したものではないですがプレゼントです!」
ジルが可愛らしいピンクのリボンがかけられた包みをソファに腰掛ける私に渡してくれる。
朝の準備の後でていったと思ったらこれを取りに行ってくれていたらしい。
「まぁジル!!嬉しいわ!開けてもいい?」
私の話し方もようやく子供特有の舌ったらずさが抜けてしっかりと発音できるようになった。
リボンをするっと引っ張ると包みがほどけて可愛らしい白いうさぎのぬいぐるみが現れた。
「か、可愛い〜〜!」
ふわふわの質感にまん丸の黒い瞳がこちらを見つめている。
首には私の瞳の色のリボンが付いていて全体的に私カラーなのがすごく嬉しい。
「喜んで頂けて良かったです!」
私の為に一生懸命選んでくれる姿がすぐに想像できて微笑んでしまう。
「…いつもありがとう、大好きよジル。」
珍しく照れたようにはにかむ私を見てジルが涙ぐむ。
「お嬢様…有難き幸せに御座います!本当に大きくなられて…私は…私は…」
感動のシーンのはずなのにまたジルのいつもの悪い癖が始まった。
呆れたようにふぅと息をついて貰ったぬいぐるみに目を向ける。
この世界に生まれてから色々あったがジルや大切な家族に囲まれて私は幸せ者だなと思う。
この幸せがずーっと続けばいいな。
と、私は盛大なフラグが立ちそうなセリフを心の中で呟いてしまったのであった。