04.束の間のゴリ離れ
そして1年がたち冒頭へ戻るのである。
ジルはまだ私の美しさとお父様の美しさについてうっとりと語っている。
そんなジルだってかなり華やかな顔立ちをしている。整った顔立ちに、キュッと吊り上がった瞳の強めの美女である。今はちょっとおかしいけど…
豊かな赤毛をポニーテールにしてスッキリと纏めているので上品な雰囲気を醸し出している。今はちょっとおかしいけど!!!
彼女はかなりのリンドバーグ家狂で、事あるごとに私やお父様やお母様の美しさについて語りたくなってしまうらしかった。
いつもはとても頼りにしていて大好きなのだが、その時に限ってはすこし猟奇的なのでジルの事を微妙な顔で見つめてしまう。
「お嬢様…その様なお顔で見つめられてはジルは照れてしまいますわ〜」
や、どんな表情に見えているの…?
明らかにドン引きの顔なんだけど…
でもジルにはあのお父様も美しく見えるみたいだからちょっとやそっと私が変な顔したって美しく見えるのかもしれない。
そんな失礼な事を考えていると、ジルはやっと妄想から帰ってきた様ではっとした表情で私に話しかける。
「お嬢様、旦那様も戻ってしまわれましたしご朝食はお屋敷の中でお召し上がりになりますか?」
「う〜〜ん、おてんきもいいしおそとでたべたいな!きょうはじるもいっしょに!いいでしょう…?おとうさまもいってしまったし…ルルひとりだとさみしいわ…?」
あからさまに悲しげな表情を作るとジルはウッと唸ってから観念したようだ。
「…お嬢様…あざとすぎる…でもそこがイイ!!仕方がありませんわね、今日は特別でございますよ。本来ならお嬢様のような高貴なご身分の方が使用人などとお食事を一緒になさるなどあってはならないのですからね。」
っていいながらも少し嬉しそうにジルがはにかむので私もにこにこしてしまう。
なんだかんだ言ってジルは私に甘いし私もジルには素直に甘えられるので私はジルが大好きである。
そんなこんなで和やかに朝食を終えてお食事の後はお勉強タイム!
4歳を迎えて来年には魔法の練習が始まるので、今年に入ってから家庭教師のビルマー夫人が私にこの世界の文字とマナーやダンスなど貴族に必要な事を教えてくれているのである。
私は前世というハンデがあるのでビルマー夫人も聞き分けのよく覚えのいい私を可愛がってくれている。
他の子供たちは集中力が〜とかって言われてしまうと罪悪感が湧くがそれはご愛嬌という事で神さま許してください。