03.世界の理はゴリラのみぞ知る
前世とやらを思い出してから半年がたった。
あれから色々わかった事がある。この世界には魔法が存在していて、中世ヨーロッパに似た世界であるという事。
貴族階級なる物が存在しており、リンドバーグ家は公爵家でお父様は王弟殿下の母君の弟でありかなり高い地位にいると言う事。
一番衝撃的だった事実は男性に対する美醜の観念がかなり私の前世とは違うという事で、お父様はゴリラではなくものすごくイケメンという定義であるらしい。
という事は、この世界のイケメンとゴリラはイコールで繋がっているのである…!
ゴリラであればあるほどイケメンという事だ。
この屋敷はゴリラっぽいのが多いなと思っていたが、公爵家なだけあって見目麗しい者が多いという事なのだろう。
読み聞かせの絵本の王子様もゴリラである。
なにそれ、怖い!!!
前世なんて思い出したくなかった!
なんでゴリラ?祖先的な話?始祖の見た目に近いほうが尊いとかそんな話なの?なんなの?
お父様は顔の彫りが深くてつぶらな瞳に、毛深くて鼻の穴は大きめで唇は厚い。指毛も腕毛も胸毛もめっちゃくちゃ濃い。
お父様でほとんどゴリラなのに王族はどうなっちゃうの?もうゴリラなんじゃないの??大丈夫??
お父様は愛しているが、急に廊下で出会うと未だに動物園から逃げ出してきたゴリラだと思ってしまう。
前世でもイケメンのゴリラって呼ばれてるゴリラもいたけど、やはりゴリラとは結婚できない。
なのに女性の美しさはほとんど前世と変わらない。それはこの世界の宗教が関係していて、この世界の宗教と言えばウェルシア教である。ウェルシアと言う名の女神が零した涙からこの世界は生まれたと言われているのだ。
その女神はお母様の様に美しい姿をしていたと言う。そう、普通の美女が美女とされるのである。
よかったー!もし女性もゴリラの方が良いとかだったら私の人生はもっと変わっていってしまったはずだ。
私はスッキリとしたイケメンが好きだ。この世界の何処かには居るはず!探し出してみせる、私の王子様!!
あと魔法に関しては5歳になると教会でウェルシア様に神託を受ける事で魔力を感じる事が出来るようになるらしい。
これから2年半…子供なので子供らしく過ごさねばならない。
それが今は一番私にとって苦痛である。魔法が使えるようになる!っていうのが無ければ今より死んだ目で過ごしていたと思う。
さてそろそろジルを探しに行かなくては!私はかくれんぼの最中なのである!!!!!子供バンザイ!!(白目)