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18.今日もお母様は女神

 



 あの後昼寝をかましてしまい気づけばお昼の時間になってしまっていた。

 ジルの視線で目が覚めたのだ。

 目を開けたらジルが間近でニヨニヨしてたので本当にびっくりした。

 可愛らしくて、つい…と言っていたが反省する気は無いようだ。


「もう!ジルったらびっくりしたじゃない!」


「申し訳ありませんお嬢様…でもあまりにも…あまりにも天使すぎて!」


 まだモジモジしているが見ない事にするとして、もうお昼か…

 朝食の後すぐに寝てしまったのでお腹はすいていない。

 そういえば…



「あ!!お母様にまだお会いしていないわ!」


「起こそうかと思ったのですけれどあまりにも気持ちよさそうでしたので…」


「起こしてくれて良かったのに…とりあえずお母様にお会いしてくるわね」


 まだお昼には少し早いので行っても大丈夫だろう。

 ジルに少し髪を整えてもらって部屋をでる。

 お母様の部屋は一階にある。体の弱いお母様が移動の際階段が負担になるだろうとの配慮だ。

 ふかふかの絨毯がひかれた階段を降りていると階段の下をお母様が侍女を連れて歩いて行くのが見える。


「お母様!!」


 お母様がふわりとこちらを向いて微笑みを浮かべた。


「あら、お寝坊さん。ようやくお目覚めかしら?」


 いたずらっぽく笑うとこちらに手を差し出す。

 私は駆け足でおりてお母様の手を掴んだ。


「お母様、出歩いて大丈夫なのですか?」


「えぇ、昨日から凄く体調がいいのよ!だからお昼はお庭で頂こうと思って。貴女を誘おうと思っていた所よ」


 もしかしたら私のおまじないか少しは効いているのかもしれない。

 久々にお母様とお昼だー!やったー!


「嬉しいわお母様!でも、無理しないで下さいね。」


「だーいじょうぶよ!たまには女同士でお食事にしましょ」


 といってふわっと微笑む。

 女神だ…。


 そうしてお母様とお庭に出るとすでにガゼボに昼食が用意してある。

 アフタヌーンティー形式の三段のスタンドに一口サイズのサンドイッチやカナッペに旬のフルーツのタルトやマカロンが乗せられている。


 よくお茶会で見られるスタイルだ。


「美味しそうだわ!」


「えぇ、とっても!さ、座って座って!」


 ガゼボの中は日が遮られていて風が吹き抜けていくのが気持ちいい。

 ジルが入れてくれた紅茶に口をつけながら三段スタンドを上から見て何から食べようかと思案しているとお母様が口を開く。


「昨日はどうだった?ルルノアったら凄くしっかりしているからびっくりしちゃったわ」


「あはは、緊張したけど練習通りに出来たと思います!それにお友達が出来ましたわ!2人ともとってもいい子なの。」


 うん、すごくいい子達だ。

 特にグレースはツンデレ美少女で見ているだけで癒される。


「まぁ、それは良かったわ!今度うちに招待するといいわ。初めてのお友達だもの私も会ってみたいわ」


「わぁ〜!楽しみですわね、2人は婚約者同士ですのよ!とっても仲が良くて羨ましいわ」


「そういえばルルノアもそんな年よねぇ。そろそろそういう話も出てくるかもしれないわね」


 わ、私に婚約者って事!?

 確かに貴族は政略結婚が一般的だ。

 お父様はお母様に一目惚れで恋愛結婚だと言っていたが恋愛結婚の方が稀だ。

 家格や情勢で結婚相手が決まるのが普通で、公爵家ともなれば相手はそれなりの相手でないと婚約にすらならない。


 私が…結婚…。

 いやいやいやまだ5歳なんだけど。

 でも我儘は言えない。うちは1人娘だから婿を取るしかない。

 せめて…せめて…イケゴリは回避したい。お父様みたいなイケゴリなら…もしかしたら好きになれるかもしれないけどそれでもやっぱりキツイ。

 私は一度あの犬耳お兄さんを見てしまったので完全にハードルが上がってしまっている。

 ちょっとやそっとのイケゴリじゃ靡かない自信しかない。


「私に…婚約者が…。」


「そう難しく考えないで、色んな人に会って考えればいいわ!ロベールなんてずっと家にいて養子を取ればいいなんて言ってるくらいだもの」


 確かに色んな人に会えばもしかしたら良いパートナーが見つかるかもしれない。

 お父様は私に甘々なので何とかなりそうな気がしてきた。


「そう…ですわね…。すぐにと言うわけでは無いですものね」


 デザートのマカロンを口に放り込んで不安とともに飲み込んだ。


 お母様もえぇ、と微笑んで紅茶に口をつけた。

 あ、と思い立ってお母様の横に移動してお母様の手をとった。


 不思議そうな顔をするお母様の手をギュッと握って昨日と同じようにウェルシア様に願う。

 お母様が健康になってずっとずっと幸せでありますように。

 するとまたお腹の辺りが暖かくなってくる。

 そして目を開けるとお母様がまたびっくりしたような顔をしている。


「いきなりどうしたのかと思ったわ〜!何をしたの?」


「お母様が健康になりますようにってウェルシア様にお祈り!もしかしたら効くんじゃないかなって思いましたの…」


 魔力の使い方なんて習っていないので普通は使えないのでただの気休めだ。


「…そう、ありがとうルルノア。昨日もだけどなんだか体がポカポカする気がするわ!」


 子供の遊びに付き合っているような感じだろうがこれで笑顔になるなら十分だ。

 沢山勉強してきちんとお母様の病気を治せるようになるからね!!!





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