9 色々大変です。
本日の抹茶の朝食。
レタス(生)、にんじん(生)、ブロッコリー(生)、セロリ(生)、りんご、パイナップル。
「マッチャさん………、これからの食事って毎回こんな感じなの…!?」
「前はこんな感じです。本当は牧草とペレットが主食でしたが」
「あなたの前世は家畜?」
「うさぎです」
前世ではセロリとしそとパイナップルが好物だったんだけど、こっちでも安定の美味しさ。しそは無いって言われたが。
要望通りの朝食を持ってきてくれたイーラさんは隣でよく分からない食べ物を食べている。
ここ一応医務室なんだけど、看護師も食事していいのだろうか?
「なんかいい匂いしますね、それなんですか?」
「これ?こっちはオムレツ、これはポテトサラダ、あとは野菜と手に持ってるのがクロワッサンってパン」
野菜も勿論とっても美味しいが、人間の食べ物も食べてみたい。
人間になったことでちょっとは食べれるようになったりするのかな?
「それより今日は忙しくなるねー。当初ならのんびり魔法を教えるはずだったんだけど、魔法と勉強を教えて、その後アレルギーの検査だもんね」
「勉強は嫌です」
「そんな事言わないでよ、頭の良さは魔力の強さに直結するんだから」
「そうなんですか?」
「そうだよー。そうじゃないと魔法専門なのに国内一斉テストの学校平均点が18年連続トップになることの説明がつかないでしょ?」
「抹茶のせいで記録途切れるかもです」
「それはやめて」
全教科0点の自信がある…………。
というか。
「なんで連動するんですか?」
「なんかね、魔力の強さが体の能力と連動するんだって。自分の能力が上がるほど魔力のパワーが上がる的な。つまり頭が良くなれば魔力も強くなるってこと」
何となく納得した。
「頭だけなんですか?連動するのって」
「聴力とか足の速さとか基本あらゆる能力が魔力と連動するよ。ただ、その辺の能力は努力だけじゃどうにもならないでしょ?だから努力でなんとかなる学力が一番直結するって言われてる。」
なるほど。
「あ、あとね、超属性は頭が良くないと使えないよ。頭だけじゃなく五感とか運動能力も国内トップクラスにならないと。超属性はとにかく必要な魔力が異様なほど高いんだって。」
「嘘でしょ………」
あんな意味不明なものだけじゃなく運動能力とか五感も必要なのか!?
無理じゃん。
でもチョコレートのため…………。
どうすればいいんだぁぁぁぁぁぁ!!!
「とりあえず魔法なら三大魔法から覚えるのがいいんじゃないかな?」
「三大魔法?」
「そうそう、三大魔法。火属性、水属性、土属性のこと。この3つの属性の人が人口の八割を占めるからそう言われてる。」
「簡単ですか?」
「私は電属性だからわかんないけど、必要魔力は少ないらしいよ。」
「じゃあ水属性にします」
アーザースは確か水属性、だから絶対にアーザースに勝つ!!
「じゃあ検査の後教えるね」
「電属性なのに教えられるんですか?」
「効果が違うだけで使うための方法は同じだからね」
頭が悪い分、魔法は頑張らないと…!
「アレルギー検査のサンプル取るために注射するから覚悟しといてね。ちょっと持ってくる」
「あ、はい。」
魔法うさぎになるためにはまずは検査をしないと。
それで魔法が強くなってチョコレートを食べられるようになってハッピーエンド!
…………になる、はず!!
✳ ✳ ✳
「マッチャさん結果でたよー」
気がついたらイーラさんタメ口になってるし。
別にいいんだが。
それよりも結果が気になる…!
「マッチャさんはねー、玉ねぎ…というかネギ類、お肉全般、お魚全般、チョコ、ゼラチン、はちみつ、乳製品、卵、アルコールがアウト!あとマイナーなアレルギーもあるかもしれないよ。こんなに酷いアレルギーの人初めて見たけど驚かなくなったわ」
「ほぼ野菜しか食べられませんね」
「そんなことないよ、お米とか芋とか小麦製品とか食べられるじゃん!それに調味料全般平気だし。」
「そ…そうですね」
そう言われてもお米とかが何なのか分からないから喜びようがない。
でも食べたことがないということは、やはり食べ物の制限が少しはマシになったのか?
美味しいものだといいな、わくわくっ!
「はいじゃあ次魔法教えるからね」
「はい!」
ついに魔法うさぎになれる……!
待ってました!
「魔法はね、なんか魔法を使うイメージ未満のイメージみたいなのをして、使いたいところにぎゅって神経とか気持ちとか集中力とかを集めて、こう……ばっ!ってやる!それで使いたい感じに体とイメージを合わせる」
おお!
電属性魔法(多分)が発動された!
空気中で眩しくて細い光がバチバチいってる…!
「これはねえ、電魔法No.14のやつ。何も無いところから電気を作り出す魔法。でもそれだけだと変なとこに行っちゃうから電気を操るNo.2も同時に使うと、こうやって動かせるよ!」
「すごいです!初めて魔法見ました!」
「あんま公共の場とかでは使わないもんね」
ただ、説明が全くわからない。
そしてどんな種類があるのか分からない。
「あの、水魔法って何があるんですか?」
「あ、魔法書忘れた」
「ですよね…」
「もってくるから待ってて!」
行ってしまった。
謎な人だ………。