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10 頑張りました。

「だーかーらーマッチャさーん、ここはこうグッてしてボーンって!」

「意味が分かりません」

「んとね、だから、ここに力を入れてこう、あっちに向かってばーん!」

「この説明じゃ彼女に伝わりませんよ、イーラさん。」

「だからもー、ばーんでボーンで……って、え?」

「誰?」


魔法の特訓(?)中、気づいたら女の子がいたんですが……。


それも、ピンク色の髪の毛をふたつに結んだ変わった人……。


「あれ、俺のこと知りません?」

「知りません」

「う、ウルさん?」

「イーラさんせーいかーい!俺はウル。疲れたので医務室のベット貸してくださーい」

「えぇっ、今は授業中では?」

「疲れたし、あんなのやる意味ある?」

「じゃあこの子に魔法教えてあげてください」

「なんか楽しそうだね、いいよー!」


軽い感じでOKを出す謎の女の子。


どういう展開…………?


「ウルって誰ですか」

「ん、俺?えーとね、簡単に言うとすごい人かな」

「………?」

「世界に7人しかいない時属性の1人、入学時から魔法定期試験と学力定期試験で学年トップ、この国に35人しかいない魔法検定1級所持者、って感じ?」

「…………?どこがすごいかはよく分からないけど凄そうですね!」

「あはは、すごいでしょ?」

「すごいなら抹茶に魔法を教えてください!」

「楽勝楽勝!3分で使えるようになるよー!」


3分で使えたらさっきまでの特訓は何なんだ…。


でもまあ使えるに越したことはない。


「マッチャちゃん?だよね?すごい可愛いね!」

「はい、どうも」

「何属性?」

「水が使いたいです」

「…?てことは転生者か!わお、俺初めて見たわ!」

「どうも」


………なんか疲れる……。


「じゃあコレ見て、魔法書のこのページの5個から適当に選んでー。この5個が初期魔法、訓練しなくても使える生まれつきの魔法!簡単だよー!」

「じゃあこの、水を操るやつ」

「おー、りょーかい!じゃあそこにあるペットボトル使おっか、中に水が入ってるから」

「はあ」

「はいじゃあまず、背筋を伸ばして、息はいてー」


すうぅぅぅ。


次は?


「ペットボトルを思いっきり睨みつけてー」


睨む?やり方わかんないけどこうか?


「ペットボトルに手を向けてー」


はい。


「水が噴水みたいに溢れるとこ想像してー、」


こんな感じかな?


「想像を現実のペットボトルとリンクさせてー」


んんん、こんな感じでいいのか?


「手に血液を集める感じで集中して、力込めてー」


ぐぐっ、多分こうだ!


「で、ペットボトルとリンクさせたイメージに向かって力を投げる感じ!」


えいっ!


………うわっ!す、すごい!


水が中から溢れ出てきた………!!


「おめでとーマッチャちゃん!無事成功ー!3分でできたでしょ?」

「すごいっ!ありがとうです!!」


尚更さっきの特訓は………。まあいいか。


こうして無事に魔法を習得できました!


イーラさんがすごい呆然ってしてる…。


「ただ、マッチャちゃんはこれできっと限界だねー。何となく感じるけど、初期魔法一種類分の魔力しかないね?相当頭悪いでしょ?」

「………………。」

「なんなら俺が勉強も教えてあげよっかー?」

「ほんとですか!?」

「いーよー、この学校の範囲でだけどねー」

「ありがとうございますっ!」


今日はいいことが起こる日だなー!


これでチョコレートを食べれるぞ!


「マッチャさん………私は必要ありませんね………」


あ、……………。


イーラさんなんかごめんなさい…。



✳ ✳ ✳



「マッチャちゃんどんだけバカなの………」

「ごめんなさい…でもなんでこうなるのかわかんないです」

「1+1=2を理解するのにこんなに時間かかる?」

「前世で使わない知識だったので。」

「前世どんだけバカだったの…」

「さあ……?」

「数という概念を知っていることが奇跡ってくらい頭悪い人初めて見た」

「うっ……」


だってわからないものはわからない。


いちたすいちがにになる…?なぜ?


なんで1が2になるの?


まずなんで足すの?


1は1、2は2でよくないか?


「うう……教えるって難しい………。もっと難しい方法を使えば教えられる気もするけど、絶対マッチャちゃん理解してくれないし……まず計算という概念を知らないし……」

「元気だして」

「元気になるために理解して」

「1は1でいい!」

「だからそれじゃダメなんだって」

「……………??」

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