試金石令嬢の婚約関係終了のお知らせ 番外編予定だったもの。
Q.(勘違いもの)の進捗どうですか。
A.文字数9000字から12000字くらいにはなりました。
以上です。
他はまた1つ種を植えました。
(雲を操る少女と雲の精とか魔人みたいな奴)
お散歩中に、ふわっと思いついて、ふわっとした設定並べてる段階です。ちっちゃい女の子が、空の雲を具現化させて攻撃させたら格好よくない!? と。その後、雲の精霊を想像中。
育つ時は育つし、芽がでなくて放置パターンもありそうです。
これだけではちょっとあれなので、アップを躊躇っている、エタ、じゃない、さくふぁみってる作品の続編予定だったものをここで、お焚き上げしようと思います。
『試金石令嬢の婚約関係終了のお知らせ』の番外編予定だったもの。最終更新日は2019年 03月24日。
それから、何となくなろうの使い方を間違ってる気がしているので、書き方に迷ってる主人公による、エッセイとか私小説っぽく仕立てて行けば、多少、違和感が解消されるでしょうか。
その辺試行錯誤しつつ、とりあえず、やってみようと思います。
「この程度で根をあげるのか、シャル」
男は上から見下ろし、挑発するように笑う。
シャルロッテは
「体力の差というものもございましょう」
つとめて冷静に言い返す。アルフォートが、
「ならば、体力が付くよう、鍛えてやろう」
といって、たくさんの書類を押し付けてアルフォートは部屋を出て行った。
残されたシャルロッテは一人、頭の中でスケジュールを立て直す。ありえない日程でやれと言われたので、締切の再調整を要求したところ、締め日は延びたが、逆に量を増やされたのだった。
イレギュラーなことが起こらなければ、締切まで何とかならなくはなさそうだった。
ほんとにこの量やっていたのか!? とノワーゼの凄さを改めて実感する。さすが前任があのノワーゼだけあって、仕事の流れに無駄がなく、残っている資料を見ても不備などはなく、とてもやりやすかった。事あるごとに、アルフォートが、「ノワーゼならこのくらい」などとものすごい圧をかけて来なければだが…。
あれらの言動にもアルフォートなりの意図があってのことなのだろうと思っているので、そこまで感情的になるわけではないが、あの有能なノワーゼと同じようになどできるわけがなかろう、とシャルロッテは思っていた。
そう思いながら黙々と仕事に励んでいると、他の者が恐る恐る仕事の手伝いを申し出て、なるほどこういうことかとシャルロッテは一人納得する。お陰で、本日の睡眠時間分くらいは確保できそうであった。
アルフォートとの結婚が成立してから、しばらくして披露する場が設けられ、近い将来、アルフォートへ王の座が譲られることも正式に発表される。
そのため、アルフォートもシャルロッテも大変慌ただしい日々を送っている。
ノワーゼは、「議会を何とかしろ」というアルフォートの雑な命令で異動となり、代わりにシャルロッテがアルフォートの補佐の仕事をしている。
それに加え、正式に次期王妃となるため公務などもあり、なかなかハードな一日を送っていた。
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以上ですとルフィールは、報告を終える。
ここ数日のアルフォートとシャルロッテの行動と会話を簡単にまとめ報告していた。といっても、なんか書類書いてた、なんか難しげな会話してた、をもう少し丁寧にしたような程度の報告だった。
そんな報告を聴き終えたエリーゼはパチリと扇を閉じる。
「それで、終わりですの?」
「それで、と言われましても……」
ルフィールは困った表情を浮かべる。
「ねえ、ルフィール? わたくしが求めているもの、おわかりにならない? そんな業務の報告はよそでなさって。」
エリーゼの剣幕にルフィールは冷や汗たらたらである。今も一応勤務中で、報告をと言われたらそんな感じになるじゃん、なるよね?! って気分になっている。控えている侍女たちはそんな主人の態度に慣れているようで生暖かい微笑みを浮かべていた。
「はあ」
まあ、わからなくもない。休憩中でも仕事の話をしてるし、どこか行くという話で耳を澄ますと視察かよ! みたいな感じで、にーちゃんとの会話の方がもう少し楽しげだった! と思うほどで、確かにエリーゼ様が心配される気持ちがわかる、と思っていると、
「仕事中に仕事しかしてないってどういうことですの!」
となぞの怒り方をしていらっしゃる。
(それが普通なのでは! というか仕事以外って?!)というツッコミは入れられそうになかった。
「そんな風におっしゃられてもー」
「若い二人が二人でいるのに、イチャイチャとか!」
「イチャイチャ?!」
「ラブラブとか!」
「ラブラブ……」
つい復唱してしまいながら思い当たる行動があったかどうか首を捻る。一触即発のような、色っぽい話とは全く違う種類のドキドキはついさっき味わったところだった。ルフィールはそもそもあの二人の間にイチャイチャやラブラブという単語はあるのだろうかと思っていた。下手すると夢の中まで仕事していそうな二人である。むしろ、寝る時間あるのだろうか。
「まあいいわ。」と美しく微笑む。「この後、シャル”と”遊ぶ予定なのよ」
と楽しそうに笑う。ルフィールはなんとなく、シャルロッテ嬢”で”の方が正しい気がしたが指摘はしないことにした。「シャルはどういうドレスが似合うかしら」と無邪気に問うのを必死に「ご容赦くださいー」 内心でバレたら絶対、アルにー 怒られるやつだ、と思い、懇願するのを、エリーゼは「あらー 少しくらい考えてみてくれない?」と淑女の微笑みを浮かべる。
ドレスだの装飾品だの散々見せられて泣く泣く選ぶが、エリーゼが一瞥し、ふっと笑って「もう少しセンスをお磨きになって」と言われやっと解放されたのであった。
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ノワーゼがちょうど茶を飲みながら休憩する頃、ルフィールが愚痴りに現れた。
「大変な目に遭ったよー」と。
ノワーゼも似たような目に遭ったことを思い出し、よしよしと弟をなだめる。茶菓子を数個やれば、けろっと機嫌が直っていた。もぐもぐしながら、
「そもそも、アルもひどいよねー シャルロッテ嬢をこき使いすぎだと思うよー 嫁なのに! 新婚なのに! さすが、無情冷酷ー」
とルフィールが訴えるが、ノワーゼからすると日常であったので、言うほど劣悪か、と首をひねっていた。
「それはにーちゃんだからだよ!」とルフィールは訴える「もし、これがねーちゃんだったら…」と言いかけて、想像してしまったのか、顔が蒼白になっていた。
「まあ、シャルロッテ様自身にご不満がある訳ではないならば、別によいのでは。」
と極めてどうでも良いことだと思いながら言うと、
「エリーゼ様じゃないけど、ラブラブーとかイチャイチャーとかあってしかるべしだと思う!」
とルフィールが主張するのを聞きながら、ノワーゼは、さすが、エリーゼ様だ、あっさりと弟を愛あふれる幻想の世界へ導いてしまわれたと苦笑する。
ノワーゼは内心思う。本当のひどいというのは、議会に単身で放り込まれるようなことで、シャルロッテ様に関しては、むしろ溺愛なさっておいでのようで、と。理不尽に飛ばされた身からすると思う。まあ、こっちはこっちで、自由にのびのびと仕事をさせていただいているのだが。
シャルロッテ様の立場からすると、ただでさえ、新顔が、女性が、仕事などできるものかとごちゃごちゃと言われるので、逆に、ひどい境遇ともなれば、かえって同情を得られようという策ではなかろうかと。
ちょうど、この後、アルフォートへ報告があったので、そのついでに「大変お楽しそうでよろしいことですね」と言うと、シャルロッテの話と察したアルフォートは笑って開き直る。使える者を使って何が悪いかと。やはり、かつてより相当楽しそうなご様子で……。これのどこが無情冷酷だと思いながら、
仲がよろしいのは喜ばしいことですと、こちらは、共も連れずに単身で鬼退治に邁進しますともと笑っていうと、
「ノワーゼならそのくらい出来よう」
アルフォートはあっさりと言う。
理不尽な言葉だが、なんの疑いもなくそう言われてしまうと、多少あった恨みがましい気持ちが氷解して、気が付けば議会を立て直すためより一層邁進していたノワーゼであった。
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一方、シャルロッテはエリーゼから使いが来て、少しお時間よろしいかしら、と呼び出される。少しならば、と思い、アルフォートへ伝言を残し、席を外すと、「こちらも似合う」「そちらも素敵ね」と散々着せ替え人形にされたあと、あちらこちらと連れ回され、日が落ちて、戻ってからももう少しだけと、少しとは言い難い時間付き合わされ、侍女の方に「もうさすがにエリーゼ様」とたしなめられる頃やっと解放されて、部屋に戻る。
楽しい時間ではあった。こういう時期でなければ有意義な時間でもあった。そう、最初に断らず、途中で逃れられなかった己が悪いのであると思いながら、作業に取りかかる。が、段々と頭がぼーっとしてくる。まだ残っている仕事を見て、頭の中で再度計算しなおす。
少しだけ目を閉じようと思っただけなのに。
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シャルロッテが伏せた顔を上げると、アルフォートの隣には、女性が並んでいた。
顔は見えないが美しい立ち振る舞いから、近隣諸国の美姫であるのだろう。
シャルロッテは思う。ああ、そうだ、と。あの後、結局、アルフォートとの婚約は解消し、行き場を失った自分は下級の文官として雇われたのであったと。そこで任されていたのは、居ても居なくても変わらぬような仕事ばかりであった。
そして、アルフォートの補佐として政にかかわれていたのはまるで、夢のように思っていた。
しかし、あり得ないようなミスをしてしまう。「なんてことをしてくれたのだ」と口々に責める。本当に自分がやったのか否か、考えるが、思い出せないまま、牢へと繋がれる。やがて国全体に影響が出るような事態へと発展してしまう。その頃には、完全にシャルロッテの責任となっていた。
そして、あの場は、刑を言い渡されるの待っていたのであった。
隣の女性がこちらを見つつ何事かを囁く。女性に頷き、呆れた様子でこちらを見つめるアルフォートは一言発する。……ガクンと落ちるような感覚があって目が覚める。
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気がつけば、ソファに横になっていて毛布までかかっている。寝る前の状況を思い出し、
あれ、ちょっとまて、今どのくらい寝ていた?! と思い飛び起きるとアルフォートがいた。冷や汗が出る。
「陛下、大変失礼を!」
と夢の中で散々繰り返していた言葉がつい飛び出してしまう。と、アルフォートは少し驚き、
「シャルもう少し寝ておけ」
と笑う。遠回しの降格通知かとオロオロしていると、ぽいっと書類を山に積み上げて面白そうにこっちを伺っていた。その辺りでだいぶ覚醒してきて、うわーと顔を伏せる。
「夢を見ました」と。
「だろうな」
とアルは笑いながら言う。陛下とは気が早いことだと。
大変失礼致しました、と、頭を下げ、そのまま、「夢の中で、アルは別な女性と結婚し、自分は文官としてアルフォート陛下に仕えていました」
と言うと、いつのまにかこちらへ来ていたアルフォートが起きあがったシャルロッテの隣に座る。
「今と似たようなものかもしれませんが」
と言うと、アルフォートは
「そんなことはない」
と断言する。お前をただの文官になどするものかと。
たとえば、ノワーゼにはこんなことはしないと頭をなでる。
シャルロッテは戸惑いながらも大人しくなでられながら思う。ああ、ノワーゼ様が仕事を残して寝るなどという醜態をさらすようならば、叩き起こすか、後々ゆするネタにするのだろうと。考えて、更に「そんなものでは済みません」と言いそうなノワーゼの顔を思い浮かべ少し笑うと、アルフォートは急にシャルロッテの体をぐいっと倒す。
「休め」と。
もう、目は覚めたと言いかけるシャルロッテへ
「強制的に寝かされるのとどっちが良いか」
「ですが、今夜中に仕上げなければ」
と言うが
「休むのも仕事のうちだ」
と聞き入れず、結局寝室まで連れてこられる。
「アルも疲れているでしょう。」
というと、
「体力の差があるのではなかったか。」
と笑っていうが、顔は疲労の色が隠せずにいる。シャルロッテは、アルフォートの手をぐいっとひっぱり布団へ引きずりこむ
「休むのも仕事のうちと伺いましたが。」
と微笑むとアルフォートは苦笑し、
「まあ、何とかなろう」
と諦める。
朝が来て、シャルロッテはどうなることかと内心ドキドキしていたが、特に何も起こらず、誰も怒らず、普通に1日が終わる。
アルフォートが締め日を偽ったのか、とも考えたがそんなメリットはあるだろうかと不思議に思う。
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翌朝、アルフォートは先触れなくエリーゼの部屋に訪れ、苦情を言いに行くと、そのような厳しいスケジュールを組ませるのが悪いのではなくてと開き直られる。
エリーゼの説教を聞き流しながら、アルフォートは実際少々、いや多少、シャルロッテに無理をさせ過ぎたと反省していた。シャルロッテはノワーゼと違った意味で優秀であった。ノワーゼは他人に仕事をさせるのが上手く、その部下たちはとてもよく鍛えられていた。配転しても、きっと辺境に飛ばしたとしても、文句言いながらまとめあげるだろうと。一方シャルロッテの場合、できる限り自分でこなそうとする。ならば、それ以上の仕事を割り振れば、人を使うことも覚えるであろうと思い、容赦なく仕事を任せたら、それもこなせてしまうのか! と感嘆するほどで、で、結局ああなったのであった。
正直なところ、エリーゼの介入には多少感謝しているところがあった。まあ、締切の方は何とかなるだろう。ああいうものは、本締めというものがあるものだと、後の工程の者が聞いたら悲鳴を上げそうなことを考える。
疲れて寝ている姿をみて、倒れさせる前ではなくてよかったと安心する。それから面白いものが見れたと。
今の境遇が、ただの文官のようなものと言っていたがそんな訳あるまいと思う。
結局、シャルを大切になさい、もっと愛をー 等の説教を散々され、釈放される。
多少説教を我慢しとけば、エリーゼ様がどうしてもシャルロッテ様とお過ごしになる時間を所望されたため、という名分を得られようと。
ほっほっほっほとエリーゼはご機嫌だった。
試金石令嬢~ をお待ちいただいている方がいたら大変申し訳なかったです。番外編書くー って言っておいて長らくお待たせしてしまったこと、本当に申し訳ありませんでした。
試金石令嬢シリーズは、もっと上手く書きたかった! という想いが強すぎて……。まだ読み直せないでいます……。
でも、たくさんの方に読んでいただけて、感想までいただけて、本当に楽しいなろうライフでした。ありがとうございました。
って、まだまだ終わりませんよ!
目指すは、完成して公開! 間違っても未完成で後悔ではないんですよ!