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魔王の手下1号は現役女子小学生 ~VRゴーグルで始める世界征服~  作者: とら猫の尻尾
第二幕 果たしてあいつは敵か味方か、それが大問題だ!
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むかつく奴!

小学校の教室の場面からスタートします。


「今日は教科書32ページの資料を使って皆で考えてみましょうね~」


 山口先生が道徳の授業を始めた。1時間目から道徳の授業はかったるいな。クラスの皆の表情も暗い。でも、毎週水曜日のこの時間には私だけの密かな楽しみがあるの。


 校庭では6年2組の体育の授業が始まっている。私はその様子を窓から眺めるの。あっ、いたいた! 青柳翔真(あおやぎしょうま)くん! 青柳君はうちの学校ナンバーワンのイケメン。地元のサッカークラブではエースストライカーで知らない人はいないスポーツ万能男子なの。


 やっぱりカッコ良いな。もちろんそんな青柳君が好きな女子は沢山いるから、私なんて目を合わせたこともない。いつも遠くから眺めているだけ。でも、それで良いの。だって私は――


「――つぐみちゃん、つぐみちゃんったら!」


 前の席の恵子ちゃんの声で我に返った私。

 えっと…… あれれ?

 いつの間にか皆の視線が私に集まっていた。


「日笠つぐみさん! またボーっとしていましたね! 全く、あなたのような子こそ道徳の授業が必要なのよ。さあ、続きを音読なさい!」

「あっ、はい。えっと、どこを……?」


 私があたふたしていると、隣の鈴木君が自分の教科書のページを指差して教えてくれた。ありがとう、鈴木君!


 音読を済ませた私は、窓から校庭の様子を見る。準備体操が終わった6年2組の皆は、男子全員でトラックを走っているところだった。ダントツに足が早い青柳君。女子たちがキャーキャー言っている声がここまで聞こえてくる。

  

「あうっ!」


 頭に何かが当たった。

 それは机の上でワンバウンドし、床に落ちた。

 消しゴムだ。


 誰なの!?


 犯人はすぐに分かった。三バカトリオの1人、雨霧拓巳(あさぎりたくみ)がこちらを見て笑っている。


 むかつく! でも、恋する私はあんな奴のことは無視よ!


 ああ、青柳君が素敵な笑顔でゴールしたわ。女子たちが競うように汗ふきタオルを渡しに行っている。こんな光景、体育の授業で見られるなんて本当はおかしいことだよね? でも、青柳君の周りではそんな非常識も常識に変わっていくの。


「あうっ!」


 また頭に何かが当たった。

 むかつく! 今度は紙を丸めたボールだ。

 犯人はまた雨霧拓巳ね!


「このぉ~!」


 私がその紙ボールを投げ返そうと振りかぶると、雨霧拓巳が何かジェスチャーで伝えようとしているのに気付いた。


 えっ? なに? この紙を広げて見ろ?


 なんだろう?


 紙ボールを開くと下手くそで汚い絵が描いてある。何これ、私の似顔絵?


 ツインテールの女の子がわんわん泣いている絵。『せんせ~もうじゅぎょーちゅーにねないからゆるしてぇ~』という吹き出しが付いている。


 むかつく! これ、私が低学年の時、厳しい男の先生に何度も泣かされていた黒歴史じゃないの! くそっ! 雨霧拓巳のやつ――!


 私は開いた紙をグシャグシャに丸め直し、思いっきり振りかぶる。すると、また雨霧拓巳が何かジェスチャーで伝えようとしている。


 えっ? なに? この紙を広げて、裏を見ろ?


 黒歴史第二弾だったらコ・ロ・ス・ヨ!


 私の似顔絵にまたむかつきながら、裏をひっくり返して見た。『昼休みに給食室のうらへ来い、一人でだぞ!』と汚い文字で書いてあった。


 なんだろう? 雨霧拓巳が私に何の用だろう?

つぐみちゃんに応援メッセージをよろしくお願いします!

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