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魔族の契約

 気付かれていた!? 私がゴーグルを外そうとしていたことを?


「ほら、見ての通りおまえのゴーグルは外せない。オレ様が魔法をかけたからな」 


 そう言って、魔王は私のゴーグルから手を放した。

 私は床に落下した勢いで後ろに倒れてお尻を打ってしまった。

 魔王はペッと床に唾を吐く。


「あなたはどこから来たの?」


 ここがゲームの中でないとしたら、目の前にいる魔王は一体何なのだろう。


「だーかーらー、最初から言っているだろう。オレ様は魔王。勇者との最終対決の戦闘中、とある魔法の副作用によってこの異次元空間に飛ばされてきたのだ!」


「異次元空間って……このゲームの世界へ?」

  

 私、難しい話はよく分からないな。クラスの男子ならこんな話に詳しそうな人を何人かは知っているけど。


「ちょっと待っていろ!」


 そう言って、パソコンを器用に操作する魔王。この短時間ですっかりインターネットを使いこなしている。これも魔法の力なのかな?


 モニターに次々と表示されるのは剣と魔法のファンタジー世界。その綺麗なイラストを開きながら、魔王がいた世界と似ているものを指を差しながら説明している。何だかとても嬉しそうな顔をしている。


「この世界には一人で来たの?」


「きっと勇者の野郎も飛ばされてきたと思うぞ。あと周りにいた勇者の仲間とオレ様の仲間もな!」


 このゲームの世界に勇者も来ている!? それなら、その人に頼めば魔王を倒してくれて、私を現実世界に戻してくれるかな?


「つぐみよ、何かを期待しているようだが……それは叶わぬ希望だぞ!」


「ええっ!?」


 私の企みを見透かされた?


「勇者はオレ様よりもずっと高齢だ。爺様だぞ!」


 ホッとしたような、がっかりしたような…… 複雑な心境。

 お爺さんの勇者とおじさんの魔王の最終決戦かぁ……

 

「そうそう、こんな感じの爺様だ!」


 魔王が指し示した画像は、禿げているけれどカッコ良い役で有名なハリウッド映画に出てくる男の人だった。魔王さまよりもずっとイケメンだと思ったけど黙っておこう。


「では、つぐみよ。今後の作戦を話し合おうではないか」


 魔王は床に座り、あぐらをかいた。

 これまでの威圧的な態度から急に変化したので私は戸惑う。


「さ、作戦って……?」

「世界征服の作戦に決まっているだろう!」

「世界征服――!?」


 魔王の目標が大きすぎて目がくらむ。


「オレ様とつぐみがやることと言ったらそれ以外にはないだろ?」

「ま、魔王さまはともかく私は……」


 世界征服なんてしたいと思わない。きっとそれは犯罪だし。


「何を言っているつぐみ。おまえはオレ様の手下1号、すでに魔族の契約を結んでいるのだ!」


「いつですかぁぁぁ――っ!?」


「おまえはオレ様が遊んでやれば命令を聞くと言った。それが魔族の契約だ! 魔王の命令はゼッタイなのだ!」


「いやぁぁぁ――――っ!!」


 私はたまらず泣き叫ぶ。

 魔王は慌てた様子で頭をなでなでしてくれた。 


魔王の手下1号になってしまったつぐみちゃんに、励ましのお便りをお待ちしています!

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