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4話が冷や汗をかいた。

簡単に言うと、レイナからの話は、いつものようなトンデモ魔法実験ではなく、この前の3人が思ったよりも早く返答してくれる、というものだった。

俺はその言葉に、足取りが軽くなりそうだったが、よくよく考えてみて、思った。


「あれ?これ断られるパターンじゃね?」

「人の不安を煽るなぁ!」


隣でもう既に事情を知っているヤシルは、俺の思っていることを的中してきて、俺はその言葉に心が泣きそうになった。


「まー、こればっかりはレイナさんにも分かんないなぁ!」

「笑うな幼女!」

「幼女じゃねぇわ!クソ真面目!」

「真面目の何が悪いんだよ!」

「あー、はいはい、そこら辺にしときな、2人とも」

「うるせぇ歩く植物!」

「…………もうそれでいいから、な、黙らないと」


言い合っている俺らから1番言われたくない暴言を履かれたヤシルは、緑の魔力を見せつけるように展開して、魔法を使うぞ、という意思を示す。

俺とレイナは2人して顔を合わせ、にっこり笑顔を作り、


「何言ってんだよ!緑魔法最高じゃねぇか!」

「そだよやっしー!緑魔法は世界の魔法だよ!」


そんな感じに緑魔法を褒めちぎっていくと、


「お、おう……そうだよな、俺も悪かったわ」


だんだんと魔力の展開をやめていく。

この3人でいる時は、大体レイナに振り回され、という感じで、周りからはレイナが一番怖いというイメージがあるが、俺らの中で1番怖いのは、ヤシルだ。

こいつの魔法は遠慮をなくしてしまえば俺らでは手が付けられない。

なので、だいたいこいつが切れると俺らはフォローに回る。


と、脱線は良くないので、俺は二人に向かって、


「ま、なるようにしかならんし、ダメでもまだ修正は可能だから」

「あ、強がりだね!」

「強がりだな」


まったくお前ら締まらないっ!











「それで、この前の返答を早くしてくれるって話は、本当なのかな?」


昨日の早い回答をしてくれる、という連絡から、二日経ち、そのあいだ気にしないように徹していたが、案の定レイナとヤシルは毎日のように俺をいじり倒して、そろそろ本格的に喧嘩でもしようかと画策し始めたあたりだった。


……これで断られたらあいつら絶対ボコる……。


あの2人以外に実力あるから難しいけど!


「じゃあ、みんなを代表して、俺からいいっすか?」


俺は手を挙げたチャラ男くんに頷く。


ちなみに、名前を聞いていないのは、正式に入ることが決定したら、名前を聞かせて欲しいという俺のただの自己満足だ。


「自分たちは、確かにイサナさんの言った通り、魔力を知覚できる人種で、イサナさんに言われてから、もっかいみんなで話し合いました」


無言で先を促すと、チャラ男くんは、息を吸ってから、


「俺らが出す試験にイサナさんが合格したら、その時は、はいらせてもらいます」

「……試験?」


一筋縄では行かないと感じていたので、魔戦の一つや二つするとでも思ったが、それはどうやら魔戦というものに足を突っ込んだものの早慶な考えだったと気づく。

普通に考えて魔戦で勝ったら、とかやったことない人からすれば嫌な話だし、特に格下キラーなんて呼ばれていることは調べればすぐ分かるので、やりたくないのは自明の理だろう。


「そうです」

「あー、一応聞いておくけど、俺にそれちゃんと合格させる気は……」

「一応あります」


だけど、とチャラ男くんは付け足して、


「本当に勝とうと思っているなら、ですけど」


そんな聞き方されたらやる気を出すしかないのが男ってもんで、


「乗った」

「…………わかりました。

 こっちもこんな条件出すのは、本当にあってるのか、って思いますけど、そんときはすいません」

「いいよ、先輩だし、勝たせてもらう機会があるなら、それでおっけー」


もとより断られると思ってたしな。

そこで、チャラ男くんが苦い顔をしているのを察してか、前髪君が立ち上がり、


「こういうのは俺が引き受けるから」


と言って、俺の方を向いた。


「俺らが出す試験は


 猟犬(ハウンドドッグ)のリーダー、大神剣(おおがみけん)さんに、ソロで勝つことです」


冷や汗ってこういうふうにかくんだね。


次話にご期待頂けると、嬉しいです。

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