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3話は戸が可哀想

3人からは、1週間時間が欲しい、と言われた。


個人的には、早くから取り掛かりたかったが、予定よりも早くレイナが人を見つけ出してくれたおかげで、予定が崩れなくて済みそうだった。

でも、彼らはこの誘いに受けてくれるのだろうか?と授業中に上の空になりながらも、全色使いで適性が低いので、真面目に勉強するしかない俺は、渋々ながら、ノートにメモをとっていく。


「よっ、イサナ」

「…………あぁ、浮竹(ういたけ)

「……もしかして俺の名前一瞬忘れたとか、言わねぇよな?」

「…………いやいや、そんなことないぞ」

「目を逸らすな!現実味が出てくる!」


昼休みの時間になり、声をかけてきたのは、同じクラスの浮竹八知(ういたけやしる)

うちのクラスの数少ない魔戦をしているメンバーで、中堅に届くかもしれない、と今言われている生命(ライフ)のサブリーダーだ。


生命(ライフ)は、今までサポートとしてしか使えないと考えられていた緑の魔法の使い手のみを集めたチームで、その人数は全チーム中2番目に多い20人を誇っている。

その中で、未だに緑の魔力を何に変換して魔法を使っているのか分からないとされている謎のサブリーダーが、こいつだ。


「いや、普通にさっきの授業で見落としてたところがあってな」

「相も変わらず君は真面目だねぇ、イサナ」

「まぁ、やっしーには言われたくないだろうな」

「うるせぇねっしー」


こいつはレイナとも知り合いで、レイナから呼ばれているやっしーと、俺のねっしーで、二人でいる時はやねっしーという謎の言語が発明され……と言う話は、本人がいる前でした方がいいので、ここでは控えておこう。


「それで、飯はどうするんだ?」

「適当に」

「おっけ」


ヤシルは俺の言葉に了解しながら、自分の席に戻っていく。

大体俺の言う適当、は購買で食べるということなので、ヤシルは財布を取りに行ったのだろう。

俺もカバンから財布を取り出しながら、ゆったりとした足取りで、購買に向かう。











「「「あ」」」

「なんか会いたくなさそうな声に聞こえるの俺だけ?」


いつもは人気のない購買で、俺は生クリームの入ったチョコメロンパン、ヤシルは醤油パンを購入していると、後から、最近聞いた話声がしたので振り返ると、昨日あったばかりの彼らにあった。


「こ、こんにちは」

「ちーっす」

「あー、とりあえず……」


ヤシルはその姿を見て速攻、俺を羽交い締めにし、


「こいつがなにか悪いことをしたのは分かった、徹底的にやってくれ」

「っ?!変な理解は辞めてくれ!」


目の前の2人も慌てて、俺から何もされていないと説明してくれた。

ヤシルは渋々と言った感じで俺を解放し、話を聞く姿勢になった、が。


「まぁ、まだ考える時間はあるし、もうちょっと悩んでからにしてくれ」


と俺は速攻で2人を帰した。

正直、この話はこいつの耳に入れさせたくなかったが、こいつのことだ。


「じゃあ、説明よろ」


こいつゴリラが前世なんじゃねぇかってくらいの握力で肩を掴まれた。











「はぁっ?!」


とりあえず説明すると、ヤシルは食っていたパンを地面に落としながら立ち上がり、叫んだ。

さりげなく俺が魔法でパンを地面につけないように拾い、みんなに謝りながら席につかせる。


「いやぁ……まさかあの天下の格下キラーさんが格上に向かっていこうだなんてねぇ……」

「格下キラーは余計だ」

「いやぁ、ここぞとばかりにしたの奴らはお前をぶっ殺しに来るぞぉ」

「…………まぁ、知ってる」


俺は、一部の魔戦をしている奴らからは、格下キラー、なんて呼ばれている。

適性がなければ無いほど、色分けされていないという有利を生かし、弱点をバンバンついてくるその様は、容赦が無さすぎて逆に清々する、と言われるくらいだ。


…………生命(ライフ)もその被害者だしな。


「もうちょっとでレッドを超えれそうなんだろ?いいのか?離れちゃって?」

「うーん……無理っぽいよ、あれは」

「は?春の試合なんて大接戦だったじゃなかったのかよ?」


俺はその言葉を言ったヤシルを睨むと、ヤシルは申し訳なさそうにパンをかじり、


「だって事実じゃねぇかよ……」

「それでも、だよ」


俺の中であの試合は、既になかったことになっている。

あの試合は、自分の中で最低なことをしてしまった自覚があるし……。

と思っていると、クラスの戸がバンっ!と開けられる。

みんなはもうびっくりしない。


こんな戸の開け方をするのは一人しかいないし、これを止めることは出来ないので、みんなは即座に耳を塞ぐ。

ヤシルも俺も耳を塞ごうとするが、ヤシルは手でやろうとしているので届くわけがない。


対する俺は魔法でやっているからギリギリ間に合った。


「ねっしー!今日の放課後空いてる?!」


俺だけに向けられたレイナからの言葉に、俺はキョトンとしながら、はいと答えた。


次話にご期待くださると、嬉しいです

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