唐突に1話は始まる
ちまちまと思いつき次第書いていきます。
「うーん」
俺は、悩んでいた。
魔法学園日本支部。
魔法というものの存在が現れたこの世界は、7人の始祖と呼ばれる魔法使いたちによって統制を取られた。
…………という前置きはさておき、それによって生まれたのが、魔戦。
魔法戦闘を略して魔戦、というのはいささか安直だと思うが、みんなそう呼んでいるし、それよりいい名前が未だに出ていないことから、それで定着している。
そこで、近年…………と言っても、数十年前だが、魔戦をしたものとしていないものでの魔法に関しての能力の発達の具合が違ったのだ。
さらに付け加えて、10代、それも十代後半くらいの時期に行われる魔戦は、特に魔法能力を活性化させるということで、高校生に魔戦が解禁された。
そこからは高校生の魔戦によって数々のすごい人が生まれた。
しかし、それは同時に魔法に適性のないものに対して、厳しい現実を叩きつけるものへとなっていった。
どのすごい人も、もれなく魔法に対する適正は満点はなまるである100。
魔法使いは通常50から魔法使いになれるこの世界で、すごい人になる=適正が満点、というイメージが染み付いてしまった。
そうして生まれてしまったのは、魔法学園内での諦めた者達。
「じゃあ……この成り立ちを……あ、音頭、実際にやってみてくれないか?!」
俺は席を立ち、黒板の前に歩いていく。
黒板の前に立つと見えるのは、授業を受ける生徒の面々。
このクラスにいるもので、魔戦に関わっているものは、一クラス30人中、8人。
うちの学年は4クラスいるので、単純にこの学年には30人くらいしか魔戦に行っている者はいない。
そして、この学園は4年生なので、魔戦を学年で行っているものは、おおよそ120人。
「えー、まずは、この世の中には魔素、というものが存在していて、これを吸い取ることによって、みんなは魔力を作っています」
俺は空中に透明の球体の魔力を6つ展開する。
全学年に対してやっているものが少ない原因は、今の魔戦が、あまりにも一方的なものになっているから、というのが理由として言える。
上位二チーム、中堅四チーム、その他大勢。
これが、魔法学園においての魔戦のチームの認識だ。
一チームにつき、平均10人ほどが在籍していて、計12チームがある。
「しかし、これだけでは魔法を作ることは困難です。
魔力はまだこの状態では、真っ白のキャンパス、とかではなく、そもそも道具なしで絵をかけ、と言われているようなものです」
上位二チーム。
アサルト。
5人という最低人数で組まれたチームは、全員が魔法への適性が満点以上という才能溢れているチーム。
そのなかでもリーダーは女傑、と言われるほどに最強と言われていて、ほかの4人のメンバーが束になろうとも叶わないと言われている。
「そこで、無意識的に行われているのが、色分けです」
空中に浮いた透明の魔力の球体は色を帯び始める。
白、黒、赤、緑、青、黄。
そして、もうひとつの上位チーム。
レッド。
名前の通り、赤の適性を持つもののみを集めて、上り詰めたキワモノグループ。
全員が抜群の戦闘センスを持ち、近接戦闘を挑んだらまず勝ち目は一切なくなる、と言われている。
「この色分けによって、ようやくさっきの例でいうキャンパスが出来上がりました。
ここから、魔力はその色に関連するものに変質することで、魔法は作られます」
空に浮いた魔法は、白が光、黒が闇、赤は炎、緑は植物に、青は水、黄色は電気に変わった。
そして、俺はというと……
「やっぱり音頭はすごいな……流石はハウンドドッグに所属しているだけはあるな……」
「いえ、補欠なんで……」
中堅の中堅、上から数えてギリ5番目である、猟犬の一員である。
このチームは、全員が機動力特化という編成で相手を翻弄するチームで、上位チームに常に挑み続けている。
ま、そのせいで最近は負け犬、とか言われ始めたが……。
「それにしても全色使いってのは、素晴らしいことだぞ!」
「いえ、その分適性が低いんで……」
「そんなことないぞ!私なんて君に手も足も出ないからな!」
その言葉に、クラスのみんなが湧く。
俺はその様子に、肩を落として、席に戻った。
そこで、俺は机の上に何か書かれていることに気づく。
『準備はそろった』
その文字に、俺は口角を上げる。
3年生は夏をすぎ、半分を切った。
俺は、このまま終わりたくなかった。
だから、俺は、
この魔法学園で、1番をとる。
次話にご期待くださると、嬉しいです。