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僕は空想の話が好きだ。それは、マンガでもいいし小説でもいい。そこには、あくまでも架空ではあるが、一人の人間の人生が描かれている。それをなぞっていくことであたかも経験したような気になれる。つまりは、人生の同調と言ってもいいだろう。もっと簡単な言い方をすれば『お試し体験』みたいなものだ。なんて素晴らしいのだろう。運動ができなくても、一流のスポーツ選手になったりもできる。ただ、ばかにする人もいるだろう。
『そんなのはただの想像のはなしだ。』と、大いに結構。確かに空想だ。だが、それで幸せになれれば何の問題もない。空想の話によって幸せに死んでいくのと、何の幸せもなく死んでいくのだったら幸せな方がいい。この世はすべて結果論だ。終わりよければ全てよし。空想は僕の空白を埋めてくれる。空っぽなことはとてもつらいことであると断言しよう。