最終話その5
区切りのいい所で切ったので短くなりました。
玉座の上でうたた寝を始めていたステラは、近付いてくるヒトの気配を感じて目を覚ました。
待望のブロンズ王国からの使者か刺客が来たのだろうと、胸が高まるのを感じる。
こんな真夜中に城に忍び込んで来るのだから、使者等という生易しいものではない。恐らくは自分を狙った刺客であろうと、ステラは目を閉じたまま考える。
コツコツと、玉座の間に足音が響いた。
ステラの頭上に生えた獣の耳が、足音に合わせてくるくると反応を示す。
足音に混じって、ポタポタと何か水滴の様なものが滴る音も聞こえてくる。
しばらくして足音が止まる。
ステラがゆっくりと目を開けると、月明かりに照らされたルーカスがそこにいた。
いつの間にか雲がはれ、月が顔を出していたらしい。
ステラの背後、玉座の後ろには豪奢なステンドグラスが設えてあった。そのステンドグラスから漏れ出る月光が、ルーカスの顔を優しく照らし出す。
あの日、セントラルで別れてから6年。
ついこの間、ブロンズで対面してから数日。
昔と変わらず、優しい顔のルーカスがそこにいた。
「ブロンズ王国騎士団所属ルーカス・ウェイカー。ニューブロンズ王国女王ステラ・ニューブロンズ陛下とお見受けする」
畏まった口調で名乗るルーカスに対し、ステラは眉根を寄せる。
そんなことお構い無しにと、ルーカスは更に言葉を続ける。
「ブロンズ王国からの使者として参りました。先日の我が国への宣戦布告に対し、我が王より此の国への兵の派遣が決まりました。私は先んじて王からの密命を受け参上した次第です」
「密命…」
噛み締めるようにステラが呟く。
「私が受けた任務は、先遣隊としてブロンズ王国から此の国までの道を切り開くこと」
ブロンズ王国から先遣隊が派遣される事は、ステラも予想していた。むしろ、ブロンズ王国からの兵が、ここニューブロンズ王国まで円滑に辿り着けるよう、わざとリリーナをおいていったのだ。
「そしてもうひとつ。私は貴女の暗殺任務を請け負っています」
付け加えるように言葉を並べたルーカスの顔は、どこか憂いを帯びた表情をしていた。
置き去りにされたリリーナは本当に置き去りにされていた事が発覚。




