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ステラズ・クロニクル  作者: 森田ラッシー
第四部 サベッジ編
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第47話 宣戦布告/決別

「おい、ありゃ一体どうなってるんだ」


 王城前広場からバルコニーを見上げるジョルジュは、隣に立つ妻サラに問いかけた。


「どうって、そんなの私にもわからないわよ」


 尋ねられたサラも、もちろん何がどうなっているのか分からない。

 国王と聖女の結婚宣言の最中、突然ニューブロンズ女王を名乗る女が現れてたかと思ったら、その人物が6年前に消えた友人で、その友人に剣を向けているのが他でもないルーカスで。


「なんで、あいつらがあんな事にならなくちゃいけないんだ」


 ジョルジュは何もできず立ち尽くしている自分に苛立ちを感じていた。隣のサラもまた、歯を食いしばって悔しそうにしている。

 こんな時、何もしてやれないで何が領主だ、とジョルジュは自分自身に毒付いた。


「二人ともこんな所にいた」


 そんな二人の前に、イグニスを連れたマーサが現れた。


「マーサさん・・・」


 顔を歪ませながらサラがマーサに抱きつく。そんなサラの頭を撫でながら、マーサは優しく二人に語りかけた。


「見守りましょう。私たちに出来るのはそれだけ」


 マーサの言葉にジョルジュが力強く頷いた。サラもまた、マーサの胸の中でうんうんと何度も頷いている。


「僕も見たいよ」


 イグニスがぴょんぴょん跳ねながらバルコニーの方を見ようとしていた。ジョルジュはイグニスを抱えて肩に乗せてやった。


「ありがとう領主様」


「ああ。お前もしっかり見てやってくれルーカスのことを」


「?うん、わかったよ」


 よく分かっていないイグニスだったが、うんと頷いた。





「さあ、ニューブロンズ女王よ。一体どういうつもりだ。なぜブロンズ王に剣を向けた」


 ステラに剣を向けて、ルーカスは厳しい口調で問い詰めた。

 ステラは表情を崩すことなく、淡々と返した。


「そんなこと、聞かずともわかっているはずです。ニューブロンズはブロンズに対して復讐する。宣戦布告するということです」


 ハッキリとそう告げたステラに、ルーカスは一瞬弱々しい表情を浮かべた。


「なぜ、なぜそうなる。君はそんな事の為にニューブロンズへ行ったのか・・・」


 ルーカスはステラにだけ聞こえる小さな声で言った。その声は先程までとは異なり、良ささに満ちた声だった。

 その声を聞いたステラもまた、一瞬だけ表情を崩したが、すぐに持ち直した。


「色々なことがあった。だから、もう私を迎えに来る必要なない。ルーカス、さようなら」


 それだけ告げるとステラは懐から笛を取り出して鳴らした。

 ピイイイイイイイイイイイイイイイイという不快な音が響き渡り、バルコニーにいつ者だけでなく、広場にいる全員が耳を抑えていた。

 いつの間にか起き上がっていたアズールが煙幕をはり、ステラの元に駆け寄っていた。

 咄嗟に耳を塞いでいたルーカスが気がついた時には、アズールがステラを抱えてバルコニーから飛び降りてしまっていた。

 煙幕に紛れて人ごみの中を掛けていき、アズールとステラはすぐに見えなくなってしまった。


「奴らを追う!」


 ルーカスはそう言うと自身もバルコニーから飛び降りて、二人の後を追っていった。


「もう、迎えに来なくていいだって?ふざけるな!力ずくでも連れ戻してやる!」


 この6年、いつかステラを取り戻すためにと戦い続けてきたルーカスにとって、ステラからの言葉は大きな傷になっていた。


「くそう!くそう!」


 走りながらルーカスは、かつての情景を思い浮かべずにはいられなかった」




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