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ステラズ・クロニクル  作者: 森田ラッシー
第四部 サベッジ編
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第46話 暴挙/6年ぶりの再会

「ブロンズ王国の友人たちよ!私は獣人である!」


 ステラのよく通る声が、広場に響いた。

 先程まで、ステラの頭に生えた獣の耳を見て騒いでいた民衆が全員黙り込み、ステラの方を注視していた。

 ステラの隣に立つブロンズ国王は驚愕の表情を浮かべており、ステラの頭でピコピコ動いている耳を凝視している。

 二人から少し下がった所に立っていた聖女ルーナシアは、フードを下ろしたステラを見て、国王同様に驚愕の表情を浮かべていた。6年前に出会った獣人の少女が、ニューブロンズの女王を名乗って再び自分の前に現れた。これまで獣人の迫害を進めてきた彼女としては、ステラの言動から目が離せなくなっている。

 そもそも国王と聖女をはじめ、ブロンズ王国とセイレン王国の中心人物の間では、ニューブロンズ王国の存在は既に知られていた。

 その情報をもたらしたのは他でもない、眼帯の騎士ルーカス・ウェイカーであった。

 ルーカスがもたらした情報は、サベッジ山脈の向こう側にニューブロンズという獣人の国があるという非常に簡潔なものだけだった。

 そのため、ブロンズ国王はニューブロンズがかつてのブロンズ王家の血筋から追放された者によって建国されたとは知らずに、ステラをバルコニーへと招いてしまったのだ。


「ブロンズ王国の友人たちよ!私たちの国、ニューニューブロンズは、サベッジ山脈を超えた先にある獣人の国です!」


 ステラは更に大きな声を出して、話を続けている。

 警備の騎士が何人かバルコニーに出てきたが、アズールによって阻まれ、ステラに近付けないでいる。


「獣人の国ニューブロンズは、ブロンズ王国初代国王の弟が建国した国です。サベッジ山脈を超えた彼は獣人の集落に辿り付き、そこで獣人の女性と結ばれ子を成します。彼が結ばれた獣人の女性は、おとぎ話に出てくる聖女ステラの子孫でした」


 一心に語り続けるステラに、ブロンズ国王とルーナシアは危機感を抱き始めていた。このままステラを喋らせると、何か大変なことが起きそうなことがする。二人はそう思い始めていた。


「私はその彼と聖女ステラの血を引く子孫です!」


 ステラの言葉に広場に集まる人々はポカーンと口を開けていた。

 そして徐々に騒がしくなっていき、「そんなわけねーだろ!」「獣人風情が何をデタラメ言ってるんだ!」「嘘付いてるんじゃねーよ!」という罵声が飛び交い始めた。

 ステラは自分に向けられる罵詈雑言に、残念そうに顔を伏せた。


「みなさん、信じてください・・・本当なんです」


 今にも消え入りそうな声でステラが呟いた。

 その姿を見て、好機と捉えたのか、ブロンズ国王とルーナシアが前に出てきた。


「親愛なるブロンズ国民たちよ!どうか彼女への怒りを鎮めて欲しい!彼女をこの壇上に招いたのは私だ!確かに彼女の言葉はにわかには信じられないだろう。しかし、これほど懸命に語りかける彼女の姿を見て!諸君は何も感じないのか!私は、彼女を信じる!その上で、ニューブロンズとの交流を持ちたいと思う!」


 力強く語りかけるブロンズ国王に、民衆は胸打たれたのかうんうんと頷く者や、口々に「信じてみるか」「王が言うのなら」と賛同する者が現れ始めた。


「そういうわけだステラ女王。どうかブロンズ王国とニューブロンズ王国とで、友好関係が結べるように、協力願えないだろうか」


 ブロンズ国王がステラに握手を求めた。


「ブロンズ国王・・・ありがとうございます」


 そう言って手を伸ばすステラ。

 二人はガッチリと手と手を取り合い・・・





「あー、ヒト様は本当に何も考えてねぇのな」


 アズール・フェンリル・ウォーカーがステラの背後から飛び上がり、ブロンズ国王に向けて剣を突き立てようとしていた。


「なッ、なあああああああああ!!!!!!!」


 自分に向けられた剣に気付いたブロンズ国王は後ろに倒れ込み、無様にもがいていた。


「きゃああああああああ!!!!!」


 聖女ルーナシアも突然の事に取り乱し、叫んでいる。

 その動揺は大衆にも伝わり、広間は再び騒然とした。

 その中を、一つの影が人ごみを掻い潜っていった。


「あー、逃げるなよ国王様ぁ」


 アズールの剣がブロンズ国王を突き刺そうと、次々と突き立てられるが、国王は尽く交わしている。


「ひっ、ひいいいい」


 国王は避けるのに必死で、その顔は恐怖に歪んでいた。


「あー、うっとおしいなぁ」


 いい加減、面倒くさくなったのか。アズールは国王に飛びかかり馬乗りになった。

 声にならない悲鳴を上げながらジタバタする国王を取り押さえ、アズールは剣を構える。

 ―瞬間。

 アズールの剣がはじかれ、バルコニーから広場へと落ちていった。


「あー?」


 イラついたアズールが振り返ると、そこには眼帯をした騎士が立っていた。


「久しぶりだな。眼帯の獣人」


 ルーカスはニコッと笑顔を浮かべながら、アズールを蹴り飛ばした。


「いってええええええ!」


 蹴り飛ばされたアズールは、頭を押さえて唸る。

 ルーカスはステラの方を向いて、優しく微笑んだ。そして、剣先をステラに向けた。


「ニューブロンズ女王ステラ。我が王を害するなら、貴女をここで討つ」



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