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ステラズ・クロニクル  作者: 森田ラッシー
第四部 サベッジ編
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第45話 暴挙/ニューブロンズの女王

「我が愛するブロンズ国民よ。そして、愛すべき隣人たちよ。私は今ここに、セイレンの聖女ルーナシア・エルメスターを妻として迎えることを宣言する!」


 ブロンズ国王の結婚宣言により、王城前広場に集まった群衆の熱気は最高潮に達していた。隣にいる人の声もかき消される程の歓声が上がり、ヒト種よりも聴覚の優れた獣人種であるステラとアズールには少し辛い状況だった。


「耳が痛いですね」


「あー、何か言いましたか姫?」


「なんです?聞こえません!」


「あー、なんですってー?」


 二人のやり取りも周囲からの声でかき消されていた。





「もう始まっていたのか。通りでうるさいわけだ」


 広場に到着した騎士ルーカスが、盛り上がる群衆を見て言った。


「自分の仕える王の婚礼に湧く民衆をうるさいなどと・・・。貴様ほんとうに騎士か」


 本来敵対する側のリリーナが、呆れた様子で言った。


「こう騒がしいのは苦手なんだよ」


「なるほど。確かに陰気な感じだしな」


「お前、一応俺に捉えられた捕虜としての自覚を持てよ」


 立場をわきまえないリリーナの物言いに、ルーカスは不機嫌そうに忠告する。

 リリーナは無言でルーカスを睨みつけて、せめてもの反撃とした。


「で、ステラ女王はどこにいるんだ?」


 リリーナに睨みつけられても気にも止めず、ルーカスは本来の目的を遂行する為に、リリーナにステラを見つけるように促す。

 リリーナは群衆をじーっと見つめる。


「うーん、分からん。こうも人が多いとさすがに見つけにくい」


 眉間に皺を寄せて群衆の方を睨みつけるリリーナだったが、さすがの獣人でもそう簡単に見つけられないようだった。

 ルーカスが参ったなと頭を掻いていると、群衆を割って王城の方へ進んでいく二人組の姿が見えた。


「おい、あの二人もしかして」


 リリーナに声を掛け、移動している二人を見るように促した。


「うーん。あっ、ステラ様!それにアズール様!」


「あたりか!よしっ!」


 リリーナが言った瞬間、ルーカスは群衆の中に飛び込んでいった。


「え?あ?私は?」


 取り残されたリリーナは呆然と立ち尽くしていた。





 群衆を掻き分け、王城の前に辿り着いたステラとアズールは、自分たちのすぐ上のバルコニーに立つブロンズ国王と聖女に向けて、声を放った。


「聞こえるかブロンズ国王よ!我こそはニューブロンズ王国国王ステラ・ニューブロンズである!此度の婚礼を祝うため、遥々サベッジ山脈の向こう側より参った!!」


 ステラの声は、民衆の歓声を割り、まるで雷が落ちたように辺りを静まりかえらせた。


「改めて名乗ろう!我こそはサベッジ山脈の向こう側、ニューブロンズ王国の国王!ステラー・ニューブロンズである!!」


 ステラの二度目の名乗りで、ザワザワと周囲が騒がしくなっていった。

 王城のバルコニーに立つ国王と聖女は、眼下に立つニューブロンズ国王を見つめている。

 しばらく無言の時が過ぎ、ブロンズ国王が口を開いた。


「ニューブロンズのステラ女王よ!この度は遠路はるばるよくぞ参られた!感謝する!」


 ブロンズ国王の言葉に民衆は歓声を上げ、再び広場は騒がしくなった。

 警備の騎士がステラとアズールを案内し、二人はブロンズ国王の立つバルコニーに通された。

 バルコニーに立ったステラは広場に集まる民衆に手を振り、ブロンズ国王、聖女と握手をする。

 ルーナシアは握手の際に、フードを深く被ったステラを怪訝そうに覗き込んだ。


「こうして新たな友人がここに立つことを、私は嬉しく思う!」


 ブロンズ国王が民に向かって言葉を放ち、ステラに前に立つように促した。

 ステラはブロンズ国王の隣に立ち、おもむろにフードを下ろした。

 ステラの姿を見て、民衆の歓声が大きな動揺の声に変わった。


「ブロンズ王国の友人たちよ!私は獣人である!」



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