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ステラズ・クロニクル  作者: 森田ラッシー
第一部 ブロンズ王国編
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第1話 夜襲

物語の第1話。

「母さん!ルーカス!起きろ!」


 父親の声でルーカスは目が覚めた。窓から外を見ると、まだ夜が明けていないのが分かった。


「あなた?一体どうしたの?」


 母も目を覚ましたようだ。まだ眠いのか、目を擦りながら身体を起こしている。妹のリーナはまだ眠っているようだ。スヤスヤと寝息を立てている。そんなリーナの頬を、母シェミーが優しく撫でる。その姿を見ながら、少し羨ましいと思ってしまうルーカスだった。


「外が騒がしい。様子が変だ」


 そう言いながら父は立ち上がり、壁に掛けてある狩り装束の皮のベストに袖を通した。父ベーンは皮のベストのポケットから、片手ナイフを取り出した。


「気休め程度だが、何も無いよりはマシだろう。もしもの時は全力で逃げるか、身を隠しなさい。それでもどうにもならない時、そのナイフを使いなさい」


 まだ完全に目が覚めていないルーカスには、父親の言っていることがいまいち理解できなかった。父から手渡されたのは、農作業を手伝う時にも借りていた石のナイフだった。父はさっき、なんと言っただろうか。逃げる?身を隠す?ナイフを使う?


「顔を洗ってくるよ」


 少し頭を冷やしたいのと、顔を洗って目をしっかり覚まさせたい、そう思ってルーカスは、水瓶を置いている隣の部屋に向かった。


 ルーカスが顔を洗っていると、バンッと扉が開かれた音が聞こえた。一瞬驚いたルーカスが、どうかしたのかと父親を呼ぼうと口を開けた瞬間、「なんだお前たちは!」と父親の怒号が聞こえた。


「この村になんのよ用だ!私の家に、家族に触れてみろ、ただでは済まさないぞ!」


「あー、1、2、3人…こんなもんか」


「貴様!聞いているのか!!」


「あー、うるせぇな。これだからヒト種は…」


「貴様!何をする気か知らな」


 グチャッと、聞いたことのないような音が聞こえた。その音と同時に、父の言葉が立ち消えた。

瞬間ー


「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 母親の絶叫が響いた。


「あー、ヒトの女はうるさいな」


「お母さん?」


 リーナの声が聞こえた。母の叫び声で目を覚ましたようだ。「お母さんどうしたの?どこか痛いの?」リーナの声が聞こえてくる。ルーカスはその時初めて、自分の足がすくんで動けなくなっていることに気が付いた。


「あー、静かにしててくれ、な?」


 ブシュッと何かが吹き出す音が聞こえたかと思うと、ゴトンと何かが床に落ちた。


「リーナ!リーナ!あああああああああああああああ!!!!!!」


「あー、奥さん、まだこの家に子どもがいたりしねぇかぁ?布団がひと組多いみたいなんだがよぉ」


 ピタリと、先程まで聞こえていた母の嗚咽が止まった。ルーカスはまだ動けない。


「あー、奥さん?いるんだろ?ガキがもう一人よぉ?」


「ふふ、ふふふふ…ふはは、ははははははははははは」


「あー、おかしくなっちまったか?ってオイ!離れろよ!オイ!」


 壁一枚隔てた向こうの部屋から、ドンドンと何かが壁や床にぶつかる音が聞こえる。時折「グゥッ」「ギャっ」と母の声で聞こえてくる。ルーカスはただ聞いていることしかできなかった。足がすくみ、両手は震え、額からは汗がボタボタと流れ出ていた。


 ザシュッと、何かが何かを貫く音が聞こえた。直後、ドサリと何かが床に倒れ込んだのが分かった。ルーカスには二つの音の意味が分かっていた。歯を食いしばりながら、ルーカスは足を動かした。目の前には大きな水瓶が二つ並んでいる。水瓶の後ろに、子ども一人くらいが入れるスペースがある事をルーカスは知っていた。リーナとのかくれんぼで、いつも使っている場所だからだ。


「あー、びっくりした」


「お頭、遊びすぎです」


「あー、悪かったよ。ほら、奥の部屋は俺が見てくるから、お前らは火の準備しといてくれ」




 足音がルーカスのいる部屋に近づいてくる。部屋の隅、水瓶の裏に隠れたルーカスは、足音の主を確認しようと、様子を伺う。

 足音の主が持つ松明が、ゆらゆらと揺れ、二つ並んだ水瓶の間から、kろうじて姿が見えた。

 男の衣服は返り血で赤黒く染まり、右手に持った剣からは血が滴っていた。そして男の右目は、黒い眼帯で覆われており、その頭からは2本の耳が生えていた。


 ピチャッと、ルーカスの額から汗が落ちた。素早く、襲撃者の視線が水瓶の方向を捉える。


「あー、まさかなぁ?」


 コツコツと足音が更に近付いてくる。ルーカスは両手で口を抑え、今にも爆発しそうな自分の心臓を、どうにかして止めたいと思うほどに焦っていた。


「お頭ー!デリーが何人か森に逃がしたそうです!」


「あー?ったくデリーの野郎はよぉ!」


 踵を返し、早足に部屋の出口まで向かった後、男は部屋をくるりと見回した。ルーカスの隠れている水瓶の辺りを一瞥したあと、男はルーカスの家から出ていった。


「よーし、いいぞ。火をかけろ」



スリリングな描写表現はとても難しいですね。

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