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生体兵器は自重しない。  作者: 風来坊
王都編
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第7話

イクスさんがアップを始めたようです。

「おめえみてーなガキが冒険者とか迷惑なんだよ!」

「そうだそうだ、おめーみてえなガキが来るにゃあ10年早いぜ!ギャハハハハ!!」

「さっさとおうちに帰ってママにでも甘えた方がいいんじゃねーか?」


ギルドの奥で飲んでいたであろう冒険者が3人、酔いに任せてからんできた。

楽しく飲んでいればいいものを。

大体俺が一体何をした。

身分証明のためにカードを作りに来ただけなのに、とんだ言いがかりである。



((イクス、怒ってはダメですよ。確かに相手が悪いですが騒ぎを起こしてもしょうがありません。カードが出来るまでの辛抱です。))((わかってるよ、無視だ無視))

そうして酔っぱらいを無視する。


が、


「おーおー無視ってか?いい気になりやがって。先輩として新人は教育しなきゃなあ!」

戦士風のハゲが空瓶でいきなり殴りつけてきた。

危ないので横に避ける。


「避けてんじゃねーぞガキがぁ!」

いや、避けるだろ普通。


「俺たちが誰だか知ってんのか!?クラン『修羅の斧』だぞ?新人ごときがそんな態度でいいと思ってんのか?ああ?」

酔っぱらいの内、魔法使いらしきメガネ男がこんなことを言ってくる。


なんだよ修羅の斧って。知らねーよ。そもそもクランって何だよ。

「俺らを敵に回したらこの街じゃ冒険者としてやっていけねーぞ!?ヒャハハハハ!」


それに続いてシーフ風のタレ目男も、

「今のうちに謝った方がいいんじゃねーのかクソガキよぉ!」


何故か俺が謝る方向で話が進んでいる。むちゃくちゃだ。

これはさっきのは避けずに食らうべきだったか。

そうすれば正当防衛で・・・・・とそこまで考えているうちに、いつの間にかジークが俺たちの間に入ってきた。


「グルルルルルルル!」

((イクス下がってください。))

しかし酔っぱらいたちはジークを苛立たしげな目で見つめ、

「なんだこの犬はぁ?うぜーんだよ!!」

戦士風のハゲが問答無用でジークに蹴りを入れてきた!

とっさにジークも避けようとした。


が、ジークに蹴りが届くことはなかった。


何故なら・・・・・





バチィッ!!


「なっ、なんだこいつ!蹴りが跳ね返されたぞ!」

「どうなってやがる!」

届くはずがない。


俺が無詠唱で反射魔法「リフレクトシールド」を発動していたからだ。

これにはジークも驚いていた。


((いつの間に?全然気づかなかったです!))

((弟を守るのは兄貴の役目だって兄さんたちが言ってたからな。ジークは下がってろ。俺がやる。))

攻撃が跳ね返されたというのに、酔っぱらいたちは懲りていないようで更に興奮して叫んでいた。


「いったい何しやがったてめえ!」

「ぶっ殺してやる!」


自分たちから勝手に仕掛けてきておいて殺してやるとはこれ如何に。

ここまで来るとこいつらの無神経さに逆に拍手でも送りたくなるがそんなものは後回しだ。


「うるさいおっさんたちだな。こんなところで暴れれば他の人の迷惑だろうが。それこそママに教わらなかったのか?それとも教わったけれど覚えていられるほど脳みそに空きがないのか?」

「なんだとガキ!」

「馬鹿の一つ覚えみたいにガキガキ言うんじゃない、煩いよ。あ、馬鹿だから一つしか覚えてないのか。スマンスマン。馬鹿には分からないかもしれないが、そこに訓練施設があるだろう?そこでまとめて相手してやるよ馬鹿たち。」

俺の煽りに男たちは顔が真っ赤になっている。怒りのあまり酔いも醒めたようだ。

「後悔するんじゃねえぞガキが!」







そうして訓練施設へとやってきた。


結界が展開され内部で受けたダメージは魔力に変換され致命傷を受けた瞬間外部に排出される仕組みになっている。

なんでこんなことを知っているかというと、3000年前にも全く同じものがあったのである。

自分でも使っていたのでよく知っている。


しかし『修羅の斧』とか言ったか。


動きを観察してみるが、なんか全然大したことがない。

全員合わせても「侵略者」の歩兵級ポーンクラスの強さもなさそうだ。


だが俺が子供だと侮っているのか、それとも自分たちの人数の有利にほくそえんでいるのか、はたまたその両方か。

いずれにせよ下卑た笑いを浮かべていた。


「言い出したのはてめえだぁ。今なら土下座すれば許してやらんでもないぞ?ククク。」

「ご心配なく。お前らこそ土下座で許してもらえると思うなよ。さっさと始めよう。ギルドカードがそろそろできると思うんだよね。」

こめかみに青筋を浮かべた戦士風のはげが襲い掛かってきた。

「やっちまえ!」


メガネが魔法を詠唱し始める。

それに合わせてハゲとタレ目が襲い掛かってくる。

しかし俺は内心がっかりしていた。


(こいつら魔力も闘気も使わない。鈍すぎる、舐めてんのか!)


左右からハゲの斧とタレ目の短剣が迫ってくる。

俺は二人の間に一歩踏み込むとハゲとタレ目の手を武器を握っている手ごと掴んで握りつぶす!


二人はあまりの痛みにそのまま武器を取り落した。


「「ギャアアアアアアアアアアアア!!!」」


ハゲとタレ目の悲鳴が訓練場に響く。


「おいおい、片手が潰されただけだぞ。しかもまだ初めて1分もたってない。何を叫んでいるんだ、そんな暇があるなら空いた手で殴るなり俺の相棒にしたように蹴りを入れるなりすればいいだろう?」


だが俺の忠告は聞こえていないようで、「がああああああああ」とか「いてえええ、いてえよおおおお」などと言っており戦意喪失していたようだった。

が、俺は手を緩めない。


「うるさいから消えろ。」


そのままタレ目の顔面に蹴りを入れる。

タレ目は首と胴が離れ、そのまま光の粒子になって消えていった。


それを見ていたハゲが「ひぃ!」とか言っている。


「土下座しても許さないといったぞ?次はてめーの番だ、ハ☆ゲ。」


笑顔でそう言うとハゲの襟元をつかみ空中へ放り投げる。

そして追いかけるように俺も飛び上がると投げ飛ばしたハゲを追い越して右手でハゲの腹を殴りつける!

そのまま凄まじいスピードでハゲは落下していくと、「ドゴォォォォォォ!!!」という音とともに光になって消えていった。

ハゲを叩き落とした辺りには見事にクレーターが出来ていた。


「ようやく一分というところかな。ん?詠唱終わったなら撃って来いよ?」

一連の流れを詠唱を終えたのだろう、タイミングを計っていたメガネが驚愕していた。

メガネの上には細長い炎が浮いていた。

「ば、ばかな・・・・・ゲルドとギールがこうも容易く・・・・・このクソガキィィィィィ!」

叫びながら勢いに任せて魔法をぶつけてきた。


「俺のファイアランスを喰らってまともにたって居られたやつはないい!・・・って、え?」

俺はメガネの言う炎の槍を裏拳で弾き飛ばしていた。


「今のがファイアランスだと?本気で言っているのか?魔力濃度、魔法構成、どれをとっても甘すぎる。ただの細長いファイアボールじゃねーか。炎の槍ってのはこういうのを言うんだ。」


そうして俺は手を掲げると俺の頭上に炎の槍を生み出す。

それもメガネとは違って一本ではない、百本だ。

見た目も炎で様々な形をした槍を実体化していた。


「あ、ああ、あああああああ」

「これがファイアランスだ。ちなみに水魔法なら相殺できるぞ。がんばれ。」


手を振りおろして、メガネに向かって百本全てを撃ち放つ。


メガネは障壁で防ごうとしているようだったが詠唱すら間に合わず逃げる隙もないのでまともに喰らい、炎に包まれ粒子となって消えていった。


「水魔法なら相殺できると教えてやったのに。アホなのか?やれやれ。」


ふぅ、と、ため息をついたと同時に周りから歓声が沸き上がった。

何事だよ。


「うおおおおお、なんだあいつ!あんなの見たことねえぞ!」

「ゲルドたちをああも簡単に倒すなんて。あいつら全員Cランクだぞ?」

「あんなに同時に魔法を打つなんて初めて見たわ!!」

「一体何なんだあの少年は・・・・」

「あんなにカッコ可愛い上にめちゃくちゃ強いだなんて・・・・・お姉さん濡れちゃう!」


などと一部変な声も聞こえてきたが大騒ぎになっていた。


いつの間にやら大勢のギャラリーがいて口々に興奮した様子で喋っていた。


他の酒場にいた客だけではなくギルドの人間も多くいた。

受付のお姉さんは信じられないものを見たという感じで呆然としているようだった。

その空気になんとなくいたたまれなくなっていると、ジークがこちらに近寄ってきて一言、


((イクスやりすぎです。))

((・・・・・マジ?))

((マジです。))



俺は苦笑いをするしかなかった。

戦闘描写ほんとに難しい。

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