第3話
本日第3話。バトル描写なしですでに戦闘が終わっているという。どうしよう。
封印領域『パンドラ』から出て4時間ほど。
日は沈み、俺とジークは野営を組むことにした。
たき火を囲みながら狩りたてホヤホヤの肉を焼きながら休んでいた。
ジークは先に、焼けた肉に器用にかぶりつきながら無言で食べていた。
「いや~でかい森だよな。なんか魔物にも襲われるし。まあ、おかげで食事にありつけているけどさ。」
「ソウデスネ。コノマモノオイシイデスネ。」
食事など取らなくても兵器である俺たちには必要ないのだが、精神的なものに影響してくるのでいらないものでもないのだ。
しかし・・・・
「なんでカタコトなんだジーク。食事ってもっと楽しくするもんだぞ?」
「あなたの戦闘能力が凄まじいというのは知ってましたけどね。知識だけでは当てにならないってことがよくわかりましたよ。まさかキングボアを素手で、しかも一撃で倒してしまうなんて・・・。キングボアって私の知識ではあの当時の人間たちが装備を整えた上で5~6人の集団を組んで倒す相手ですよ?しかも私の出番ないですし・・・。」
『普通に』敵に近づいて『普通』に脳天に一撃入れただけ、しかも牽制のつもりだったんだけどな。
「そんなこと言われてもなあ。敵がたくさん来た時には頼むよジーク。」
ジークにフォローを入れつつ焼けた肉に塩をかけ、かぶりつく。
「しかし調味料なんて持ってたんですね。もしかしてストレージリングを?」
ストレージリングはその名の通り様々なものを閉まっておけるアイテムである。
持ち主の魔力に反応して収容量が変わり、内部の物は時間が流れない仕組みになっている。
「ああ、俺のストレージにはいろいろ入ってるよ。戦争当時は本拠地に戻る以外食事のとれる場所がなかったからさ。現地調達もかねて色々食べてたからなあ。調味料は大事だったんだよ。」
「なるほど。」
「それよりおかわりどうだ?まだあるからしっかり食べろよ。」
「頂きます!」
どうやらジークは犬らしく肉が好物らしい。
焼けた肉をジークに渡してやると尻尾を振りながらかぶりついていた。
食事を終え、残ったキングボアの肉をストレージにしまうと、俺とジークは明日の行動について話し合っていた。
「さて、明日の予定だけど。」
「それなのですが私に提案があるのですが。ここから南に40キロほどの所にヒトの匂いがします。町か村かあるかもしれません。行ってみませんか?」
「おおー、ジークそんな距離の匂いとかわかるんだ。流石犬型!やるなあ!」
「ふふふ、本気でやれば100キロは行けますよ?」
ジークはフン、と鼻息荒くドヤ顔だ。
食事で一気に打ち解けられた気がするな。
「んじゃ、明日は南のほうに行ってみるか。この時代の人たちはどんな生活してるんだろうなあ。楽しみだな!・・・・・ところでさ、ジーク。」
「何ですかイクス。」
「明日他の人に会っても喋るなよ?」
するとドヤ顔だったジークの顔は信じられないものでも見たような顔になり目を見開き、
「なん・・・・ですって・・・・・」
と、つぶやいていた。
「な、なぜですか!私ほどおとなしくて理知的で物わかりの良い犬型の生体兵器はそうそういませんよ!?」
「それはだな、ジーク。・・・・・・普通犬は喋らないんだ。」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「マジですか?」
「マジだ。」
そしてジークはふらっと倒れてそのままショックで気絶してしまった。
博士・・・・・なぜジークに犬は喋らないことを教えておかなかったんだ・・・・!
そんなジークを見つめつつ俺もそのまま休むためたき火を消すと、ストレージから毛布を取り出しかぶるとそのまま眠りについた。
ジーク先生、倒れる。