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生体兵器は自重しない。  作者: 風来坊
王都編
3/43

第2話

本日投稿2話目です。

文章の長さが違います。細かいことは気にしないでねw

「俺のことを知ってるのか?」

「はい。私はアダム博士に作られた犬型生体兵器、『D-No.0』と申します。あなた様の封印解除と共に起動するよう設定されておりました。」

「しかし生体兵器を作ることは評議会が禁止しただろう?よく大丈夫だったな。」

「はい。しかし博士は「ばれなきゃ犯罪じゃないんだよ?ばれなきゃいいんだよばれなきゃ。」と、おっしゃっておりました。創造主とはいえ正直それはどうなのだろうと思いましたが。」

「あー・・・・・うん。分かるぞ、その気持ち。しかしあの人は相変わらずだったんだな・・・。」

自分の生みの親のドヤ顔が目に浮かぶようで少しイラッと来たが話を続けることにする。

「そういえばお前・・・・・その制式ナンバーではなくて、名前はないのか?記号で名前を呼ぶのは呼び難くてしょうがないんだけど。」

「博士からはあなた様に名前を付けてもらうようにと。」

「まじか。」

「まじです。」


困ったぞ。

何かに名前を付けるなんて初めてだしな。

しかも犬型とはいえ俺と同じ生体兵器、いわば兄弟だ。


俺は悩みに悩んだ末、

「よし、お前は今日からジークだ。よろしくなジーク。」

「分かりましたイクス様。私はたった今からジークです。よろしくお願いいたします。」

「あと様付けもいらないよ。呼び捨てで構わない。同じ父親から生まれた兄弟だろ?だったらお前は俺の弟のようなもんだ。わかったな。」

「しかしそれでは・・・・・」

「いいから。二度は言わないぞ、ジーク。」

「・・・・・分かりました。よろしくお願いしますイクス。」

「よし!」


そうしてジークを撫でてやる。心なしかジークも嬉しそうだ。

尻尾がすごい勢いで揺れている。

しかしこのままジークのモフモフを楽しみ続けるわけにもいかない。


「さて、ジークにはいろいろ聞きたいことがある。まずここはどこだい?」

撫でられ続けて気持ち良かったのかジークはボーっとしてしまっている。

「ジーク?」

「・・・・・・・・はっ!も、申し訳ありません。ここは封印術式が施された領域『パンドラ』です。」

「ジークがここに設定されたのはいつだい?」

「イクスが封印されて30年ほど後でしょうか。博士から「たった一人残されてしまう息子と一緒にいてほしい。」と。イクスの事は博士からいろいろ聞いています。「取りあえず力任せで何とかしようとするところがあるからフォローしてほしい。」とも。」

「ほっほーう。俺や姉さんたちに世話されなきゃまともに生活もできないような奴が言うようになったな・・・・・」

「まあまあ、落ち着いて下さいイクス。」

やはりいい笑顔で「ハハッ!」と笑う博士の顔が頭に浮かび、イラッと来るがジークに窘められる。


「あれから何年程経っているかわかるか?」

「私は休眠状態で居ましたからね。少し待ってください。・・・・・・私の記録では休止状態から2952年ほど経過していますから、約3000年ほどですね。」

「3000年か。意外と早く封印が解けたんだな。1億年位かと思ってたけど。」

「まあイクスの能力を抑えておくのはすさまじい労力が必要ですからね。封印が解けたのも必然なのでは?」

「確かになあ。それにここの施設・・・パンドラだっけ?なんでこんなに荒れてるんだ?自分で言うのもなんだけどこれ俺を監視するための施設だろ?なんでこんなことになってるんだ。」

「それについては推測ですがある程度説明ができるかと。」

「まじで?」

「まじです。」

先ほどと同じやり取りに苦笑しつつ、ジークは説明を始めた。


「イクス、あなたが封印されてから30年ほどでしょうか。統一国家内で派閥争いがおきまして。侵略戦争で傷ついた世界を修復するのに皆一生懸命でした。そのおかげか急速に復興していったのです。しかし人間というのは余裕ができてくれば欲が出てくるものなんでしょうね。戦争であれほど一枚岩だった統一国家内での地位や利権等に絡んで次第に対立が生まれるようになったのです。人種の問題もありましたしね、それでも国家としての形はまだ保たれていたのです。決定的なきっかけになったのはある派閥が敵対派閥に対して暗殺を仕掛けたのです。そこからはもう泥沼です。誰もが周りを信じられなくなり、派閥同士の争いが戦争になるまではさして時間もかかりませんでした。」

「俺や兄さん姉さん、そして博士が闘ってきた結果がそれか・・・・・悲しいものがあるなあ。それが原因で施設は放置。封印の管理もされることもなく・・・か。俺の封印解除も必然だったって事か。」

「その通りです。博士やイクスのご兄弟は戦争に利用されることを恐れ派閥同士のゴタゴタに巻き込まれる前に隠遁したそうです。私はそのころ作られ、知識として博士に教えていただきました。」

「そうか・・・・・。じゃあジークは博士や兄さん姉さんたちがどうなったか知らないんだな。」

「はい。少なくとも博士は私を作られたときは74歳でしたからね。3000年も経過している今となっては恐らく生きていらっしゃらないでしょう。冷凍睡眠技術は当時確立していませんでしたし。クローンを作って今も生きているという線も考えられます。が、イクスも知っているとは思いますが博士は人としての誇りをもって生きていらした方です。自然ではない生き方はされていないでしょう。ご兄弟は我々と同じ生体兵器です。どこかで生きていらっしゃるかもしれませんね。」

「そうだな。イヴ博士の件もあるし、多分骨すら残ってない気もするけど。さて、『パンドラ』から出られたことだし、ジークからの話も聞けたし。ここにもう用はないかな。取りあえずここから出て人を探してみようと思うんだけど。一緒に来るか?」

「元々そのつもりですよ。私はそのために作られたのですよ?それにあなたといるのは楽しそうですし、こちらからお願いします。どうか一緒に行かせて下さい。」

「分かった。これからよろしく頼むよ相棒!」

「ええ任せてください!」


こうして一人と一匹はパンドラから旅立っていった。

ジークは能力にいろいろ秘密があります(予定)そして解説&ストッパー役です。

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