第12話
24時間テレビ見ながら書いてます。関ジャニエイトって面白いですよね。
「朝か・・・ベッドで寝たのは久々だなあ。」
「おはようございますイクス。」
「おっす。」
結論から言うと俺達は喰い倒した。
ガラガラ鳥の串焼きは尋常ではない美味しさだった。
親父さんの腕もいいのだろうが、肉自体も美味しいのだろう。
肉は親父さんの知り合いが育てているそうで、市場を通さずに直接仕入れているそうだ。
市場では高級とまではいかないがそこそこ高いそうで、貴族などの富裕層の食卓に
も並ぶそうだ。
俺とジークは銅貨15枚分と頼んだのだがどう考えても値段以上の量だった。
親父さんは太っ腹だった。俺達は遠慮なく食べまくった。
その味と量に満足し、俺達はそのまま部屋に戻り眠りについた。
「さて、王都での本格的な活動だぞ。がんばっていこうぜ。」
「任せてください。ここまでイクスが目立ちすぎてますが私も頑張りますから!」
「ああ、頼りにしてるぜ相棒!」
そう言うと俺達は右手と右前脚を軽く合わせた。
食堂に降りていくとおかみさんが朝食の支度をしていた。
「おかみさんおはようございます。」
「あらおはよう。昨日は良い食べっぷりだったわね。今日から冒険者ギルドで依頼を受けるんだったわね。しっかり朝ごはん食べていきなさい。」
「はい、ありがとうございます。」
朝食はサンドウィッチとスープだった。ジークにも同じ物をもらった。
しかしここまで良くしてもらったら何かしなければ。
いろいろ考えた末、あるものを渡すことにした。
「おかみさんちょっといいですか?」
「ん、どうしたんだい。」
「宿代・・・というわけじゃないんだけどこれを。」
そう言って俺はキングボアの肉を目算で50kgほど出して渡した。テーブルの上にドン!っという音とともに肉が置かれる。
「・・・・この肉もしかしてキングボアかい!?」
肉に驚いたおかみさんは、「ちょっとあんたー!」と、おかみさんは親父さんを呼び出した。
「おう、どうした。っておう坊主おはよう、昨日は良い喰いっぷりだったな!あれぐらい食べてくれる方が料理を作る身としては嬉しいもんだぜ。」
「親父さんおはようございます。」
「あんたは何呑気にあいさつしてるんだい!?それよりこれ見てよ!」
「おう、ってこりゃあキングボアの肉じゃねーか!高級食材がしかもこんなにたくさん、一体どうしたんだ。」
「この子がくれたんだよ!なんでも宿代替わりだって・・・・・って、あ!あんたこれどっから出したんだい?まさかアイテムボックスを持ってるのかい?」
「アイテムボックス?何ですかそれは。俺が持ってるのはこれですよ。ストレージリングっていうものです。」
そう言って俺は腕に付けているリングを見せる。
「それがアイテムボックスって言うんだよ!その歳でそんなもの持ってるなんて、あんた元貴族か何かかい?」
「いえ、貴族ではないです。これそんなに珍しいんですか?」
「珍しいなんてもんじゃないよ!わたしゃ初めてみたよ!」
「俺も初めて見たなあ。」
ストレージリング自体は珍しいものではないと思っていたんだけど。
3000年前では「侵略者」相手には必須の装備だったんだぞ。
大量生産もされていたし。
でもよくよく考えればこれが普及してれば運搬用の荷馬車なんて必要ないよな。
因みに俺のストレージリングの中には未登録のストレージリングがまだたくさん入っている。
これ売れば一財産築けるのだろうが、余計なことにも巻き込まれそうな予感がある。
そっとしておこう。
「まあこれに関しては珍しいんですね。」
「それを狙って襲ってくるやつがいるかもしれないから気を付けるんだよ?」
「おう、人前でやたらと使うんじゃないぞ?」
「・・・・・善処します。」
襲われたところで逆にぶちのめすし、そもそも俺用に登録してあるものが他人に使えるわけがない。
「そう言うわけで、その肉を宿代替わりにできませんか?」
「アイテムボックスが衝撃的過ぎて忘れてたがキングボアの肉も衝撃だぞ。これ1kg金貨5枚くらいするぞ?見た感じ5~60kgはあるな。金貨250枚から300枚くらいの価値がある。これがあるのに何でお金がないんだ!?」
「そんなこと言われても困りますよ。・・・・・そもそも自分で食べようと思ってたので。ジークが肉好きなのでこいつ用のご飯にもなりますし。」
「まあこれなら宿代の代わりどころじゃねーや、2年位はウチに泊まれるぞ。今日から泊まるなら部屋もそのままにしておいてやるがどうする?」
「ぜひお願いします!お金じゃなくて申し訳ないと思ってましたけど。」
「今日の夕飯にはこれを料理して出してやるよ。ジークって言ったな。お前にもやるから楽しみにしてな!」
「ワン!」
「ところでこれどうやって手に入れたんだ?キングボアって言えばBランク魔物だろう。」
「ああ、それはですね。森の中を歩いてたらこいつが襲ってきまして。で、襲われたので戦いまして。こいつの攻撃を避けた瞬間にこう。」
殴る真似を見せる。
「そしたら運よく倒せまして。ははは。」
「ほー、そう言うこともあるんだなあ。」
「そうねえ、打ち所が悪かったのかしらねえ。運がよかったわねホント!」
これで納得してくれるんだ、この人達めちゃくちゃいい人だな!
「そろそろ出ます。また夕飯時には戻りますね。」
「おう行って来い。昼間に腹が減ったら屋台に来いよ。飯食わせてやるから。」
「怪我しないように気を付けるんだよ?」
親父さんが笑顔で答えてくれる。
おかみさんが心配してくれる。
俺は温かいものを感じながら、
「行ってきます!」
そう言うと、ジークと共に夕暮れ亭を出るのだった。
いよいよ王都での活動を本格的にして行きます。そろそろヒロインも視野に入れないとですね。