第9話
エルレインさん。エルフです。実はある仕事を兼任しているのですがその話はまた後で出そうと思います。
「俄かには信じられないけれど・・・・・いやしかしその強さや魔法の説明が・・・・・。本当の本当に君たちは生体兵器なのかしら?」
「ホントにホントにホントにホントに俺たちは生体兵器です。近くで見ても兵器には見えないかもしれないですけど。因みにギルドカード作るのに15歳って書きましたけど実年齢これでも3歳ですからね。」
「若いってレベルじゃないわねそれ!しかしアダムだのイグニスだのルナだのと、創世教の教義に出てくる神ばかりじゃないの!」
「創世教?」
「ああ、そう言う宗教があってね、創世神アダムとその従神である6柱を崇め奉る宗教よ。」
3000年たったら、兄と姉と生みの親が神様になってるとか意味が解らない。
皆、自分たちが神様になってるって知ったらすごい微妙な顔するんだろうな。
「そんな宗教があるんですか!?何ですかそれはカルト集団ですかそうですか。それなら潰さないと。なあジーク。湖の所で話した俺の全力見せてやるよ。」
「全くです。私も私の全力をお見せしましょう。さっさと根絶やしにした方が世のため人のため創造主様やご兄弟の方のためです。早速行きますか。」
「ちょ、待ちなさい!伝説として残る6柱並みの力を使われたら世界が滅ぶので止めて下さいよ!それに創世教はそう言う怪しい宗教ではない。世界中に信者がいて愛されている、親しみ深いものなのだ。私も信者だしな。ここシルヴェリア王国では国教ですよ?」
「マジで!?」
「マジなんですか!?」
「大マジだ。」
なんてこった。
俺とジークは目覚めてから一番の出来ごとにショックを隠せないでいた。
「ちょっと待ってね?ということは貴方たちは創世神アダム様の子ということになるのよね。拝んでもいいかしら?そして私に「エルレインさんゑ」って書いたサインくれないかしら。」
エルレインさんが真面目な顔をしてそんなことを言ってくる。
それでいいのかギルドマスター。
「アホですかあんたは。後、拝まないでください。俺もジークも封印解けたばかりだし、いろいろ人生を楽しみたいんですからそう言うの止めて下さい。真実は事実よりも~って言うでしょう?兄さんたちも博士も普通ですよ。多分。」
「その多分、って部分がすごく気になるけど・・・まあいいわ。また話を聞かせて頂戴。宗教の教義はともかく、君達のいた時代の資料というものが何故かほとんど見つからないのよね。君達は文字通りの生き証人だから、是非とも話を聞きたいわ。さて、話はこれくらいよ。リーフィアからカードは貰って頂戴な。イクス君、君なら特例でランクを上げても構わないけど、どうする?」
「またお茶出してもらえるなら構わないですよ。ランクに関しては結構です。ランク高い方がいろいろ都合はいいんだろうけど、ズルはよくないし。地道にランクは上げていきますから。」
「ははは、そう。君ならばすぐランクも上がるでしょう。まあしばらくは注目の的だと思うが我慢してね。」
「それに関してはもう諦めました。」
そうして俺たちは執務室を後にした。
受付に戻るとリーフィアさんがこちらに気付き、カードを持ってきてくれた。
「はいどうぞ、イクス様。・・・・・しかしお強いんですね。びっくりしちゃいました。あんな魔法も見たことないですし。」
「あの位、(文字通り)死ぬほど訓練すれば誰でもできますよ。それより様付けは止めてください。なんか落ち着かないです。」
「ふふふ、わかったわイクス君。あなたもその妙な丁寧語で喋らなくてもいいわよ?」
「ほんと?よかった~。これからよろしくね、リーフィアさん!」
「ええ、こちらこそよろしくね、イクス君。」
「取りあえず身分証明のカード借りっぱなしだからまた後で来るよ、じゃあね!」
そう言って俺たちはギルドを後にした。
最初入った門のところまで戻った。
しかしクルーズさんの姿は見当たらない。
近くに若い衛兵がいたので尋ねてみた。
「すみません、ちょっとお尋ねしたいのですが?」
「おう、どうした少年。」
「クルーズさん等言う方を探しているのですが・・・。」
「ああ、隊長か。隊長は夜勤だったからな。今日はもう帰られてしまったよ。明日は非番だからそのまま休むとも言っていたからな。急な用事かい?」
「いえ、実は・・・」
事情を話すと「俺が預かっておくよ。次の引継ぎの時に会うからな。」と言っていたのでお願いした。
再びギルドに戻ると、ハゲ達との決闘を見ていた他の冒険者たちに囲まれてしまった。
「君すごいな、あの動きは一体どうやったんだい?」
「あの魔法は本当に炎の槍なのかい?あれほどの同時発動は見たことがないよ!私にもぜひ教えてもらえないかい?」
「私たちとパーティー組まない?貴方強いし頼りになりそうだわ。」
「もう我慢できないわ、お持ち帰りしていいかしら?」
やはり一部変な声が聞こえるが、取りあえず、
「俺は今のところパーティーを組むつもりはありませんよ。俺の体術と魔法に関しては(やっぱり文字通りの)死ぬほどの特訓と実戦をすれば誰でもできます。後お持ち帰りは止めて下さい、それでは。」
すらすらっと答えると俺とジークは受付に向かった。
「さっき振りですリーフィアさん。」
「さっき振りねイクス君、早速囲まれちゃったわね。私もいろいろ聞きたいのだけど、仕事中だしね。」
「所で何か簡単な仕事ないですか?今日はもう郊外で野宿でもして明日から本格的に動こうと思うんだけど、お金は無いからご飯代位は稼ぎたいんだけど・・・。」
ストレージにはキングボアの肉がまだある。3000年前の他の料理も。でも他の物も食べたいというのが正直なところであり、ジークも頭の中はお肉100%しかも半数以上がガラガラ鳥の串焼きの事だろう。俺も食べてみたいし。
「野宿って・・・・・イクス君見た目と違って結構自由なのね。うーん、ちょっと待ってね。・・・・・これなんかどうかしら。」
そう言ってリーフィアさんが出してくれた依頼書は
依頼ランク:E
依頼者:シルヴァーン孤児院
依頼内容:子守、雑用など
依頼期間:いつでも
報酬:1時間銅貨3枚
と、あった。
「孤児院からはいつ来てもらってもいいと言われているわ。ただ、報酬が少ないので受ける冒険者がほとんどいないのだけど。」
そう言われて俺は考えた。
お金の価値が全くわからん。
全くわからんが確かさっきのガラガラ鳥の串焼きは一本銅貨1枚だったな。
つまり・・・・・
((ジーク))
((なんですか))
((この依頼を受けることで俺達は串焼きが3本は買える。今日はもう遅いしこれでもいいか?))
((串焼き買えるんですか!受けましょう!))
俺達は依頼を受けると孤児院の地図をもらい、その場所に向かうのだった。
銅貨は1枚100円程度です。某コンビニで売っているビック唐揚げ棒より一回りほど大きいのがガラガラ鳥の串焼きです。