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赤い瞳で悪魔は笑う(仮題)  作者: tei
ep1.病院と兄妹
8/61

1-7

 ぴちゃん、ぴちゃんと。

 バスルームには水が滴っていて。その両端には、お父さんとお母さんの死体があって。その中央には。

 兄がいた。

 兄が。包丁を持って。

 放心したように、立ち尽くしていた。

「――――×××」

 兄は、私の名を呼んで。

 そして、私に近づいてきた。

 私は、動けずに。

 動けずに、そこに、立っていて。

 兄は。

 兄は――――

 そして、全てが闇に飲まれていった。



 雨が降っている。

 俺は一人で、学校からの道を、歩いている。傘を忘れてきたので、仕方なくずぶ濡れで。

 ぴちゃん、ぴちゃんと。

 雨の滴が道にはじけ、そのたびに音を立てる。

 ――――。

 突然、水音が止んだ。頭上には傘があって。隣には、妹がいた。

 お兄ちゃん、傘持ってかなくちゃ、駄目じゃない。

 高すぎず低すぎず。その澄んだ声が、耳元で響く。

 悪いな、×××。

 何故か、妹の名前は聞こえなかった。

 夢……なのだろうか。

 俺は思う。

 もしこれが夢だとしても、俺は今、幸せなんだろう、と。

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