第12話『封印ノ記憶』
第一章:夢の底に沈む声
夜。
金猫は炎の跡地で眠りに落ちた。
その夢の中、幼い頃の自分が小さな籠の中に座っていた。
首には鈴、そして猫の耳のような飾り。
> 『……泣かないで。君は“半分”なんだ。』
『もう半分は、外の世界で“見守る”ことになったから。』
声の主は、自分と瓜二つの少女。
彼女の瞳は淡い銀。
微笑みながら、金猫の髪に触れる。
> 『いつか、私の記憶を思い出した時……君は本当の意味で“修羅”になる。』
光が差し込み、幼い二人の姿が重なっていく。
目を開けると、金猫の頬を一筋の涙が伝っていた。
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第二章:修羅院の真実
夜明け。
崩れた本堂の奥に残された書板を見つけた鋼牙。
そこには古い文字でこう刻まれていた。
> 《修羅ノ血ハ 二ツニ分カタレル》
《一ハ人トナリ 世ヲ歩ム》
《一ハ猫トナリ 魂ヲ護ル》
金猫は手を震わせながら読み上げる。
> 「私……本当に、二つの魂だったんだ……。」
鋼牙が静かに頷く。
> 「住職はそれを知っていた。だから“封印”じゃなく、“共存”を選んだんだ。」
だが、その封印は完全ではなかった。
“外の者”が、封印の力を狙い、二つの魂の均衡を崩した――
それが、仮面の少女の正体だった。
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第三章:仮面の少女の記憶
その時、金猫の中から柔らかな声が響く。
> 『……くんみょう。私、思い出したの。』
光の中に、仮面の少女――“もう一人の金猫”の姿が現れる。
だが今は敵意ではなく、穏やかな笑みを浮かべていた。
> 「私は、君の中にいた“猫”の方。
封印を通して、君を守るはずだった。」
「でも、外の力が私を引き裂いたの。
“封印の鈴”が壊れたとき、ようやく声が届いた。」
金猫は涙をこらえながら問いかける。
> 「じゃあ、あの戦いは……?」
「封印を戻すため。君を“真の修羅”にするための試練だった。」
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第四章:封印の記憶
二人の意識がひとつになる。
景色が変わり、修羅院がまだ静かに栄えていた時代の幻影が浮かぶ。
幼い金猫を抱く住職と、彼の隣に立つ銀髪の女性。
> 『この子たちは、“金猫”というひとつの魂。』
『だが、あまりにも強すぎる。二つに分けねば、世界が持たぬ。』
女性が微笑み、鈴を手に取る。
> 『この鈴が“橋”となり、二つの命を繋ぐ。いつか再び一つになれる日まで――』
幻が消え、金猫は膝をつく。
> 「……私は、生まれた時から“分かたれた存在”だったんだね。」
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エピローグ:一つの願い
朝焼けの中、金猫は壊れた鈴の破片を両手に包む。
それはもう音を出さない。
だが、その中心には微かな光が宿っていた。
> 「私、もう逃げない。
“猫”の私も、“人”の私も、同じ願いを持ってる。」
> 『――守りたい。大切な人たちを。』
風が吹き、金の髪が揺れる。
金猫の瞳は再び金と銀の二色に輝き、
封印の鈴が静かに“再生”を始めた。
> 「さあ、行こう。“修羅の運命”の先へ。」




