表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

第11話『修羅ノ血、覚醒ス』



第一章:燃える修羅院


夜の山に、炎が踊る。

修羅院は崩れ落ち、結界の破片が空を舞っていた。

金猫は、倒れた兄弟子たちを庇いながら立ち尽くす。


> 「……お父様、兄さん達……もう、誰も傷つけさせない。」




瓦礫の向こうから現れる仮面の少女。

その背後に、黒い霧が蠢いている。

“第三の存在”――それは修羅院が恐れていた“封印の破壊者”。


> 「ようやく完全に覚醒したのね、金猫。

 あなたの中の“もう一人”が、鍵を開けた。」





---


第二章:もう一人の声


金猫の胸の奥で、声が響く。


> 『……わたしは、おまえの中の猫。

 修羅の血を継ぐもの。封印の先に生きる存在。』




金猫の身体から金色の光が溢れ、髪が宙を舞う。

その瞳は“金と紅”の二色に輝き、背後に光の尾が現れる。


> 「……これが、私の本当の姿?」

『いいえ、まだ半分。修羅の血が完全に流れ出す前に、選ばなくてはならない。』





---


第三章:封印を狙う者


仮面の少女が一歩進む。

その声は、どこか懐かしい。


> 「あなたの封印は、私の自由を奪った。

 だから取り戻す。“猫”の力を。」




空気が裂け、周囲に禍々しい印が刻まれていく。

それは修羅院に伝わる禁術「魂喰たまぐい」の印。


鋼牙が叫ぶ。


> 「金猫、下がれ! 奴はお前の“影”だ!」




しかし金猫は前に出る。


> 「……逃げない。もう、自分を閉じ込めたままではいられない。」





---


第四章:覚醒


鈴の破片が宙に舞い上がり、金猫の身体を包む。

光が弾け、制服が裂け、金糸の羽織が現れる。

その姿はまるで――修羅の化身。


> 『修羅の血よ、我が名に応えよ――金猫。』




金猫が両手を合わせると、炎が金色に変わり、仮面の少女の術式を飲み込んでいく。

周囲に“封印の紋”が浮かび、少女が苦悶の声を上げた。


> 「……これが、あなたの選んだ“修羅”なのね。」




金猫の声が響く。


> 「いいえ。これは“守るための修羅”です。」




金色の光が爆ぜ、少女の仮面が砕ける。

そこに現れた顔は――かつて金猫が夢で見た“自分と同じ顔”だった。



---


エピローグ


炎が消え、静寂が戻る修羅院の跡地。

金猫は瓦礫の中に立ち尽くす。

その首には、壊れた鈴の代わりに金の糸が巻かれていた。


> 「お父様……これで良かったのかな。」




風が吹き、かすかな声が届く。


> 『修羅とは、戦うためにあるのではない。

 愛するものを守るために、立ち上がる者の名だ。』




金猫は目を閉じ、微笑んだ。


> 「……はい、“お父様”。」




月明かりが照らす中、

金猫の金色の髪が風に揺れ――その背後で、鈴の音が再び小さく鳴った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ