表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/16

第10話『修羅の寺に還る影』



第一章:呼び戻された者


金猫の首輪が壊れた翌日。

鋼牙のスマホに一通の古い暗号文が届く。


> 【修羅院へ戻れ 封印が綻びた】




金猫は迷いながらも、その言葉に導かれるように山へ向かった。

霧に包まれた山道。

幼い頃、何度も駆けた石段。

だが、懐かしいはずの景色はどこか歪んで見える。


> 「……お父様、本当にここに?」

「ああ。だが気をつけろ、もう“あの寺”は昔のままじゃない。」




境内に辿り着いた二人の前で、風鈴がひとつ鳴った。

それは封印の鈴と同じ音色だった。



---


第二章:お父様との再会


本堂の奥にいたのは、白い僧衣をまとった住職。

かつて「お父様」と呼んで慕った人物。

しかしその瞳には、かすかな疲れと覚悟の色が宿っていた。


> 「金猫……その鈴を外してしまったのか。」

「外れたの……自分でもどうすればよいか……」

「そうか。ならば“もう一人”が目覚めたのだな。」




住職は静かに語り始める。

金猫がこの寺に預けられた夜――

籠の中にいたのは“赤子”ではなく、“二つの魂を宿した子”だった。


> 「お前の中には、“猫”と“人”の魂が共存している。」

「封印の鈴は、その二つを繋ぎ留めるためのくさびだったのだ。」





---


第三章:兄弟子たちの真意


修羅院の奥から現れる、かつての兄弟子たち。

彼らはそれぞれ異なる修羅法しゅらほうを極めた者たちで、

金猫を“封印の継承者”として守ってきた。


> 「俺たちは、お前を守るために修羅となった。」

「けれど今、その封印を狙う“外の存在”が動き始めている。」




金猫の目が見開く。


> 「第三の存在……?」

「そう。“観察者”でも“封印者”でもない――“呼び覚ます者”。」





---


第四章:崩れゆく寺


その瞬間、寺全体が震動し、結界が破れる音が響く。

外の空気が黒く濁り、修羅院の門が爆ぜ飛ぶ。

空に現れた黒い霧の中、仮面の少女が姿を見せた。


> 「やはり、ここが始まりの場所……。」




住職が立ち上がり、金猫に目を向ける。


> 「逃げなさい、金猫! “本当の修羅”を知る前に!」




だが、金猫の胸で――

砕けた鈴の破片が光を放ち、もう一つの声が囁く。


> 『……もう、逃げられないよ。だって私たちはひとつだから。』





---


エピローグ


修羅院を包む炎の中で、金猫の瞳が再び金色に光る。

その瞳の奥には、

“猫”と“人”が共に映っていた。


> 「お父様……私、思い出した。

 修羅院は、“封印するための寺”じゃない……“目覚めさせるための場所”なんだね。」




住職が微笑む。


> 「ようやく、その意味に気づいたか。……金猫。」




炎の中で、再び鈴の音が響く――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ