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プロローグ案:山寺に託された子



山深く、霧の絶えぬ谷あいに、一つの古寺があった。

その寺は「修めの寺」と呼ばれ、古くから武の鍛錬の場として知られていた。

夜明け前、まだ鐘の音も鳴らぬ静寂の中――寺の門前に、一つの籠が置かれていた。


かすかに赤子の泣き声。

籠の中には、手編みの長いマフラーと、小さなリストバンド。

そして、猫のような首輪。

柔らかな布団の下には、ずっしりとした金塊が隠されていた。


端に挟まれた紙には、震える筆跡でこう書かれていた。


> 「この子をどうかよろしくお願いいたします。

私どもと共にあっては、この子の命まで危ういのです。

この子は“普通の子”として、幸せに暮らしてほしいのです。

この金塊を養育費として……誠に勝手ながら。」




朝霧の中、住職は長い間その手紙を見つめていた。

やがて、深く息を吐き、静かに呟く。


> 「……この寺に預けた、となると――そういうことなのじゃろうな。」

「この子が、独りでも生きていけるようにしてやらねば……。」




霧が鐘楼を包み、一本の鈴の音が山に響く。

それはまるで、運命の胎動を告げるように――。


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