七夕散々
年イチのロマンティックナイト・・・。
7月7日。
今宵は年に一度の再会の日である。
しかし牽牛の表情は冴えない。
晴天の夜空に天の川が煌めく。
従者に促され牽牛は、渋々牛舟に乗った。
星の煌めきの中を牛舟はゆっくりと渡りゆく。
溜息しかでない、何故あんな過ちを犯したのか。
青天の霹靂・・・それとも魔がさしたのか・・・。
それでもと牽牛は思う、幾千と続くこの輪廻永劫1年に1度しか会えない呪縛、そりゃ寂しい日もあるさ、一度くらいの過ちだとてあるだろう・・・。
彼は織姫の姿を思い浮かべ、妄想で語りかけた。
何も言わぬ姫。
・・・・・・。
もうすぐ会えるのに、何故、怯えている。
言わなきゃバレないだろ?
それでいいのか?男として?人として・・・幾星霜同じ星として紡いできた番の星への背信行為・・・揺れ動く牽牛の心。
織姫星への桟橋が見えた。
どうするか?答えが見いだせないまま牽牛は、簾をあける。
いつものように織姫が桟橋に立っている。
笑顔で・・・。
・・・か?
氷のような微笑を浮かべ左手にはスマホを掲げていた。
地球と同じく宇宙も文化は変わる。
視力7.0の牽牛はじっと目を凝らし、ラエンのメールを見た。
「あいつ!」
一度の過ちを犯した女が、織姫にリベンジメールを送り付けていたのだった。
彼は冷水をかけられた気がした。
姫はスマホをその場に投げ捨てると、マグナム銃を取り出し両手で構える。
狙いを愛する男へと定めて。
「待てっ!話せば分かるっ!」
ばきゅーん!
銃声が天の川の隅々まで轟いた。
なんか、ごめんなさい(汗)。