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河童大戦

 筑後川温泉に伝わる河童伝説を・・・。


むかしむかし筑後川あるところに河童が住んでいた。

長いこと筑後川の一部を治め、勢力を維持し続けている一家と、その近くに新興勢力である荒くれ者の九千坊が長をしている一家があった。

次第に両者の緊張が高まり一触即発の様子を見せはじめた頃、女河童の洪鉾(ポンポコ)が古い勢力の頭領となった。

男勝りな彼女は瞬く間に、一家の女性頭領を良しとしない者たちを力でねじ伏せ、洪鉾一家を盤石のものとした。

川の権益を巡り、難癖をつけ、隙あらば領地を拡大しようと目論む九千坊一家は、傍若無人なりふり構わずにある日を境に、洪鉾一家の縄張りにゴロツキ河童どもを放ち、侵攻した。

洪鉾自ら先陣をきり、ゴロツキ河童をボコボコにして、ひとまとめに縄で括りつけ九千坊の元へ送り返した。

ついに、筑後川の両縄張りを跨いで、河童大戦が勃発した。

川の中での戦闘そして陸でも、血で血を洗う抗争が数カ月と続いた。

元より、地の利を活かし、戦いを優勢に進めていた洪鉾一家だったが、ありとあらゆる汚い手を使う千年坊一家のやり口に、戦意がなくなる河童たちが続出した。

先日も川むこうで、千年坊たちは洪鉾一家の人質を見せしめに、棒で叩きのめしたり、若い女河童に酷いことをしでかした。

もとよりのどかな生活を好む洪鉾一家の河童たちは疲れ果て、挙句の果てには降伏も止む無しという者まで現れた。

洪鉾は決心した。

九千坊と刺し違えてやろうと、己一人ならやれるという確信があった。

夜陰に紛れ、里をひとり飛び出した洪鉾は、川を泳いで渡り、敵の見張りの河童を殴り倒しながら、九千坊のアジト近くまで辿り着いた。

目の前の崖を登れば、にっくき九千坊がいる。

洪鉾は拳を固め、機会を伺う。

来たっ!

崖の上に立つ、一際大きな河童、目印である額に傷、間違いないそいつが九千坊だと洪鉾は確信する。

ふあ~と欠伸をしながら胸をぼりぼりかいている。

完全に油断している。

やれる。

彼女は確信し、身を屈め飛び出す準備をする。

しかし・・・。

!!!

見上げた先に放物線を描く水しぶき。

九千坊が放尿をしているのであった。

それはいい・・・彼女はそう思った・・・肝心なのは、雫の出先だった。

信じられないくらい、でかい、でかい、それ、アレ、洪鉾一家の男達には持ち合わせていないソレ、彼女はそれを見て一瞬にして固まってしまった。

そして洪鉾は自分が女性であることに、はじめて気づいてしまった。

身を翻し、里へと全速力で駆けだす洪鉾。

ヤバい、ヤバい、ヤバいよ~。

頭の中は、九千坊でいっぱいとなってしまう、乙女洪鉾、女への覚醒であった。

のち、両一家は話し合いにより、和解の道へと進む。

洪鉾が九千坊へと嫁入りすることで、両家がひとつとなり、河童の世界に安寧と平和をもたらすことになったのである。

めでたし、めでたし。


 自分なりに書いてみました。

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― 新着の感想 ―
二つの大きな勢力が対立しているならば、婚姻による融和と和睦は対立関係を解消するのに有効な手段となり得ますね。 それは降伏よりもはるかに幸福な選択肢です。
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