寝耳に水
寝耳に水を思いついて・・・。
それを聞かされた時、私はショックを受けた。
「あなた勝手にこの経費改ざんしたでしょう」
上司の花山さんにそう言われ、私は即座に否定したけど、言い訳するなと頭ごなしに責め立てられた。
「身に覚えはありません」
と言う私に、
「嘘をついてはいけません。見たという人がいるのよ」
花山さんは断言した。
「じゃ、その人は誰なんですか」
「あなたの奥さんよ」
「はあ?」
「かつて我が社の期待のホープで私の親友だった智子」
私はピンときた。
実は私の家庭はうまくいっていない。
今だ仲の良い2人は結託して、私を貶めようとしているのだ。
「・・・グルですか」
「何を言っているんですか、しらばっくれて、智子はあなたがパソコンで文書を改ざんしている姿を見たと言っています」
「嘘だっ!」
私の大声で、会社の連中は何事かと聞き耳をたてる。
「観念しなさい」
「証拠、証拠はっ!」
花山は肩をすくめ、溜息をつく。
「・・・あるわ。智子から預かったの」
彼女はそう言うと、ポケットからUSBを取り出した。
「私はやっていないっ!」
(本当だ)
「可哀そうに」
花山は憐みの顔で俺を見る。
(嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だっ!お前を捨てたから・・・お前たちは私に復讐をしようとして・・・こんなことをやっているんだっ!)
「許さんっ!」
私は花山に襲いかかろうとしたところ、会社の若い連中に取り押さえられた。
「こいつはっ!虚言癖があるんだっ!」
床に頭を押さえつけられながら、私は必至に訴える。
「寝耳に水とは、まさにこのことだっ!」
書いてみたものの(笑)。