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 毎年ね。

 

 それまで町だった。

 人の営みがあった場所・・・。

 それが一瞬の爆撃で一面が火の海と化した。

 燃え盛る中、すべてを灰燼とする炎の中、ボクは歩く。

 喉が渇き。

 炎を吸い込み。

 喉が疼く。

 灼熱の業火を避け、みんなの後を追って歩く。

 この先には、大きな川がある。

 水だ。

 そこには水がある。

 だけど、そこで力尽きた人々の屍が累々と川一面に漂っている。

 血と油まみれ水。

 ボクは恐怖で足が震えた。

 だけど、その川の水を飲む。

 命の水を。

 目を閉じ無心で・・・。

 飲まなきゃ炎に飲まれてきっと死んでしまう。

 一息ついて溢れる涙を拭った。

 家族やみんなは大丈夫だろうか。

 ここは地獄。

 どうかどうか安らかに。

 どうかどうか助けてください。

 ボクはすべてに祈りを捧げる。

 ゆっくりと立ち上がり、その光景を目に焼きつける。

 ボクたちが何をした?

 やり場のない怒りがこみあげる。

 叫びたいが焼かれた喉が痛んで悔しすぎる。

 足を一歩一歩進める。

 ざぶりざぶり。

 水を払う音がうめき声に混じり耳に響く。

 何度も何度も首を振る。

 前だけを見た。

 ボクは町を離れようとするみんなを追った。


 書かなきゃいけないと。

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― 新着の感想 ―
今年で戦後80年。 日本国内が直接戦争の脅威にさらされる事はその後起きていませんが、海外に目を向ければ今も戦火が上がり続けていますね。 人の営みがあった町が爆撃で炎と化す。 これが過去の事ではなく現在…
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