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いわくつき。  作者: 山手みなと
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「いわくつき。」 トリックアート?

[第52話] トリックアート?


最近はトリックアートが全国で流行っている。


昔は博物館でしか体験出来なかったが、今では観光地に行けば必ずと言って良いほど見かけるようになった。


しかし、トリックアートの中に


トリックではない謎の作品を扱う館が存在するらしい...。


それは...ある画家の肖像画。


トリックアートでは顔の凹凸が逆のお面があり、見る側は左右に動いてもお面と目が合う錯覚が起こる作品がある。


それと似ている肖像画があるという噂なのだが、凹凸が無いのに目が合うというのだ...。


平面なのに、なぜ?


目に追いかけられる筈がない。


しかし、ネットを調べると「肖像画が動いている」と噂になっている。


だから動くという理由で、トリックアートとして普通に扱われているらしいのだ。


その肖像画は古代西洋から渡来した代物で王族争いの犠牲になった王妃が描かれている。


なぜ館にあるのか不明だが、歴代の館長が昔から引き継いでいるということしか分かっていない...。


昔の王族は後継者争いで同じ血を引く者しか許されないため、身内で結婚して身籠ることもしばしば。


いとこ同志や義兄と姪、義姉と甥など、その結ばれ方は王族の決まりとなっていた。


だが、次期王妃の座に就く予定の娘はその決まりを破る恋をしてしまった。


若き執事と恋に落ちてしまったためなのか、なぜ同じ血縁が結婚しなければならないのか疑問に感じていた。


一般庶民は自由な恋ができて、私達王族はなぜ自由じゃないのか?


「そんな決まりはクソくらいだ!」と、王妃に就いた暁月には規則を変えてやろうと野心を抱いていた。


しかし彼女には妹がいて、妹は血縁同士を望んでいるために王族からは妹を次期王妃にする声が上がっていた。


しかし彼女は自由な恋愛に対する考えを譲らない。


次期王妃を選択する期日が迫ったある日彼女は突然、病に倒れそのまま息を引き取ってしまう。

しかし、それは病ではなく何者かによって毒殺されていたのだ。


王族の意思に逆らう者はいずれ排除されてしまうのは薄々感じていたのだが、悲しい結末となってしまった。


そんな経緯があり、失望感から執事が描いた絵がこの肖像画なのである。


だから、いまだ成仏出来ずに未練を残して絵を観に来た人に視線を送っているというのだろうか?


その絵は、館内グッツとして付箋やマグネット、作品画集などに使用され人気を博している。


だって、目線がうごくのだから...。


買った人は皆んな、ホログラム加工だと信じているそうだが...。


霊現象は館の外でも起きていたのだ。


しかし、ある日を境にパタリと現象は起きなくなり、トリックアートの目と合う事はなくなってしまった。


やはり目が合うのは霊現象ではなく、ただの錯覚だったのか?


だが、現象が止んだ理由には


ハッピーエンドな事が巻き起こっていたからなのだ。


現代になって、彼女が天に召される前に身籠った娘の末裔が存在している事が判明。


娘は庶民を経て上流階級と結婚して王族入り。


時を経た現在はその国の王妃の座に就任が決定したばかり。


そんな彼女にとっては、末裔が王妃に就いたことで成仏出来たんだと私は思った。


私達が思っているトリックアートはもしかしたら、ただの絵で錯覚ではなくて霊現象を観ているのかもしれない...。


でも、錯覚って何だろ?と考えさせられる出来事であった...。

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