「いわくつき。」 整形仮面
[第51話] 整形仮面
人はモテるためたら何でもする。
派手な化粧を施し、キラキラアイテムを飾るなどして美しさを纏う。
そんな大変な毎日だが、人によっては化粧無しで表に出るのが恥ずかしくて素の自分に自信が持てず化粧だけが唯一の頼りにしていることも少なくない。
私の友人も顔に自信が持てないそうで悩んでいる。
もし憧れのアイドルのような顔だったら、どんだけ勝ち組になれただろうと考えていたみたい。
そんな彼女は意を決して整形することを考えていた。
だが、費用が高いため現在は足踏みしている。
しかも生まれ持った顔をいじるのは親に申し訳ない。
そんな事を悩んでいた最中、「整形仮面」とう一日だけ理想の顔になれるマスクのお店を偶然発見した。
最近、巷で噂になっている流行りの店らしい。
整形といっても名前だけで、中身は施術不要で仮面をつけるだけ。
しかも、料金はワンコインと破格の安さ。
その実態は、3Dプリンターで作成した顔マスクを被るというもの。
(なんだかスパイ映画みたい...。)
しかし、作成には条件がある...。
生きている人の顔はNG。
OKなのは、理想で描いた架空の顔とこの世からいなくなった人の顔...。
「一日だけ美人でいられるなら、どんな人の顔でもいいや」
「飽きたら変えればいいや」
と、軽く考えていた。
しかし、その考えが
後にとんでもない事態になろうとは彼女はまだ気付いていなかった。
彼女は早速、顔の作成をお願いし
整形仮面を被った。
その顔とは、憧れだったアイドル。
それは過去に自殺した人気者の顔。
一日だけだし、友達をビックリさせてやろう!と思っていた。
そう、彼女は同級生からはブサイクだとか暗いとかバカにされ、いつも負け組だった。
バスケではパスが回ってこない。
そんなイジメもあって絶対見返してやろうと復讐心に燃えていた。
そして今、私は街を歩くだけで人気者扱い。
今日は手応えあったから、明日が楽しみだな。
思惑通り、同級生からもチヤホヤされ、私もマネしてみたいと学校一のアイドルと称されるほどに扱いが様変わりした。
その夜、シャワーを浴びようとマスクを外そうとしたが、全く脱ぐことが出来ない!
無理に脱ごうとすると張り付いてビクともしない。
これは大問題だと思い、翌朝店に尋ねに行った。
「その顔に取り憑かれていますね」
と言われた。
そう、彼女は一日だけという事をうっかり忘れて過ごしてしまっていたのだ。
ようやくその意味が理解できた。
しかし、気付くのが遅かった。
もう脱げないんなら、「この顔のままでいい!」と脱ぐのを諦めた。
そしたら、物事は違う方向に動き出す。
なにやら街に美人いると話題になり、スカウトされ、アイドルデビューすることが決まったのだ。
今までは顔に自信がなくて前に出る性格ではなかったが、今はスポットライトを浴びられて大満足している。
一方で満足した彼女は、顔を元の自分に戻したいとお店に願い出る。
しかし、「一日過ぎたから無理に剥がした場合は、のっぺら坊になってしまうよ」と言われた。
もう2度と自分の顔には戻れないのだ。
彼女は自殺したアイドルの顔で一生を過ごすことを決意した。
ずっとこの顔で周りは驚かないのかな?と心配していた。
しかし、世の中はそのアイドルがいなくなってから50年は経過しており、もはや忘れ去られているため周りからは何も違和感は無いのである。
そして30年が経過する...。
彼女の体は年齢を重ねているが、顔だけは整形仮面のため、見た目年齢は当時のままである。
そして、芸能界を卒業すると彼女は顔を剥ぐ決意をする。
店主が言った通り、のっぺら坊であった。
彼女はもう整形仮面のループから逃れられないのだ。
しかし、幸運な事に自分の昔の顔を理想の顔として作ってもらえばいいんだと閃いたのだ。
それは見事に実現し、本来の自分に戻ることができた。
その夜、剥いだはずのアイドルの仮面が寝室に落ちていたのだ。
もう捨てたはずなんだが...。
彼女はその仮面の霊に脅かされてしまった。
どうやら、捨ててもアイドルの念が成仏していなくて使用者を探し彷徨っているようなのだ。
その仮面は、全国に散らばっているらしく、被害者は彼女だけじゃないらしい。
もしあなたの身近な人が突然違う顔になっていたら、それは2度と戻ることが出来ない仮面なのかもしれない...。




