「いわくつき。」 ゴミ出し
[第49話] ゴミ出し
最近は仕事が忙しくて朝も出発が早いためゴミ出しは夜中に済ませることが多くなった。
その時間はなぜか夜中の2時過ぎになってしまう。
仕事は朝からOLで夜は水商売というわけで帰りが夜中になってしまうのは仕方ないけど...。
そんなんで、私以外に妙な時間に出歩いている人は稀である。
いつものようにゴミ出しで外に出たある日、街の掲示板を見つめる女性の姿が...。
あまり人とかち合いたくないので、数秒だけ建物の影に隠れていなくなるのを待った。
待つこと数秒...。
ゆっくり様子を見ると女はいなくなっていたのでゴミ置き場に向かった。
ゴミを捨て終わり、女が近くにいないのでおかしいと思い、目線を先に移すと50メートル離れた場所に姿があった。
ほんの数秒で移動できる距離ではない。
走ればあっという間だが、急に走るとは考えにくい。
あれは人だったのか?
私は勇気を初めて幽霊を見たような気がした。
そんな時間に住宅街を歩いているのは違和感でしかなかったが、次の週もまた次の週も同じ姿の女性が佇んでいた。
掲示板に何かあるのか?
普段は町内の祭りや習い事くらいしか貼り出されていなくて私的には興味は無かった。
しかし、掲示板を見つめるには訳があるはず...。
気になって見てみると
行方不明の人を探してほしい貼り紙だった。
特徴は髪がソバージュのセミロング。
あれ?何だか私が夜中に見た女性と一致している気がした。
この住宅街は何か呪われいる...。
いや、夜中の2時から4時は幽霊の活動時間だから現れてもおかしくないから呪われてはない筈。
女性の動きが気になり、私は後を付けることにした。
すると、曲がり角のところで彼女は消えてしまった。
諦めて引き返そうとすると、目の前に彼女が佇んでいた。
私は冷静に聞いてみた。
「行方不明の方ですよね?」
実は消えた場所の近くに住んでいる近所の人だった。
その人とは同じ町内会の祭りで山車を一緒に担いだ思い出があり、一度ご一緒しただけだったからあまり記憶には残っていなかった。
しかし、掲示板の名前と住所で判明したんだけど、なぜ夜中に彷徨っているんだろ?
私に「付いてきなさい!」と言わんばかりに彼女は家の納屋に向かうと姿はすでに消えていった。
そこには猫が横たわって、なんだか弱っているように見えた。
あとで分かったことだが、彼女は3年前に天国に召されてしまい、飼っていた猫は一人ぼっちの状態であったらしい。
野良猫として生きていたが、流石に栄養も足りなくて命の危機に瀕していた。
彼女は天国から猫を心配してこの世に現れたようだ。
掲示板には彼女が行方不明とあったが、よく見たら猫と一緒に映った写真であった。
私の勘違いで彼女ではなく、飼い主として映っていただけだった。
そこで私はその猫を引き取る事にした。
恐らく猫の心配と世話をしてくれる人を探して彷徨っていたんだろうと思うと悲しくなった。
でもこれで彼女が夜中に彷徨うことはなくなった。
やはり夜中に出歩くと幽霊に出くわすのは確かな事だなと、この出来事で痛感した。




