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いわくつき。  作者: 山手みなと
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「いわくつき。」 世界線

[第48話] 世界線


いつもの帰り道がおかしなことに?


仕事帰りの道はいつも駅を降りてまっすぐ家路に向かう。


しかし今日はなんだか一本脇道を入ってから帰ろうと思った。


駅周辺の商店街だから、カフェや居酒屋などが立ち並んでいて誘惑も多い。


今日は残業で疲れたし、焼き鳥の匂いもするし


なんだかモーレツに腹が...減った...。


ここは何かの縁だ!と思い切って居酒屋で夕飯を食べることにした。


店内に入ると、なんともレトロな雰囲気。


赤いテーブルに緑の丸椅子。


花柄の醤油差し。


天井にはアナログテレビが吊られている。


そして星座占い。


「最近流行りの昭和レトロをコンセプトにした店かぁ〜」


焼き鳥やおつまみを肴にお酒がすすむ。


焼き鳥の値段も1本80円とリーズナブル。


初めての店だけど、懐かしい雰囲気だし入ってよかったと浮かれていた。


よく周りを見回すと、スポーツ新聞や単行本が置いてあり、懐かしさを演出している。


単行本には、「怪物くん」、「アラレちゃん」、「プロゴルファー猿」など

70〜80年代の今では見かけない物ばかりが置いてあった。


なんかタイムスリップした気分。


でも楽しいからいいや!と食事を楽しんでいた。


だが、楽しい時間はそこまでだったみたいで、お会計の時に違和感を覚える出来事が起きた。


電子マネーの機械もなければレジは現金のみだった。


私の硬貨には令和と書いてあり、オモチャのお金では払えませんと怒られた。


どうやら、ここは何か世界線がおかしいみたいだ。


いや、昭和のコンセプトを貫いているだけでジョークだろ?


とりあえず信じ難いが、たまたま持っていた昭和の硬貨で支払いをして難を逃れた。


そして外に出ると景色がさっきと全く違っていた。


カフェと居酒屋が立ち並んでいる通りのはずが、カフェが無い。


そこは空き地の公園となっていた。


たしかにあそこにはカフェがあったはず...。


そして隣にある自販機は100円だし...。


そこで目が覚めた。


そう、お酒に酔って寝てしまったようだ。


「変な夢を見たなぁ〜」


だが、それは夢ではなかった。


だって...今...。


TVでコント番組の「良い子悪い子普通の子」をやっているんだもの...。


やっぱタイムスリップしたのか?


お会計は怖いから昭和硬貨で支払うことにした。


そして、外に出ると景色はやはり夢で見たのと同じでカフェが無い。


よく世界線が変わる場所が存在すると言われているが、それが今まさに起きている。


都市伝説では、現世に戻るには来た道を振り返らずに引き返すと戻れると聞いたことがある...。


その通り、駅まで道を引き返す事にした。


駅に着いて後ろを振り返ると現代に戻ることが出来た。


少し恐ろしいが、興味本位で先ほどの商店街を歩いてみた。


すると、寄ったはずの居酒屋がオシャレ立ち飲み屋さんになっていた。


じゃあ、食べたばかりのお酒と焼き鳥はどこへ行ったの?


たぶん酔っていて意識が薄れたせいで変な夢を見ていたのかもしれない。


やはり、いつも通らない脇道には何かある。


何気に寄り道したのは、恐らく何かに導かれてのことだと思う。


もし引き返さずに突き進んでいたら、現世には帰って来れなかったはず。


知っているはずの場所で次の日に違う店が立っていたら、それはタイムスリップしていると思った方がいいらしい。


人の見ている世界は、一瞬一瞬のコマ映像の積み重ね。


それは念や気持ちで映像は変わる。


人生の選択の岐路に立った時、すでに違う世界線が生まれる。


左だった人生。右だった人生。


それが意識が薄い時に行うと、意図しない世界線に遭遇するらしい。


心霊や普段見えない過去や未来の映像まで見えてしまう。


だから、目で見ている形や色は実際は違うのかもしれない。


妙な空間はどこにでも存在するらしいので、違和感を感じたら来た道を引き返すのが一番だそうだ。


体験したのはこの一度だけ。


もし次の機会に脇道で違和感を感じたら、戻らずに前進してみたい...。


ただの興味本位では終わらない。


現代の疲れる社会から逃れるために...。

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