「いわくつき。」 タワーマンション
[第47話] タワーマンション
私の住むタワーマンションは不思議な事が起こる事で有名らしい。
このマンションは20階建。
私が毎日使うエレベーターは
よくある不吉な数字とされる4階と13階のボタンは存在しない。
その階は居住階ではなく備品倉庫と機械室になっており、普段は止まることはない。
そこに入れるのは管理人だけで、秘密の階段でしか行けないらしいのだ。
そんなエレベーターに纏わる " いわくつき " の体験談を紹介したい。
ある夜、8階に住む女性が仕事で疲れて帰ってきた。
いつものように8階のボタンを押す...。
夜と言っても23時で周りは静か。
疲れていたせいで、今にも寝落ちしそうなくらいに激しい眠気に襲われていた。
そして扉が開く。
彼女はいつものように歩き出す。
なんだか妙な雰囲気...。
通路の電気が1つも付いていなくて真っ暗。
後ろを振り返ると、4階?
違和感を感じた彼女はエレベーターに戻りもう一度8階を押した。
扉が閉まる瞬間、人影らしき姿が見えたような気がした。
ヘルメットをかぶっていたような...?
備品倉庫だから管理人さんかな?
でもこんな遅い時間にいるのは妙だな...。
ボタンが押せない階にどうして出られたのかな?
ただの誤作動?
いや、疲れていたせいで、変な夢をみていたんだろ?と思った。
その後は無事に8階に到着し家に辿り着いた。
夜も遅いせいか、着替えずにそのまま寝てしまった。
翌日、休日ということもあり昨晩の出来事を管理人さんに尋ねてみた。
点検は定期的にしていて誤作動は起きない筈だと言われた。
でも、あのエレベーターは人を選ぶんだよと言われた。
特に夜中の2時から4時は誰もいないのに勝手に動くんだよ。
あとは霊感がある人はなぜか4階に案内されるみたいなんだよね...。
その現象について、まだ理解してないまま日々は過ぎていく。
そして彼女はいつもようにエレベーターに乗り込みボタンを押す。
当たり前だが、普通に作動し途中で止まることはない。
数日後、残業で遅くなり疲れた状態でエレベーターに乗ると、激しい眠気と共にあの時の違和感が頭に浮かんできた。
あの時と同じ雰囲気...。
まさか4階で止まらないよね...?
予感は当たり、途中で止まり扉が勝手に開く...。
やはりあの時と同じく辺りは真っ暗。
彼女は扉を閉めず何かに引き寄せられるようにフロアへと歩き出した。
備品倉庫というだけあって、段ボールや脚立などが所狭しと置いてある...。
奥の突き当たりまで来ると、祠らしき物を発見。
そこにはたくさん名前が刻まれた石碑が建てられていた。
刻まれた文字を読んでいくと1945年○月○日に永眠。とある。
それは戦没者の慰霊碑だと分かった。
なぜこんな場所にあるのか不思議だった。
そして振り返ると、ヘルメットを被った人が周りを取り囲んでいた。
そういえば、都市伝説で聞いたことがあるんだけど
不可思議な体験をする時は大抵、意識が薄い時に起こりやすいんだっけ...?
幽体離脱や金縛りも意識が薄い時に遭いやすいだよね...?
体が弱っている時も同じだと聞いたんだけど...?
まさに今がそういうことなのか?と確信した。
そう思った瞬間、驚いた彼女はそこで意識を失い倒れ込んでしまった。
目が覚めた時は管理人さんの休憩室だった。
管理人の話だと
なにを隠そう、ここは昔
戦時中の防空壕だったそう。
建設工事の際に戦没者の亡骸がたくさん出てきたそうで
供養するなら下に祀るのではなく空に近い場所に祀る方が天に昇りやすくなるという考えから4階にしたそう。
そしてこの場所が戦場だったことは、都市開発が進むにつれてその痕跡は全く様変わりしてしまった。
だから管理人以外は過去の事など知る者は1人もいないのだ。
そして、彼女が体験した現象は住人が手を合わせないからお怒りになっているというメッセージだったのかもしれない。
都市伝説では、過去に何かあった場所は、大きな建物が立つという。
過去を覆い隠すように...。
もしかしたら、あなたのマンションにも押せない階があったら...。
そこは決して踏み入れてはならない場所なのかもしれない...。




