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いわくつき。  作者: 山手みなと
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「いわくつき。」 近道

[第33話] 近道


私は女子校に通う普通の女の子。

部活は陸上部で県大会の短距離走では優勝の記録を持つ。


学校への通学路は歩いて20分。

公園や住宅街、繁華街を抜けた先に母校はある。


その住宅街を通る時、川に掛かる人道橋がある。

そこは人道橋だけあって少し古く幅が狭いため渡る人数が制限されていることもあり積極的に渡る人は少ない。

しかも、夜にもなると街頭すら無いため少し不気味さを感じる場所なのだ...。


でも、ここを通れば通学に5分は短縮できるんだけどね...。


そうは言っても、渡る人は滅多にいないし、古くて錆びているし、

何となく渡りたくないし。

少し遠回りだけど時間かかるなら早く家を出れば良いだけだし。


そういうことで、私も右に習えじゃないけど橋を渡ることはしてこなかったのだ。


と言いながら、たまに朝だけこっそり近道をしているんだよね...。


しかしそんなある日、部活が遅くまでかかってしまい帰る時間が迫っていた...。


その日は、新しく始まるドタバタコメディのドラマが放送されるとあって家路を急ぐ必要に駆られていた。


帰り支度もまだ済んでないし、このままだとドラマに間に合いそうも無いな...?


あっ!そうだ!


帰りにあの橋を渡れば何とか間に合いそうだな!


急いで支度を済ませ、足速に学校を出たら道中は予想通り間に合いそうな雰囲気になってきた。


流石、県大会優勝の脚力!!


だが、人道橋を渡ろうと橋を目の前にした時...。


通行止の看板が掲げられてらいた。


今朝は看板は無かったのに...。


こんな大事な時に限って...!!


いや〜、もう行っちゃえ!!


私は看板を無視して渡ってしまった...。


街頭は無くて暗いし、ここは足元に注意してライト片手にゆっくり歩くことにした。


すると足元に冷たい何かを感じた。


その瞬間、気付いたら転倒していたのだった...。


彼女はその転倒で足首を捻挫してしまい、陸上大会は棄権するハメになってしまったのだ。


散々(33)な目に遭ったな...。


後で聴いた話だと、その人道橋は

古くは江戸時代から利用されていた橋で、かつて武士同士の争いがあった場所らしい。

そして戦に勝利した証として打首をし橋の袂に首を吊るしたという逸話が残っているそうだ...。


特に夜は絶対渡ってはいけないらしく、噂だと幽霊が悪さをするから、日が暮れる前に渡りましょうということになっているそうだ...。


だから、立ち入り禁止の看板があったんだ...。


帰りが夕方過ぎたになったのは初めてだったから知らなかった...。


ことわざには、" 急がば周れ " とあるけど、まさにその通りだな...。


" 急がば周れ " とは...?

(登山に例えて、早く登ろうと急斜面を選ぶが結局痛い目に遭う。逆に距離はあるが緩やな斜面で着実に登った方が最終的に早いということ。)


やはり、何となく渡りたくないという " 感 " は間違ってはいなかったんだ!!


この " いわくつき " に纏わる逸話は、決して安易に近道をすると痛い目に遭うということだと分かった気がする。


決して山登りだけではなくて、身近にも存在していたんだね...。


もし、近道しようとして違和感を感じたら、そこは押し切らずに...。


急かば周れだ...!!


数年後、その人道橋は老朽化によって撤去されることとなる...。


そして、新たに県道として生まれ変わることになったのだが...。


そして私は今、大学生となり都会に移り住んでいるから、あの橋を見ることも渡ることもない...。


しかし、橋が新しくなっても夜になると幽霊の目撃談は絶えないのであった...。


このままじゃ地元に帰省しずらい...。


早く除霊をしてほしいものだ...。

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