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いわくつき。  作者: 山手みなと
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「いわくつき。」 古代の手鏡

[第26話] 古代の手鏡


私の趣味は骨董品集めで、およそ2000年前とされる古代の民族品などを取り扱うお店によく訪れている。

そんな私は最近、夏休みを利用して海外に行く事にした。

目的はヨーロッパにある古代遺跡を見に行くこと。

そこには巨石だらけで、何のために建造されたのか分からない物ばかりで、建設法も現代では不可能な造り。

一つの石が200tはある石を高々と積んである...。

切り出して...。積む...。

機械が発達した現代においても、やはり不可能な建造物だ。

都市伝説では、運搬はせずに粉砕した岩を型に流し込んで造ったといわれている。(コンクリートと同じ鋳造)

そんな事に文明の不思議に感慨深くなっていた。

そんな時、住居跡のような一画が目に入り足を踏み入れた。

見学は自由だが、看板には決して石とか持ち帰ってはいけないと書いてある...。(No take away !)

よく辺りを見回していると、急になんだか眩しい光がこちらを照らしだした。

何か反射しているのか?と近づくと、" 手鏡 " だった。

思わず手に取ると、持ち手や裏側には装飾品が散りばめられていて、見るからに高価な物であった...。

これはお金になりそうだし、石じゃないから持ち帰ってもいいか!と思って、こっそり拝借した...。


旅行から帰国した私は、早速、骨董市に売りに出そうと思った。

でも、せっかく持ち帰ったのに手離すのは勿体無い...。

そう思って、贅沢にも普段使いとして持ち歩く事にした。

私の仕事は高校教師で、授業直前まで手鏡を覗いて髪型を整えてから教壇に立っている。

「受け持つ科目は社会で歴史についても教えているから、古代遺跡へ行ったのは旅の名目としては良かったな...」と、旅行の思い出に浸った。

ある日、古代文明についての項目をやることになり、ついに手鏡を生徒の前にお披露目する時がやってきた...。

自慢してやろうという思いから、手鏡を登場させる日を密かに待ち侘びていたのだ...。

授業の終盤に、旅行で遺跡を訪れた話しをした後、購入した(持ち帰ったのは秘密。)手鏡を生徒に見せて回った。

無事に授業が終わり、髪型を整えようと手鏡を覗くと...。

知らない女な顔が鏡に映り込んだ!!

自分の顔を遮るように覗き込んできたのだ!!

しかも、顔は何だか焼きただれたような感じだ...。

驚いて手鏡を落としそうになったが、ギリで生徒が拾ってくれた。

「.先生、どうしたの?」.

「いや、何でもないよ...。静電気でビックリしただけよ...。ありがとう...」

とりあえず、その場は心霊現象はバレずに済んだ...。

しかし、これは...。

「" いわくつき " に間違いない!!」

「まさか、持ち帰ったのを嘘ついて購入したと言ったのが悪かったのか?」

とりあえず帰宅したら、もう一度確かめてみよう...。


都市伝説によると、鏡には特別な魔力が宿っているとされているんだよな...。

そう思いながら、しばらく覗きこむ...。

すると、またあの女が映り込んできた!!

流石に恐くなり、明日にでも輸入商に相談しに行かないとヤバイことになりそうだ...。

鏡といえば、ひみつのアッコちゃんだな。

コンパクトの鏡に向かって呪文を唱えると変身できるんだよな。

童話では、白雪姫にも鏡が出てくるな。

魔女が鏡に世界一美しいのは誰?と問いかけると、鏡の中から答えが返ってくるとうものだったな。

都市伝説だと、鏡に映る自分に、お前は誰だ?というと危ないらしい。

繰り返すと魂が抜けるらしい。

抜けた隙に悪い霊に取り憑かれるという噂があるんだよね。

私はそんな事を思い浮かべつつ、都市伝説のようなマネは決してするわけは無いと思い、今夜は何も心霊現象が起きない事を願って眠りに付いた。


そして無事に朝を迎えると早速、輸入商の元へ向かった...。

「これ実は、古代遺跡の現場で拾った物なんです...」

「鏡を覗いたら幽霊が鏡の中に現れたんです...」

「遺跡に装飾品が落ちているなんて、まずありえないんだけど、なぜそんな所に落ちていたのかは偶然なのか?それとも異世界から降ってきたのか?まあ、詳しいことは調べてみますよ」

しばらくの間、引き取ってもらうことになったが、いつの時代の物なのか?いわくつきなのか?

答えが分かる日が待ち遠しい。


1ヶ月後、ようやく連絡を受けた私はすぐに答えを聞くため駆けつけた。

調べによると、あの遺跡には巨石以外は何も無いとのこと...。

出土品に関しては既に専門家が収集済みであるそうだ...。

時代はというと、2000年前の代物らしい...。

かつて、そこに暮らしていた民族王朝の遺品らしいのだ...。

それは古文書に記されており、国営博物館にも保管されている貴重品であるのが分かった...。

しかし、なぜあの場所に落ちていたのかは説明がつかない。

理由は分からないが、品物によって何かメッセージを伝える時は次元を超えて、異世界から降ってくるらしい...。

やはり都市伝説の通りか...。


「それはそうと、幽霊が鏡を覗いたのは何かしらのメッセージなんでしょうか?」

「おそらく持ち帰ったから返してほしいメッセージなんじゃないかな?」

「だから、鏡は国に返しましょう」

「ただ、公に返すとなると国際問題に発展しかねないし、あなたは持ち帰った...」

「拾ったなんて誰が信じるの?」

「国宝の窃盗犯に間違われるのは100%だよ」

「ルパン三世もビックリだよ !!」

「だから同じ場所に行って、コッソリ置いてくるしかないよ」


私は次の日、学校を休んでヨーロッパの遺跡へと飛び立った。

無事に返し終わると、帰国の途に付いた。 

数ヶ月後、あの手鏡がニュースに取り上げられていた。

怪盗ルパンが盗んだと報じられていたのだ。

しかし、盗んだ後に心霊現象に悩まされて結局、博物館に返しに来たという内容だった。

ルパンによると、心霊現象では首を絞められたり、空から剣が降ってきたりと恐ろしを味わったそうな...。


もし私が持ち続けていたら、命はなかったかもな...。

しかし、あの場所に落ちていた理由がまだ分からない。

もしかして、博物館に保管してほしくて現代にタイムワープして表れたのかな?


遺跡には理解できない物が溢れている...。

異次元空間や、古代人の念、巨石物の不思議など...。

ただ、どんな理由があるにしても決してそれに関する物は持ち帰ってはいけないのである...。

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