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いわくつき。  作者: 山手みなと
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「いわくつき。」 てるてる坊主

[第22話] てるてる坊主


私の趣味は手芸で、週末には手芸教室に通うOL。

教室は通い始めて3ヶ月になる。

特に昔から受け継いできたような民芸品を編むコースが好きで、気付いたら先生からお褒めを頂けるまでの腕前になっていた。

最近の出来事として、地域の町おこしイベントで、私が通う手芸教室の作品が道の駅に飾られることが決まった。

1ヶ月後、ついにイベントの日がやってくることに胸がワクワクしている。

このイベントの展示は私達以外にも出店があるらしい。

民芸品とは、編み物、人形、置き物、彫物、装飾品などがある。

その中でも目につくのは、" こけし " 、 " さるぼぼ " 、 " てるてる坊主 " 。

本来は地域性を感じる作品が多いが、中には魔除けとして作られているものがあるようなのだ。

ある願いを込めて作るのだが、物によっては、願いが成就した後の扱いはかなり慎重にしなければならないらしい。

念や霊的な物がついているといわれていいるだけに、下手に扱うことはできない。

だから成就したら、感謝を込めて神社でお焚き上げをしてもらうのだ。

しかし、私は民芸品を編めても、その後の扱いに関してはまだ知識がなかった。

まさかあの展示物によって、とんでもない目に遭うなんて、この時は知る由もなかった...。


私はそのイベントで、" てるてる坊主 " が妙に気になった。

「幼い頃、親が作ってくれて、よく遠足前日に吊るしたっけなぁ〜」

と、記憶が蘇り、懐かしさのあまり即購入した。

ある週末、友人と一緒にキャンプと称した合コンに行くことになった。

約束の前夜、てるてる坊主に願いを込めてベランダに吊してみた。

「てるてる坊主♪てる坊主♪明日天気にしておくれ♪」

なんて、童歌を口づさんだ。

翌朝起きると、天気は雨だ........。

よく見ると、てるてる坊主が内側を向いている...。

本来、外を向いていないと意味がないらしいのだが、どうやら風で動いてしまったようだ...。

吊し方が甘かったのかな...?

晴れにならなくて、合コンはキャンセル。

「楽しみだったのに...」と項垂れると、私はてるてる坊主をゴミ箱に捨ててしまった...。

「いやいや、そんな簡単に捨てちゃダメだよ」と母が声を掛ける。

「役目を終えたらお焚き上げしなきゃだめだよ」

「役目を果たしていないのに?」

雨が降ったのも、何かの縁...?

「合コンなんか行かなくていい運命なのかもよ」

「前向きに考えなきゃ!」

翌日、私は母の言う通り神社でお焚き上げをお願いしてきた。


後日、友人から連絡が入る...。

「合コン相手の男(友人の男友達)なんだけど、合コン前日に" てるてる坊主 " を吊るしていたらしいんだけど、当日は雨が降ったから捨ててしまったらしいの...」

「その翌日、仕事中にアクシデントに巻き込まれたみたいで病院で治療したんだけど、残念なことに息を引き取ってしまったの」

「彼は運送業なんだけど、鉄板を運搬中にワイヤーが切れて板が首を直撃したみたい...」

「これは、てるてる坊主を捨てた事による天罰じゃないかと思うんだよね」

「童歌には、" それでも曇って泣いたなら、そなたの首をちょん切るぞ " の歌詞がある」

「捨てた事で、逆鱗に触れたのかその歌の通りになってしまったのかもしれないね...」

やはり都市伝説にあるように天罰は本当かもしれない...。

「もし、てるてる坊主をやることがあったら気をつけてね...」

その話を聞いている私...。

友人には隠しているが、実は現在、喉が腫れる症状に見舞われているのだ........。

これも天罰か?

これは、てるてる坊主による現象なのか母に聞いてみた。

「あの時、一時は捨てたけど、最終的に供養したから助かったんじゃない?」

「あねまま捨てていたら、命の保障はなかったかもしれないわね」

「でも一旦は捨てる行為をしたから、何かしらの現象が首に出ているんじゃないの?」

「次から気を付ければ大丈夫だと思うよ」

数日後、喉の腫れは自然と治まっていた...。

振り返れば、扱いを間違えると " いわくつき " になってしまうんだと肝に銘じた出来事だった。


てるてる坊主には他にも都市伝説が存在する。

一説によると...。

発祥としては、昔、殿様が雨を止ませるため寺の祈祷師に祈りを依頼した。

しかし、雨は止まず、それに怒った殿様が祈祷師を斬首。その首を布に包んで天への生贄として捧げると天は晴れたそうな。

そんな恐い話があるのは知らなかった...。

ていうか、そもそもが " いわくつき " じゃん...。

生贄って........。

古代より生贄の儀式はあったそうで、農耕の発展、天気、子孫繁栄など命を捧げて次の代を繁栄させる祈りの形があったらしい...。

これは歴史の教科書にも記載されている内容でもある...。

そんな話を聞いたら、私は現代に生まれてよかったと思った。

普段は意識していないが、よく考えたら、 " いわくつき " ではないが、祈祷品に纏わる物は日常的にたくさんあることに気が付いた。

お正月に神社に行くと、昨年の正月飾りや熊手、お守り、だるまさんなど奉納して供養を待つ景色を見たことがある。

感謝を込めて供養するのだ。

正月飾りは繁盛を願う物で魔除けでもある。お守りは願いが叶ったら供養する物である。

不思議だが、こんなに身の周りに存在しているのには驚いた。


私は、最終的に祈祷だけでなく何事も表裏一体であると理解できた。

そして、これからも合コンの時は必ず晴天になるよう、てるてる坊主にお願いして、必ず男をゲットするんだと意気込む私であった...。


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